法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

小説

『声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?』二月公著

番組に穴があかないよう、突発的にはじまった声優ラジオ。たまたま別事務所ながら同じ高校にかよっていることに着目され、若手アイドル声優ふたりが起用された。 しかし急造コンビとなったふたりは、プライベートではキャラクターが異なるだけでなく、対立す…

そういえばシャーロックホームズの映像化で、原作のままコカインを摂取する描写が求められた事例がどれほどあるだろうか?

『銀河英雄伝説 Die Neue These』がどこまで放映されていたかを知ってて反論している人はどれだけいるのだろう? - 法華狼の日記 新旧アニメ版『銀河英雄伝説』のジェンダー描写についてid:brighthelmer氏がツイートし、良くも悪くも注目をあびていた。 銀河…

食材をパンではさむ料理を「サンドイッチ」と呼ぶ異世界ファンタジーについて、そもそも「パン」という言葉を使う時点で翻訳文という解釈が有力では

「なろうファンDB管理人@スコッパー@narou_fun_db」氏のツイートが注目を集めていた*1。 これ作者さんの言いたいことすごく分かるけど、読んでいると引っかかるのも事実なので悩ましい。自分は異世界に「サンドイッチ」が登場すると毎回そこで引っかかる。「…

『夏への扉』より『時をかける少女』のほうがまだSFオルグに向いてるんじゃない?

日本へ舞台を変えて『夏への扉』を実写化するという報道を受けて、SF小説として欠点が多いと批判する意見と、それゆえ初心者には良いという意見が出てきている。 『夏への扉』を勧めるのは素人騙してSFにオルグするため 重要なのは作者がハインラインだとい…

『風と共に去りぬ』の作者の黒人観は当時ならセーフ?やはりアウトでは?

ずっとくすぶっていた『風と共に去りぬ』の黒人描写が、反黒人差別運動のもりあがりを受けて、映画の配信一時停止にいたった。 過去の作品を現代の価値観で位置づけることを否定するなら、『風と共に去りぬ』という映画そのものが否定されるのでは - 法華狼…

過去の作品を現代の価値観で位置づけることを否定するなら、『風と共に去りぬ』という映画そのものが否定されるのでは

まず、黒人差別抗議運動を受けて、米国の映像配信サイトで映画『風と共に去りぬ』がいったんとりさげられるという報道があった。 米動画サービスが『風と共に去りぬ』配信停止 人種差別理由に 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News 南北戦争を舞台にした1939年…

『ズッコケ三人組 ズッコケ時空冒険』

花山第二小学校に、主産中の代理として若い女性教師がやってくる。壁新聞の取材で女性教師を追いかけた主人公トリオは、ふしぎな鏡にとりこまれ、江戸時代にタイムスリップしてしまった…… 人気児童小説シリーズを1988年に約1時間で中編OVA化。特殊な流通形態…

『友だちをやめた二人』今井福子著

幼馴染の七海と結衣は、上級生になった今は違うグループにわかれていた。 それでも人気者の結衣はグループの垣根をこえて七海に助言してくれる。 七海はかすかな違和感をいだきながらも毎日を楽しくすごしていたが…… 2019年8月に発売された児童文学。生と死…

「スタンピード」のようにダンジョンの強力な魔物が街に出てしまう想定外の事故が、たしか現実のオンラインゲームでもあった記憶

mizunotori氏*1のツイッターを経由して、WEB小説に「スタンピード」という概念が定着していることを知った。 最近ダンジョン物のラノベ色々読んでるけど高確率で出てくるスタンピード概念は何が元ネタ何だろう…ダンジョン自体はゲームでよくある感じだけどス…

『小説 魔法つかいプリキュア! いま、時間旅行って言いました!?』村山功著

魔法学校の創立祭の準備をしていた主人公カップルのところに、敵幹部オルーバが襲来。それぞれ家族と葛藤していた主人公たちは、過去に戻って同世代の親の視点を知る…… 『ドラえもん』の「プロポーズ作戦」*1を思わせる、2017年10月出版の児童小説。2016年2…

『蠱惑 アルーア』リチャード・コールダー著

デビュー作「トクシーヌ」をふくむ4編からなる、人形へのフェチズムに満ちたSF短編集。1991年に邦訳出版された。 アルーア作者: リチャードコールダー,浅倉久志出版社/メーカー: トレヴィル発売日: 1991/12メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 7回この商品…

作中作で○○をあつかっている物語は、〇〇愛好家が楽しめたとしても、必ずしも〇〇というジャンルには入らないとは思うが……

id:srpglove氏とid:kazenotori氏が、ファンタジー的世界を舞台としたVRMMORPGが、はたして作品全体がファンタジーにカテゴライズされるか否かで議論していた。 VRMMORPGものが「ファンタジー」って本当ですか? - い(い)きる。 VRMMORPGものには、本物の超…

『闇の女王』半村良著

国家への不信感から新たな共同体が生まれつつある日本社会で、東京ジャックなるテロリスト集団による爆破事件が連続する。その裏側では旧家の御曹司による陰謀が進行していた。その旧友の動きを止めるために二人の男が奔走するが…… 1979年に出版されたSFファ…

百田尚樹氏はどのような「歴史の本」を読んで『永遠の0』を書いたのだろうか

朝日新聞による百田氏へのインタビュー記事を読むと、「日本通史」として出版した『日本国紀』に出典が明記されていないとの批判に対して、巻末の参考文献の有無に話をずらしていた。 「日本国紀」批判にどう答える 著者の百田尚樹氏に聞く:朝日新聞デジタ…

『走れメロス』の結末をふりかえりながら妥当なビジュアル化を考える

太宰治 走れメロス|青空文庫 佳き友は、気をきかせて教えてやった。 「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」 勇者は、ひどく赤面した。 つ…

『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』森川智喜著

襟音ママエという少女が、探偵事務所をいとなんでいた。捜査も推理もせず、事務や広報は助手の小人に丸投げ。 しかも解決は魔法の鏡にたよっていた。あらゆる問いに回答して、必要であれば映像を見せるアイテムで、少女は一足飛びに真相をいいあてていく。 …

「異世界転生・転移もの」を合わせた通称だけなら、「異世界転生」で充分ではないか?という提案

少し前、「小説家になろう」の代表のようにイメージされるジャンルカテゴライズについて、id:kazenotori氏が下記エントリを書かれていた*1。 「異世界転生・転移もの」の略称というか通称を考える - WINDBIRD 異世界転生とは「現実世界で死んで異世界に生ま…

『浮世絵師の遊戯 新説 東洲斎写楽』高井忍著

海外で絶賛されるほどの存在でありながら、いまだ正体がはっきりしないとされる浮世絵師、東洲斎写楽。 その正体をめぐる珍説奇説をさまざまな手法で物語化していく連作短編。商業作家なのに、なぜか文芸社から2016年に出版された。 浮世絵師の遊戯 新説 東…

『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(3)』

雑誌『メフィスト』で連載していた対談企画の完結編。テーマに合わせた短編やショートショートを選んで丸ごと掲載することで、ミステリでは難しい真相に言及したレビューがおこなえる。 綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(3)作者: 綾辻行人,有栖川…

『綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(2)』

雑誌『メフィスト』で連載している対談企画をまとめたもの。テーマに合わせた短編やショートショートを選んで丸ごと掲載することで、ミステリでは難しい真相に言及したレビューがおこなえる。 綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(2)作者: 綾辻行人,…

『俺、ツインテールになります。13』水沢夢著

さまざまな性癖*1を力に変えて異世界の侵略者と戦うシリーズの、TV番組ならば1クールひとくぎりにあたる13巻目。 シリーズの序盤をTVアニメ化した制作会社が倒産したとの報を聞き*2、2017年8月に出版されたものを今さら読了したが*3、全キャラクターが活躍す…

ライトノベル表紙群や『ドラえもん』をめぐる、表現の部分否定と全否定

『ドラえもん』のトロフィーワイフ問題について - 法華狼の日記 chounamoul氏のツイートだが、娘の発言を紹介するかたちは気になるが*2、ひとつの感想として理解はできるものだ。 *2:これ自体がパターナリスティックなふるまいではないかという注意がほしい…

津原泰水氏のWEB小説語りと、孫向文氏のラノベ語り

window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twitter.com/widgets.js"; fjs.paren…

Gyo_ree氏の「推理小説の書き方」は、「推理小説には主人公が二人必要です」という主張で引っかかった

「いらすとや」の画像を素材にして漫画形式で自己流のミステリのつくりかたを説明しているのだが、2番目のツイートでいきなり首をかしげてしまった。 「ミステリで大事なのは人間ドラマでトリックは付属物」初心者でも書ける推理小説講座がミステリ界隈で炎…

あくまで「小説家になろう」で自作を発表しているアマチュアのひとりを、サイトの代表のようにあつかうのはやめよう

『二度目の人生を異世界で』の問題*1を受けて、南京事件否定論を主張するhimuwata氏のツイートが、Togetterにまとめられていた。 『二度目の人生を異世界で』騒動を受けなろう小説家、自著の中韓への出版を拒否。また、チャイナ服キャラは台湾人設定へ - Tog…

『二度目の人生を異世界で』で作者の差別ツイート等が問題視された件で、TVアニメから声優が降板したり、原作の出荷が停止したりしたとのこと

商業化およびTVアニメ化までされるWEB小説『二度目の人生を異世界で』の作者が、ありふれた保守的思想をたれながしていた件について - 法華狼の日記 上記エントリで言及したように批判がもりあがっていたわけだが、ついに公式的にも距離をおくような動きが出…

商業化およびTVアニメ化までされるWEB小説『二度目の人生を異世界で』の作者が、ありふれた保守的思想をたれながしていた件について

下記のTogetterで、小説自体が日中戦争での日本軍を肯定的に位置づけていると疑われていたり、中国や韓国への偏見に満ちた作者のツイートがまとめられたりしている。 TVアニメ化される『二度目の人生を異世界で』の作者がtwitterで中韓に対するヘイトスピー…

転生した異世界で現代文明の知識をつかって活躍するパターンで

「主人公がそのまま転生したのではなく、異世界の肉体に現世の記憶だけがあるという展開はどうだろう?」 「憑依パターンだな。多くはないが珍しくもないぞ」 「そしてその肉体は実は魔王であり、進んだ文明の知識を利用するために主人公の記憶を自分にコピ…

異世界シャワーをめぐる論争を見ていて、必然性や呼称の軽視にもやもやする

小説であれば、それを形成する文字ひとつひとつ、改行の位置から文字のひらきかたまで、必然性をもって配置されるべきだという理想論もあるはずだ。 ディテールをくわしく書きこんだり、それを作品世界の構築に奉仕させることだけが必然性ではない。本筋に関…

『メロディ・リリック・アイドル・マジック』石川博品著

音楽で幻覚を見る体質に苦み、学校で疎外されてきた少年ナズマは、逃げるように進学した高校の学生寮にアイドルが集っていることを知る。 アイドルに(相撲部屋のように)かわいがられ、以前と変わらず幻覚に苦しむナズマだったが、ひとりの少女の歌に初めて…