法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『わんだふるぷりきゅあ!』第10話 ユキの中の思い出

 猫屋敷まゆは母から新商品のアイデア出しをたのまれ、授業も散歩も上の空。しかし犬飼いろはたちと出会って、泥だらけのこむぎを見て、飼い猫のユキと初めて会った時を思い起こす……


 香村純子脚本。フォーマットが強固なスーパー戦隊で何度もメインライターをつとめてきた経験があるためか、番組の残り時間が少なくなってもプリキュア変身ノルマをこなし、ちゃんとアライグマの生態を反映したおもしろい失敗とアクションを展開した。住宅街の自販機や歩道の柵をガルガルが破壊したり、その情景を窓から見おろす構図が最近のシリーズでは珍しい。
 ただ、まゆがまだプリキュアに変身しないとはいえ、ドラマ部分とアクション部分の関連が弱い。思い出の山奥や雪に関係する動物か、いっそのこと人になつく前のユキを思わせる猫のガルガルを出すべきではなかったか。
 そもそも新商品の開発とユキとの出会いのドラマも、デザインの方向性を猫に決めるくらいしか関連していない。それぞれ共感性羞恥におそわれる空回りコメディと、情感あふれる幼いころの思い出のドラマとして悪くないのだが、どちらか一方に時間をさいて注力し、ひとつの物語として完成させてほしかった。作品のさまざまな楽しみをちりばめ、30分枠を飽きさせない「番組」としては今回の構成も正解だとは思うのだが……