同名の読者参加企画におけるメディアミックスのひとつとして1995年に販売された全2話のOVA。アニメ版のキャラクターデザインと作画監督を山内則康がつとめた。
キャラクターデザインなどには原案があるが、スタッフワークなどから『Aika』のプロトタイプと言えそうな作品。『Aika』と同じく画面に無駄にパンツを見せつけるコンテがナンセンスきわまりない。前後とも演出が水島精二で、田中良が原画に参加。しかしアクションはチャカチャカ動きが軽くて、悪くはないが良くもない。
ファンタジー作品らしく上半身にボリュームがありながら下半身が生足ハイレグなコスチュームデザインがアンバランス。ストッキングの質感を表現するのはアナログ時代には手間がかかり、下着のために中間色をつくったり仕上げで彩色するにも費用と手間がかかった時代ならではか。
同じキングレコード作品の『新世紀エヴァンゲリオン』がヒットする時代に緒方恵美がメインキャラクターの女性剣士を演じている。戦闘的とはいっても長髪の女性的なキャラクターを正面から演じるのは当時でも珍しかったのではないか*1。
内容としては、女性しかまったく登場しない、その純粋さが現在にいたるまで意外と珍しいファンタジーアニメ。はっきり性欲を感じるキャラクターが存在せず、『Aika』にはサブでいたレズビアン表現もないので、半裸が多いわりに意外と性的に感じない。
物語は先述のように全2話で、1話ずつがTVアニメの通例より少し尺が長いくらいだが、1話目は上の指示にしたがって仲間集めのお使いをこなしながら敵味方のキャラクターを手際よく説明していく。しかし第2話は主人公が儀式の触媒として敵に拉致され、ほとんどの時間を気絶していてドラマを動かさない。主人公を囚われの姫役として仲間が戦うアクションストーリーとして成立はしているが、そのストーリーで心ひかれるところがない。
敵が一定の目的を達しつつ敗北したところが終わりなので、OVAだけでは物語が完結していないのも難。キャラクターを売るためのコンテンツでオーソドックスにまとめているとはいえるが……