法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

百田尚樹氏はどのような「歴史の本」を読んで『永遠の0』を書いたのだろうか

朝日新聞による百田氏へのインタビュー記事を読むと、「日本通史」として出版した『日本国紀』に出典が明記されていないとの批判に対して、巻末の参考文献の有無に話をずらしていた。
「日本国紀」批判にどう答える 著者の百田尚樹氏に聞く:朝日新聞デジタル

――「日本国紀」には出典元の明記がないとの批判は、津原さんの他にも多くの人から出ています。
「参考文献を載せなかったと言われますね。でも日本の歴史の本は山のようにありますが、巻末に参考文献を載せている本はほとんどありません。」

参考にとどめず表現そのものまで引っぱったのに出典を明記しなかったから、『日本国紀』は剽窃と批判されている。そこで求められている対処は、参考文献の列挙ではなく、引用範囲と引用元の明示だろう。


しかし、現在は手元にないので記憶発言になるものの、百田氏の処女小説である『永遠の0』は、太平洋戦争をモチーフにしたフィクションとして当然のように巻末に参考文献を列挙していた。
百田氏は他にも『海賊と呼ばれた男』のような歴史を題材にした小説を著してる。それらの参考文献は「日本の歴史の本」が多いはずだが、さてそれらの書籍には本当に参考文献がのせられていないのかどうか。


念のため、原稿を認めてくれる出版社を探すのが大変だったという『永遠の0』の出版経緯から考えると、ゴーストライターに丸投げした可能性はきわめて低いとは思う。
ただ、フィクションの素材にしただけの参考文献は精読しなかったということかもしれないし、朝日新聞のインタビューにその場しのぎの釈明をしたのかもしれない、といった可能性は考えている。