法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

戦争

アングレーム漫画祭で日本軍慰安所制度を正当化しようとした「論破プロジェクト」のひどさを思い返す

日本人の多くは、かつてアングレーム国際漫画祭で従軍慰安婦性奴隷否認論をマンガとして出典した事の愚かさを理解していない。日本側がスルメロックだかはすみとしこのような絵で、内容も韓国の悪口を描いただけの下劣なマンガを出す一方、韓国は丁寧なイラ…

表現や発言に攻撃を加えてきたのは一般人、と主張する漫画家の藤栄道彦氏は、単に権力による攻撃を除外しているだけ

政治家による漫画規制の動きにおいて、政治家の立場を誤認するように漫画の一頁が断片的に流れていることを紹介した。 『アニメ店長』の断片的な描写から、あたかも蓮舫氏が表現規制派のように受容されている違和感 - 法華狼の日記 それに対して、別の私のエ…

戦後女性が米兵によりそう写真の評価を見て、フェミニズムが失敗する理由を思った

note.com 「やまもとやま@mt_yamamoto_」氏による上記note記事が賛否とともに注目を集めていた。 話題になった後、私個人の興味関心に近しい歴史的な写真の解釈を読んだところ、フェミニズムの表現が通用しない理由を痛感してしまった。 太平洋戦争終戦後の…

『NHKスペシャル』新・ドキュメント太平洋戦争 「1941 第1回 開戦(後編)」

真珠湾攻撃に向かう兵士たち、初戦の勝利にわきたつ庶民、そして戦争目的の乖離をうれえる陸軍の一参謀の手記をとおして、対米戦争開戦の雰囲気を描き出す。 www.nhk.jp 太平洋戦争がはじまってから八十年、すなわち日中戦争は無視して、真珠湾攻撃にはじま…

『長沙里9.15』

南下する朝鮮人民軍に対して、米国と韓国の連合軍は仁川での大規模な反転攻勢を計画していた。その陽動のため、まともな訓練もしていない学生兵を朝鮮半島の反対側、嵐の夜の長沙里へ上陸させるが…… 朝鮮戦争を舞台にした2019年の韓国映画。『タイフーン』『…

『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』

ナチスドイツに対して講和か開戦か選択にゆれる大英帝国。挙国一致内閣の新たな首相としてチャーチルが妥協的に選ばれた。 異常なまでに抗戦を叫ぶチャーチルは評価されず、王や政治家は政権交代後のナチスドイツとの講和に向けて動き出すが…… 『つぐない』…

第二次安倍政権で学問的知見より閣議決定を優先して教科書に記述できるようにされた問題が、ついに動き出してしまった

維新の会と自民党が国会で予定調和のような質疑をおこない、従軍慰安婦と強制連行という歴史用語を無理やり否定したことがあった。 hokke-ookami.hatenablog.com どうやらその閣議決定を根拠として文科省が説明会を開いて、教科書の記述まで書きかえられてし…

日本の敗北による植民地解放に別の文脈が生まれたように、国境を超えて少女が仲良くする光景にも別の文脈が生まれうる

第二次世界大戦のビルマ戦線について、日本側証言などを新たに収集した同人誌『ビルマ方面海軍部隊、死闘と生還の記録』。 booth.pm 書店にも置かれてツイッターで広く紹介され、その十数日後に注目が集まり、表紙に対する疑問が多数ぶつけられていた。 [B! …

カンボジア内戦でポルポト政権の虐殺が軽視された経緯は、ロンノル政権の虐殺を重視した取材回想を読むと少し理解できる

アフガニスタンの混乱を受けてか、かつて朝日新聞に掲載されたカンボジア紛争の記事が再注目されているようだ。 hokke-ookami.hatenablog.com くわしくは上記エントリに書いたが、「アジア的な優しさ」は首都進攻が穏健に見えたことを評しており、それも対立…

『ハクソー・リッジ』

第一次大戦帰りの父親にあおられて、幼いデズモンドは弟へひどい暴力をふるってしまう。成長したデズモンドは暴力を嫌うようになったが、対日戦争のため軍隊に志願した。 しかしデズモンドは軍隊でも暴力を嫌い、けして銃にさわろうとしない。それでも組織や…

『 終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』

1945年5月の福岡。教授に呼ばれて捕虜の手術に参加した助教授は、人体実験をしていることに気づく。 敗戦とともに裁判がはじまり、拘置所の教授は軍に命令されたが自分に全責任があると遺書をのこして自殺。 助教授は出廷できるなかでの最高責任者として、死…

辻元清美氏が長崎に原爆が投下された日を「ナガサキデー」と表現したことが批判の根拠にされていて驚く

「【関西生コン】立憲・辻元清美議員、長崎原爆忌を「ナガサキデー」呼ばわりする→長崎県民からの抗議殺到。」というタイトルでツイートがまとめられていた。 togetter.com 76年目のナガサキデー。11時2分、黙祷を捧げる。議員になる前から長崎の被爆者や被…

ワクチン予約コインロッカー論

政権雑擁護、公共財という概念がないから当然に管理責任という概念も消失するのだよな。すべてを私人同士の利害対立のアナロジーで理解するので、意味不明な「権利侵害」を仮構してしまう。— GiGi (@gigir) 2021年5月19日 id:GiGir氏の上記ツイートに重なる…

『海底軍艦』

敗戦後の復興をはたしつつある日本で、謎の拉致事件が起き、海辺に銀色の怪しい人影が出没する。それは一万二千年前に滅んだはずのムー帝国の尖兵だった。 拉致事件に出くわしたカメラマンが、美女を見かけて被写体にするため追いかけると、旧日本軍の縁につ…

そういえば、慰安婦が思いどおりに辞められるラムザイヤー理論が正しいなら、ひとつ日本政府に不都合な話へつながるよね

日本軍慰安婦の総数について明確な資料や、信頼できる総数の証言はない。 そこでほぼ明確な人数がわかっている日本軍の総数に、兵士にあてがわれた慰安婦の比率でわって、そこに交代率をかけることで、のべ人数が推計されている。 慰安所と慰安婦の数 慰安婦…

東京大空襲の証言が封印されている報道を読んで、きちんと展示される韓国の博物館などを思う

くりかえされた空襲のなかでも、特に重視されている3月10日にあわせて東京新聞が報じていた。 www.tokyo-np.co.jp 証言ビデオは1996~99年度、当時都が建設を目指していた祈念館での公開を目的に収録した。330人分が集まったが、日本の加害について…

歴史探偵の半藤一利氏が死去したとのこと

文芸春秋の編集者として司馬遼太郎や松本清張を支えて、自身もそれに近い「作家」だった。あくまで歴史学者ではないが、読み物としては興味深い著作が多かった。 www3.nhk.or.jp 秦さんは「ジャーナリストとして、イデオロギーを超えた中立な視点で、歴史の…

クメール・ルージュによるカンボジアの分断支配と虐殺を母親視点で描いたアニメ『FUNAN フナン』が日本で公開

2018年にアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリをとった作品。 予告映像を見ると、美しく精緻な背景美術と、シンプルで影のない手描きキャラクター作画が、日本の子供向けアニメ映画のようだ*1。 www.youtube.com 特に、一時期の虫プロや亜細亜堂が…

日本の外務省などが圧力をかけていたベルリンの少女像が撤去要請されたとの報道

関係のない国家に記念碑を建立する意義は、きっと日本人ならいつかわかるよ - 法華狼の日記 日本は第三者国として、あるいは被害国として、さまざまな犠牲を象徴する碑をたててきた。 上記エントリの件で、日本が加害した記念碑が撤去されることとなった。も…

関係のない国家に記念碑を建立する意義は、きっと日本人ならいつかわかるよ

日本軍慰安所制度を告発し、その犠牲を記憶する少女像が、新たにドイツ首都ベルリンに建立された。 そこは在外公館が近いわけでもなく、日韓合意ですら表現規制できないはずだが、日本政府は撤去を求めていくという。 ベルリン少女像「撤去を」加藤氏 元従軍…

従軍慰安婦について、当初から変わらない主張をつづけているだけなのに、存在しない変化を見ている人々

「はてサ」の「ウォッチ」すらできないウォッチャー - 法華狼の日記 どれも反論と呼べる領域に達していない。対象を読まずに評する、根拠を出さない、理路も示さない、あやふやな記憶で語る、引用しても曲解する……はてさて「ウォッチ」とは何だろうか。 せめ…

黒沢清監督の戦中映画『スパイの妻』がベネチア映画祭で銀獅子賞をとったとのこと

ベネチア国際映画祭 黒沢清監督が監督賞 「スパイの妻」で | エンタメ | NHKニュース 「スパイの妻」は、太平洋戦争の直前に国家機密を偶然知ってしまい、正義のために世間に公表しようと暗躍する男性と、その妻の物語です。授賞式のあとの記者会見で、審査…

人種差別を流布した「ひろしまタイムライン」に「表現の不自由」を見る

原爆投下時の広島にSNSがあったという仮想で、過去を現在に再演するNHKの企画が「ひろしまタイムライン」。 1945ひろしまタイムライン|NHK広島放送局 当時を記録した3人の日記を細分化して編集し、現在の日付にあわせて実際にツイッターへ投下していく。 そ…

『【国際共同制作 特集ドラマ】太陽の子』

戦時中の日本は、京都大学の研究室で原子核爆弾を開発しようとしていた。そこで研究する石村修は核燃料をとりだす遠心分離機の開発に精力をかたむける。 しかし研究の道を進んだ兄のかわりに弟の裕之は戦死し、ウランの入手をたのんだ女性は大阪空襲で命を落…

『劇場版 艦これ』

島が点在する広い海原で、深海棲艦という怪物と戦う少女たちがいた。無骨な兵装を身体にとりつけ、軍艦のように水上を滑って戦う彼女らは、艦娘と呼ばれた。 ある日、少し前の戦いで沈んだ艦娘が記憶を失って浮上する。前後して、兵装を壊す異変が海に広がっ…

『軍旗はためく下に』

戦没者の遺族年金を申請しては毎年のように却下されている女性が、また厚生省へ申請にやってきた。敵前逃亡で夫が処刑されたという却下理由が事実なのか、疑いつづけているのだ。 女性の願いに押されるように、厚生省は問いあわせに返事がなかった関係者4人…

少女像を誹謗するため、長崎の平和記念像を肯定して、原爆の子の像への嫌悪感を表明する人

原爆投下日を記念しつづけることと、慰安婦を像で記念しつづけることを、皮肉るようになぞらえる匿名記事があった。 日本「8月6日は原爆の日!」←これ慰安婦像と何が違うの? 75年前のネタでいつまで被害者アピールするつもりなんだろう 本文とあわせて見る…

原爆をめぐる日本の行政の動きをいくつか記録

長崎県の佐世保市が原爆写真展の後援を断ったとの報道が先月末にあった。 佐世保市が原爆写真展の後援断る 「政治的中立性保つため」 | 共同通信 市教委は昨年も同様の対応を取っており「政治的中立性を保つため」と説明。団体側は「県民感情と異なる」と反…

硫黄島から遺骨をとりかえせ……って誰から?日本政府から?

2019年にアカウントをつくった「H・O (大仏)@HO71854419」氏の、根拠のはっきりしないツイートが万単位のいいねやRTを稼いでいた。 「拡散希望」初めて拡散希望をします。無理にとは言いません。一人でも多くの方に知って貰いたい事があります。安倍総理が政…

李玉善氏の半生を描いた漫画の日本語訳出版に対して、朝日新聞に全責任を転嫁するコメントがあった

漫画のタイトルは『草』といい、日本語版は新興出版社「ころから」から先月に発売。 草 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー作者:キム・ジェンドリ・グムスク発売日: 2020/02/14メディア: 単行本 その紹介記事が朝日新聞に掲載された。記者は従軍慰安婦…