法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

近現代

国家が加害者としての態度を問われた時、被害者へ配慮しすぎたなどと踏みつける必要がどこにあるのか

米中が日本に「踏み絵」をせまるという表現を、どの報道もタイトルで使いがち - 法華狼の日記 想像するに、「踏み絵」は歴史的に宗教弾圧のため権力者がつかったことから、選択を強要される理不尽さそのものをにおわす表現として好まれるのではないだろうか…

「従軍慰安婦」という表現をつかわないのはいいのだが、閣議決定の根拠には大いに問題あり

「従軍慰安婦」や「強制連行」といった歴史用語について質問した維新の会の馬場伸幸氏に対して、「慰安婦」という用語が適切と答弁したという。 「従軍慰安婦」表現は不適当 「強制連行」も 政府答弁書 教科書は使用 - 産経ニュース 答弁書では、平成5年の…

亀田俊和氏の「非モテ」の歴史と「反フェミ」の現在

日本中世史家の亀田俊和氏と、「非モテ」という概念にまつわる歴史 - 法華狼の日記 「非モテ」当事者として活動している集団「革命的非モテ同盟」は、2009年の取材時点で状態のみを指す概念ではないと表明していた。 上記エントリに対するはてなブックマーク…

『海底軍艦』

敗戦後の復興をはたしつつある日本で、謎の拉致事件が起き、海辺に銀色の怪しい人影が出没する。それは一万二千年前に滅んだはずのムー帝国の尖兵だった。 拉致事件に出くわしたカメラマンが、美女を見かけて被写体にするため追いかけると、旧日本軍の縁につ…

そういえば、慰安婦が思いどおりに辞められるラムザイヤー理論が正しいなら、ひとつ日本政府に不都合な話へつながるよね

日本軍慰安婦の総数について明確な資料や、信頼できる総数の証言はない。 そこでほぼ明確な人数がわかっている日本軍の総数に、兵士にあてがわれた慰安婦の比率でわって、そこに交代率をかけることで、のべ人数が推計されている。 慰安所と慰安婦の数 慰安婦…

比較政治の専門家なら「狭義の強制連行」という概念を1991年以前に反映できないことは指摘できるはずではないか

先日に、金学順証言を植村隆氏が報じた「当時の段階」において、はたして「挺身隊」と「慰安婦」が日本で区別できたのだろうかという疑問を書いた。 hokke-ookami.hatenablog.com 同じように、「連行」という表現が当時において必ず「強制連行」と読解され、…

ラムザイヤー論文批判記事にからんで、慰安婦の写真が誤用されているリプライが衝撃的だった

経済学者ラムザイヤー氏の慰安婦論文が批判されていることは先日も言及したが*1、ザ・ニューヨーカー誌に日本語の批判記事が掲載された。 www.newyorker.com ジニー・ソク・ガーセン氏の批判は端的にまとまりつつ、ラムザイヤー氏の同僚としての心象も興味深…

「挺身隊」という言葉が1944年の「女子勤労挺身隊」の意味しかないと、はたして1991年の日本で断言できただろうか?

植村隆氏の名誉棄損裁判で対西岡力敗訴確定*1を受けて、朝鮮半島地域研究者の木村幹氏がツイートしていた。 「当時は慰安婦被害が詳しく知られていなかったため、“挺身隊”と“慰安婦”が混用」というのも違うと思う。当時の段階でもこの程度は十分調べられた筈…

東京大空襲の証言が封印されている報道を読んで、きちんと展示される韓国の博物館などを思う

くりかえされた空襲のなかでも、特に重視されている3月10日にあわせて東京新聞が報じていた。 www.tokyo-np.co.jp 証言ビデオは1996~99年度、当時都が建設を目指していた祈念館での公開を目的に収録した。330人分が集まったが、日本の加害について…

ラムザイヤー論文の要約によると、高額な前払金は慰安婦側が常に優位な交渉をした証拠という主張らしくて、さすがに目を疑っている

「余命三年」や「桜井誠」を論拠として引用した問題*1で話題沸騰なJ・マーク・ラムザイヤー氏の慰安婦論文*2について、弁護士の堀新氏が感想記事をあげていた。 note.com 堀氏の重要な指摘が、契約において正確な説明がされていて慰安婦側が理解していたと…

『世界まる見え!テレビ特捜部』偶然か?奇跡か?神様のイタズラ

番組中でも言及があったが、今回はサブタイトルに反して人間のおこないが印象に残るエピソードばかりだった。 最初に紹介されるエピソードからして、野生動物や家畜とはなればなれになるしかなかった人々の逸話。どれも人間が介入している出来事だ。 シリア…

首相をやめた安倍晋三氏が、産業遺産情報センターの用意したブーメランを脳天に刺していた件

「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に選ばれた時、強制労働などの問題も紹介する条件がつけられていた。 しかし日本側はきちんと約束を守るどころか、むしろ歴史的な問題を否認する方向へ力を入れている。 www.kinyobi.co.jp 同時代の日本国内でも問題に…

遊女リンの描写を増やした『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、遊郭の制度的な監視をアニメオリジナルで強調している

雑誌で読んだ対談だが、公式サイトで全文公開されているので、その紹介をかねて該当箇所を引く。 ikutsumono-katasumini.jp 2018年に亡くなった高畑勲監督は、2016年に公開されたアニメ映画『この世界の片隅に』をくりかえし見て、改善案なども語っていたと…

「近代」が「世界史」と関係あることすら理解できない匿名記事を読んで、からまれている社会学者の田野大輔氏の大変さを思う

hokke-ookami.hatenablog.com 上記エントリに対して、批判したいらしい匿名記事を読んでいた。 anond.hatelabo.jp 引用文も読めていないことが明らかに思えたので、とりあえず無視しておいた。 しかし、はてなブックマークが意外と集まりつつきちんと批判さ…

「世界史の稲田先生」は自身の授業では、きちんとナチス体制の「相互に矛盾するご都合主義」などを教えていたとのこと

「世界史の稲田先生」は、ナチス政策を肯定する高校生の小論文を「思想はともかく、事実は問題なく、高校生のレベルではない」と評した人物として登場する。 hokke-ookami.hatenablog.com 私にしても「少し情けないのでは」という感想を上記エントリで書いた…

ナチスの政策を肯定した高校生の小論文は、「虐殺の有用性」を主張する内容だったという

予備校講師の田島圭祐氏による下記ツイートが注目を集めていた。 思い出した。かつて一番添削に困った小論文。彼女はヒトラーのファンでナチスの政策を徹底的に肯定した内容。文体は完璧で中身は私ではわからない専門的な内容だったので、世界史の稲田先生に…

NHKの軍艦島ドキュメンタリ『緑なき島』が産業遺産情報センターから敵視されている問題について

NHKが1955年に放映した短編ドキュメンタリ『緑なき島』*1が、産業遺産情報センター所長の加藤康子氏や、自民党衆院議員の高木啓氏に非難されている*2。 60年も前の、ほとんど誰も見ていない番組にケチをつける粘着ぶり! これが歴史修正主義者の「一点突破全…

歴史探偵の半藤一利氏が死去したとのこと

文芸春秋の編集者として司馬遼太郎や松本清張を支えて、自身もそれに近い「作家」だった。あくまで歴史学者ではないが、読み物としては興味深い著作が多かった。 www3.nhk.or.jp 秦さんは「ジャーナリストとして、イデオロギーを超えた中立な視点で、歴史の…

クメール・ルージュによるカンボジアの分断支配と虐殺を母親視点で描いたアニメ『FUNAN フナン』が日本で公開

2018年にアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリをとった作品。 予告映像を見ると、美しく精緻な背景美術と、シンプルで影のない手描きキャラクター作画が、日本の子供向けアニメ映画のようだ*1。 www.youtube.com 特に、一時期の虫プロや亜細亜堂が…

関東大震災で香川県の行商が虐殺された福田村事件を、森達也監督が劇映画化しようとしているとか

映画取材のための監督来県を報じたKSB記事によると、関東大震災百年後の2023年9月1日の公開を予定しているとのこと。 news.ksb.co.jp 朝日の記事では、歴史的事件を再現する森監督初の劇映画として*1、クラウドファンディングで資金を募る予定だという*2。 d…

『NHKスペシャル』 アウシュビッツ 死者たちの告白

ナチス強制収容所で同胞の虐殺に加担させられたユダヤ人の記録を描く。初回放映は8月16日。深夜の再放送で視聴した。 www.nhk.or.jp 『サウルの息子』など映画化もされたゾンダーコマンド。虐殺の現場労働をしいられ、心身をすりへらしながら同胞には裏切り…

日本の外務省などが圧力をかけていたベルリンの少女像が撤去要請されたとの報道

関係のない国家に記念碑を建立する意義は、きっと日本人ならいつかわかるよ - 法華狼の日記 日本は第三者国として、あるいは被害国として、さまざまな犠牲を象徴する碑をたててきた。 上記エントリの件で、日本が加害した記念碑が撤去されることとなった。も…

関係のない国家に記念碑を建立する意義は、きっと日本人ならいつかわかるよ

日本軍慰安所制度を告発し、その犠牲を記憶する少女像が、新たにドイツ首都ベルリンに建立された。 そこは在外公館が近いわけでもなく、日韓合意ですら表現規制できないはずだが、日本政府は撤去を求めていくという。 ベルリン少女像「撤去を」加藤氏 元従軍…

従軍慰安婦について、当初から変わらない主張をつづけているだけなのに、存在しない変化を見ている人々

「はてサ」の「ウォッチ」すらできないウォッチャー - 法華狼の日記 どれも反論と呼べる領域に達していない。対象を読まずに評する、根拠を出さない、理路も示さない、あやふやな記憶で語る、引用しても曲解する……はてさて「ウォッチ」とは何だろうか。 せめ…

黒沢清監督の戦中映画『スパイの妻』がベネチア映画祭で銀獅子賞をとったとのこと

ベネチア国際映画祭 黒沢清監督が監督賞 「スパイの妻」で | エンタメ | NHKニュース 「スパイの妻」は、太平洋戦争の直前に国家機密を偶然知ってしまい、正義のために世間に公表しようと暗躍する男性と、その妻の物語です。授賞式のあとの記者会見で、審査…

『奇跡体験!アンビリバボー』潜入記者が暴いた大スクープ 岡田更生館事件

路上生活者を収容して支援する岡山県の厚生施設。その優良とたたえられた評価の裏に隠された真実を毎日新聞があばいた事件。 奇跡体験!アンビリバボー:潜入記者が暴いた大スクープ 岡田更生館事件 - フジテレビ 戦後の混乱期に起こった、前代未聞の事件。 …

列車の窓から入りこんだからといって、「朝鮮人」という属性に注目するのが差別だよ

1945年8月20日の広島で、「朝鮮人」が列車の窓から割って入ったというツイートが批判的に注目された。 【1945年8月20日】朝鮮人だ!!大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる!#ひろしまタイムライン#もし75年前にSNSがあったら— シュ…

人種差別を流布した「ひろしまタイムライン」に「表現の不自由」を見る

原爆投下時の広島にSNSがあったという仮想で、過去を現在に再演するNHKの企画が「ひろしまタイムライン」。 1945ひろしまタイムライン|NHK広島放送局 当時を記録した3人の日記を細分化して編集し、現在の日付にあわせて実際にツイッターへ投下していく。 そ…

『【国際共同制作 特集ドラマ】太陽の子』

戦時中の日本は、京都大学の研究室で原子核爆弾を開発しようとしていた。そこで研究する石村修は核燃料をとりだす遠心分離機の開発に精力をかたむける。 しかし研究の道を進んだ兄のかわりに弟の裕之は戦死し、ウランの入手をたのんだ女性は大阪空襲で命を落…

『軍旗はためく下に』

戦没者の遺族年金を申請しては毎年のように却下されている女性が、また厚生省へ申請にやってきた。敵前逃亡で夫が処刑されたという却下理由が事実なのか、疑いつづけているのだ。 女性の願いに押されるように、厚生省は問いあわせに返事がなかった関係者4人…