法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

近現代

『ペリリュー 楽園のゲルニカ』のアニメ化が、シンエイ動画による劇場作品化と発表

毎年『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』で、少なくとも映像はしっかりした劇場作品を送りだしてきた体力のある会社だが、まさか銃後を描いた『窓ぎわのトットちゃん』*1につづいて最前線を描くことになるとは。 ペリリュー -楽園のゲルニカ-:終戦80年…

戦時中の信楽焼を題材にしたジャンプ+新連載『陽光ヲ待ツ』に期待したい

今後どのように話がころがるかはわからないが、第1話だけでも太平洋戦争開戦前夜の庶民を描いた読切漫画として完成している。 shonenjumpplus.com 作者のななせ悠は、ジャンプ+読切画像ジェネレータで私選した3作品のひとつでも見事な歴史漫画を読ませてくれ…

表現の自由や著作権を軽視することにおいては、藤栄道彦氏に奇妙な一貫性はあるとは思う

漫画原作者のid:Rootport氏が「キャンセル」を否定する理由として小林多喜二虐殺の歴史を引いたことに対して、漫画家の藤栄氏が虐殺のおかげで共産革命が起きなかったと語っていた。 『蟹工船』の作者は警察の拷問で死亡した。小林多喜二は氷山の一角にすぎ…

『サザエさん』においても、戦時中の記憶とむすびついたイモを忌避する描写があるらしい

サザエさんで夕食がイモの天ぷらと聞いて、波平とマスオがブチ切れる四コマがあるのだが、これも戦争経験を踏まえたもので、今の読者は2人がなんでキレてるのか分からんだろうと思う。つまり、南方に従軍していた波平は当然として、マスオさんも戦時中の食生…

北村紗衣氏による『ダーティハリー』感想への異論というだけで反発されている事例がどこにあるのだろう?

もしも北村紗衣氏の『ダーティハリー』感想におけるアメリカンニューシネマの説明がまちがっていたとしても、あまり感想の良し悪しとは関係がないし、ウソをついたことを意味しない - 法華狼の日記 Wkipediaの「アメリカン・ニューシネマ」項目から『ダーテ…

『モガディシュ 脱出までの14日間』

韓国が国連加盟をめざしてアフリカ諸国にはたらきかけていた1980年代末から1990年代初頭にかけて、ソマリアで内戦が勃発した。巻きこまれた韓国大使館と、当時は先んじてヨーロッパやアフリカと関係を深めていた北朝鮮大使館が、脱出のため協力せざるをえな…

『ダンケルク』

1940年、フランスの街角で逃げまどう英軍兵士が、イギリスへ脱出しようと兵士が待機する海岸へたどりつく。一方、兵士の脱出を助けようとする民間のちいさな観光船がイギリスから出港した。また一方、脱出を支援するため三機の英軍戦闘機が海上を飛んでいた……

『特集ドラマ「昔はおれと同い年だった田中さんとの友情」』

今から十年前、公園から追い出されて神社の境内でスケートボードをやろうとした男子3人と、その境内に戦後から住み込みで管理人をしている老人の奇妙な出会いと、戦争の歴史の継承を描く。 www.nhk.jp 終戦記念日放映のTVドラマらしく、戦争によりよるべを失…

『ゴジラ-1.0』

日本軍が敗戦間近の大戸島に、故障した軍用機をうけいれるちいさな整備基地がつくられていた。そこに特攻機が着陸するが、乗っていた敷島の主張する故障を整備兵は見つけられなかった。その夜、大戸島につたわる伝説の存在ゴジラがあらわれ、整備基地を壊滅…

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

ひとりのジャーナリストが鬼太郎の謎をさぐろうとしていた。なぜ彼は人間を守ろうとするのか。その起源は昭和31年にさかのぼる。血液銀行につとめている戦場帰りの水木は、謎の血液製剤の利益をもとめて、哭倉村という村へ行くこととなる。そこで血液製剤を…

フランスで日本を呼ぶ略称「JAP」を蔑称と批判して変えるよう要望することは正しいとして、ならば日本が中国を「シナ」と呼ぶことも批判すべきだろう

発端は、フランス大使館アカウントに抗議してブロックされたという「shin@アメリカによる日米地位協定悪用を許さない@shin_the3rd」氏のツイート*1だった。 フランス代表Xアカウントの「JAP」をフランス大使館に抗議したらブロックされた!日本人差別! - To…

ゲーム『アサシンクリード シャドウズ』の販売停止をもとめる署名報道に対して、日本軍慰安所制度映画『鬼郷』の歪曲された監督発言を引くhagakuress氏

「日本史を侮辱」戦国時代舞台の仏ゲーム、発売中止署名に9万超 主人公「弥助」巡り論争 - 産経ニュース フランスのゲーム会社が発売を予定しているソフトがSNSなどで〝炎上〟し、発売中止を求めるオンライン署名の賛同者が10万人をうかがう勢いになっ…

蓮舫氏の都知事選出馬で十数年前の事業仕分けがまた話題になっていたが、現都知事の小池百合子氏が当時に陰謀論をとなえていたことはあまり話題になってない

よく話題になる発言については、当時の映像を紹介しつつ再検証した犬飼淳氏の記事が新しく出ている。 蓮舫氏「2位じゃダメなのか発言」の真相…5つの観点から分析する「報道のキリトリ」と「実際の発言」との相違点 | 集英社オンライン | ニュースを本気で噛…

日本の漫画やアニメが社会学者や教育学者によって不当に弾圧されてきた歴史はどこにあるのだろうか?

狸穴猫氏が3月11日に書いた下記noteが多数のはてなブックマークを集めていた*1。 世界中で愛される、日本の「マンガ・アニメ」は、社会学者や教育学者によって不当に弾圧され続けてきたことを掘り起こしておく|狸穴猫(まみあなねこ) 鳥山明急逝を受けて、…

『新少林寺/SHAOLIN』

清朝が倒れ、内戦がつづく20世紀初頭の中国。敗北して少林寺へ逃げこんだ敵将を追って、侯杰という将軍が近代的な軍隊をひきつれて押しよせてきた。そして侯杰は部下とともに少林寺の僧侶をしりぞけ、敵将を撃ち殺して去る。侯杰は組織内で下剋上も考え、腹…

『世界まる見え!テレビ特捜部』ピンチを乗り越えて3HSP

2024年初の放送。他番組のSP化にあわせて内容をよせあつめたような作りで、良くも悪くも特番感はない。 ただ紹介されるドキュメンタリの質は全体的に良かった。 「カメラがとらえた信じられない瞬間」は、監視カメラが個人店などにも設置されることが普通に…

なるほど『オバケのQ太郎』は日本兵のPTSDと米国との和解を描いていた?!

臨床検査技師でもあったSF作家の林譲治氏を発端として、ノンフィクション作家の松浦晋也氏らが引用リツイートしていった流れが興味深かった。 まだ現役だった時に、さる病院のベテラン看護婦さんから「うちの病院には、中国に従軍して精神を病んだお爺さんが…

『窓ぎわのトットちゃん』

日本が戦争をつづけている時代にトモエ学園という風変わりな学校があった。電車の車両をならべて校舎として、さまざまな困難をもつ子供たちを尊重していた。 そこに奔放すぎて普通の小学校にかよえなくなった少女「トットちゃん」が入ってきた。トットちゃん…

『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』河井克夫著

辺見じゅんが1992年に書いたシベリア抑留のノンフィクションを、河井克夫が漫画化。2021年から文春オンラインで連載され、2022年に単行本としてまとめられた。 ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉 (文春e-book)作者:辺見じゅん ・原作文藝春秋Amazon 時期的に映…

精神病テーマの映像作品に関東大震災の朝鮮人虐殺を組みこんだところ、東京都から奇妙な理屈で却下された件についての反応をふりかえる

https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/iiyamayuki-tokyo-metropolitan-human-rights-plaza-news-2022-10 記者会見では、①公権力による美術作品への介入について(飯山)、②ヘイトスピーチ規制について(FUNI)、③東京都の歴史認識について(外村)、それ…

『日本敗れず』

1945年5月23日、日本へはげしい空襲がおこなわれ、人々は焼け出されていった。さらに8月6日と8月9日に広島と長崎へ原爆が投下され、日本の中枢は降伏しようと動き出した。しかし戦争継続をもとめる日本軍の一部隊が、降伏宣言の録音を奪取しようと決起する………

『特集ドラマ「軍港の子~よこすかクリーニング1946~」』

父は戦地から帰らず、母は空襲でうしなった小川今日一は、終戦直後の横須賀で親戚の家に身をよせていた。しかし親戚よりさらに貧しい食事しかあたえられず、いつもクリーニングの仕事を強要されていた。 ある日、運んでいた衣服と乗せていた自転車を戦争孤児…

『妻と飛んだ特攻兵』

1945年、戦火がはげしくなった本土からひとりの女性が満洲へわたった。そこはまだ五族協和の建前がかかげられている豊かな植民地で、陸軍の特攻隊が訓練を受けていた。その指導をおこなう少尉こそ、女性の夫。 夫婦は若い飛行士や整備士をいたわり、つかのま…

『オッペンハイマー』との悪趣味クロスオーバー「#Barbenheimer」へ『バービー』公式広報がのっかったとして、実際の作品を見ずに批判していいのだろうか?

もちろん批判していい。 pic.twitter.com/2SYdD6Bxva— 映画『バービー』公式 (@BarbieMovie_jp) 2023年7月31日 シリアスな核兵器開発者の史実映画『オッペンハイマー』と、ポップでフィクション批評的なメタ映画『バービー』という、公開時期の近いヒット2作…

日本軍による性暴力の被害者は「身体女性」だけではない

ツイッターでトランス差別を批判している哲学者の能川元一氏に対して、トランス女性を男性視しつつ日本軍慰安所制度の被害者にいたかどうか問いつめるツイートがあった。 別に「男が女になった」わけじゃないから。女性が女性であることを認めろ、と言われて…

NHKが政府与党の圧力に屈して軍艦島ドキュメンタリ『緑なき島』を封印したらしいという報道

時事通信がつたえていた。放送年などから考えて、以前から圧力を受けつづけてきた短編ドキュメンタリ『緑なき島』のことと思われる。 NHK、軍艦島映像「今後使わぬ」 自民会合で、元島民疑義:時事ドットコム 自民党は19日、外交部会と「日本の名誉と信…

科研費裁判で杉田水脈氏が一部でも逆転敗訴したのは良かったが、「捏造」という評価をめぐる裁判所の判断はよくわからない

杉田水脈氏に33万円賠償命令 控訴審判決、教授らの訴え一部認める | 毎日新聞 清水裁判長は、経理に関する発言は科研費が不適切に使用されたと受け取られる内容で、真実とも認められないと判断。「ずさん」と指摘された牟田氏の社会的評価を低下させたと認定…

キャンセルカルチャーを警戒すると自称する某大学教授、自国で表現が弾圧されていることより外国の団体のスキャンダルが気になる様子

京都女子大教授の江口聡氏が、暇空茜こと暇な空白氏にブロックされているという、自分自身でどうでもいいというツイートをしていた。 あ、あの先生は暇な先生についていろいろ書いてたけど消して(訴訟回避?)、私をその先生のアノンだかなんだかに見立てて…

「日本軍は当時の南京市民に歓迎された」という写真で女性が和服を着ている謎を、信州戦争資料センター氏が解明していた

発端は「私は嘘を申しません」とだけプロフィール欄に書いている「Alsnova@alsnova」氏の下記ツイート。 日本軍は当時の南京市民に歓迎されたみたいですね。写真が多数残ってますよ。そもそも軍事目的として大量虐殺なんかする必要性がありませんね。 pic.tw…

「共産党アレルギー」の由来を質問するツイートに対して、シベリア抑留に対する社会党議員の答弁をリプライする謎

自分と同世代のオタクでも共産党アレルギーって凄いあるなって思うし、でも自分の人生の中で共産党に何かされたっていう覚えが全く無いから、どういうルートでそうなってくんだろうなって。— Lhasa (@AtTheBlackLodge) 2023年1月14日 自分と同世代のオタクで…