法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

小説

『絶望系』谷川流著

儀式的な肉体関係を求める姉妹。友人の部屋にとびこんできた四つの闖入者。闖入者は天使と悪魔と死神と幽霊だという。そして街で連続する猟奇殺人。 いくつもの異常が日常となり、しかし主人公は心を動かされることなく、淡々と観察しつづける。 比較的に新…

『キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人』森川智喜著

人間をはじめとして、あらゆる存在に変身できる化け猫たち。その一匹が人間を新鮮な食肉へ加工する方法を思いつき、猫世界の成功者となることをもくろむ。 そして人間をさそいこんで食肉に加工する偽コテージを建て、四人の男女をまねいたところ、そのなかに…

『ハーモニー』『虐殺器官』を批判する匿名記事を読んでいて気づいたこと

下記の匿名で書かれた批判文が注目を集めていた。 王様は裸だ! と叫ぶ勇気 ~伊藤計劃『ハーモニー』の崩壊~ 今回は、自分の名前を出して発言するのはあまりにリスクが大きいと判断して、不本意ながらこういう形を取らせてもらった。実は匿名で書くことに…

『アーサー王宮廷のヤンキー』では文明側の限界も描かれているし、技術だけで優越する物語でもない

『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』と植民地支配の娯楽性 - 法華狼の日記 上記エントリに対して、下記エントリからトラックバックが送られていた。 「歴史改変」「文明チート」の元祖?マーク・トウェイン「アーサー王宮廷のヤンキー」はすごいらしい……

『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』と植民地支配の娯楽性

なぜ異世界を日本領土としてあつかうのかと、[twitter:@ka_ma_ta]氏のツイートから[twitter:@srpglove]氏が疑問を発していた。 window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElemen…

『机上の空想 シェイクスピア・ゲーム』

NHK総合で深夜に放映されていた企画番組。与えられた設定で出演者が空想しあい、新しい物語をつくりあげる。2014年9月にBSプレミアムで放映された番組の地上波再放送らしい。 展開を合議で決めていくか、それともリレー形式かと予想していたが、大きく外れた…

『まおゆう魔王勇者』を読んでも、上手に作者が節税できそうな気はしなかった

なんとなく言及しなければいけないような気がして。 下記記事の全文では本名や年齢が公表され、他の報道では法人の入っている住居や、風貌も報じられている。 http://www.asahi.com/articles/ASH48538QH48UTIL01J.html 橙乃社長は2011年4月、自身の著作…

流れに身をまかせた桃太郎

昔々、ある川に流れてきた大きな桃を、洗濯していたお婆さんが見送りました。 内側から大きな桃を食べる音がして、小さな顔があらわれました。 赤ん坊です。 流れつづけた赤ん坊は、川岸にたたずむ犬と猿と雉をとおりすぎ、鬼ヶ島まで流れつきました。 食べ…

「最近のラノベ」を理解したい人へ薦める、単巻で完結する10冊

「ハーレムでもなく、主人公最強でもなく、主人公マンセーでもなく、オタク主人公でもなく、パロディ無し」*1という条件を、「最近のラノベっぽくなくて面白い最近のラノベ」の要件として示したツイートが話題になっていた。そのツイートを中心として、下記…

ハイファンタジーに比べてローファンタジーに不満を感じることが時々ある、ごく個人的な理由

作品要素の全てが異世界でつくりあげられているのが「ハイファンタジー」で、地球人が異世界に行ったりと現実の要素がふくまれるのが「ローファンタジー」というカテゴライズがある。前者の代表が『指輪物語』、後者の代表が『ナルニア国物語』といったとこ…

『魔法科高校の劣等生』アニメの原作軽視を批判するために原作描写を無視するなんて、なかなかできることじゃないよ

下記NAVERまとめ記事では、ツイッター等の指摘にもとづき、アニメ版の表現が漫画版から引いてあると主張している。 アニメ版魔法科高校の原作との違いまとめ~入学編~ - NAVER まとめ その結果として主人公妹が腰をかがめたり、おおげさに喜んだりするアニ…

『夏葉と宇宙へ三週間』山本弘著

ある夏の海水浴場。突如としてあらわれた宇宙船へ、ひとりの少女が興味本位に近づき、追いかけた少年ごと吸いこまれてしまった。 ニンゲンが乗っていないと動くことが許されないという人工知能にたのまれ、ふたりは宇宙船の母星へと向かう。もちろんその冒険…

『幽女の如き怨むもの』三津田信三著

とある遊郭の戦前戦中戦後を舞台として、遊女の幽霊らしき影が人々にまとわりつき、謎の墜死事件が連続する。 華やかに装われた花魁がすごす、逃げ場のない日々。ひとつの源氏名を与えられた遊女と同僚たちの苦しみが、みっつの時代をとおして描かれる。 201…

“最近のラノベ”として、冲方丁の『シュピーゲル』シリーズが出てこない謎

以前から“最近のラノベ”として一部作品の画像がインターネットに出まわっている。標的にされているのは、文字遊びを多用したり、イラストと連動したり、タイポグラフィを活用した演出。それらが小説ではないとして批判されている。 なぜ文章ではない表現を使…

小説をパクられたあげく「オリジナルの方を消してもらえませんか?」と言われた被害者が、まったく同じパクリをしていたことを確認

発端は、被害者というchomitama氏による下記ツイートだった。 はてなブックマーク - Twitter / chomitama: 昼からの摸倣犯の理不尽なメールです。世の中にはこのような方もいるということで書き手さんの皆様はお気をつけください。 ツイートを見ると、パクリ…

『シンデレラウミウシの彼女』如月かずさ著

雌雄同体のシンデレラウミウシを水族館で見た思い出をもつ、幼馴染の中学生男子ふたり。 ある日、なぜか一方の肉体が女性に変わってしまう。周囲の記録も記憶もすべて最初から女子であったかのように改変され、男子であったことの証はふたりの記憶のみ。 性…

会話に括弧を使う時における1935年の規範事例

下記の話題とかかわりつつ、少し異なる話。 ラノベでカギ括弧を重ねて使うのはズルなのか技法なのか - Togetter http://d.hatena.ne.jp/srpglove/20140703/p1 多重カギ括弧は20年以上前から存在していた~友野詳氏の回想録~ - Togetter ここ最近に個人的な…

『魔法科高校の劣等生』主人公コピペの改訂版を見つけた

コピペ全体だけでなく、ひとつひとつの解説が、ニコニコ大百科の主人公項目で記述されている。 司波達也とは (オニイサマとは) [単語記事] - ニコニコ大百科 司波達也の異常なまでのスペックはコピペ化されているが、実は割と設定を誤解している部分や重複し…

「あなたのSFコンテスト」のプロット『熱核のアドモスフェア』

このようなインターネット有志の企画があった。投稿サイト「小説家になろう」をメインの舞台として、SF作品を書きあうらしい。 あなたのSFコンテスト 機械あるいは岩塊のごとき巨大な怪物クローサーが、最初に地球へ落ちてきてから一年たつ。それ以来、星が…

『ガサラキ』でツイッターを検索していたら『魔法科高校の劣等生』が似ているというツイートを見かけて慟哭しながら能を舞っている

いや本当に舞っているわけではないが、精神的に。 むろん『ガサラキ』もそれはそれで問題があったとは思うし、ひとりの思想に作品が飲みこまれてしまったことは似ているが。 それはさておき、『魔法科高校の劣等生』のTVアニメに不満を表明しているskipturnr…

『魔法科高校の劣等生』でイラストレイターが批判されていることがよくわからない

過去に「作画崩壊」と評されたアニメについて、意図的な表現であることや静止画での評価は不当と主張するエントリを、過去に何度かあげてきた。 「作画崩壊」風物詩 - 法華狼の日記 しかし今回は普通にわからない。ライトノベルでしばしばある、本文と挿絵の…

『これ艦』〜大日本帝国幻艦隊不沈史〜

その老人は英国の名探偵よろしく杖で地面を叩いた。 「これは艦です」 私は首をかしげた。いったい老人は何をいっているのだろう。

日本のサブカルチャーをくくるにあたって「伊藤計劃以後」というくくりはピンと来ないけど

「角川春樹逮捕以後」というくくりなら何となくわからないでもない。 http://d.hatena.ne.jp/naoya_fujita/20140323/1395596751 つまるところ、はっきりした時代の区分が生まれるのは、売る側の事情なんじゃないかな。

あやふやな時系列で文学史を語ることこそ、作家と読者を馬鹿にしていないか

「ラノベ」と「純文学」の関係について自己流文学史を語る、下記のおーぷん2ちゃんねるスレッドが話題になっていた。 ページがないです。。 このスレの目的は大きく2つだ。 【その1】ライトノベルが純文学の系譜に属すること。 【その2】だがそもそも純…

『幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇』西澤保彦著

数十年前の貸本屋で、ある男の腹に包丁が刺された。その直後、黒衣の女と、男の妻に横恋慕していた若者が目撃される。 すぐに犯人として捕まったのは男の妻。しかし同時刻に別の場所で、妻がピアノの前に座っている後姿を、少女と少年が目撃していた。 その…

『小説家の作り方』野崎まど著

売れない駆け出しの小説家に、はじめてとどいたファンレター。そのファンは、世界一の面白い小説のアイデアがあるが、書くことができないという。指南をたのむファンに小説家が会ってみると、そこには若く美しい女性がいたのだが…… キャラクター描写だけ巧い…

『死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死』野崎まど著

歴史ある女子学園に赴任した高校教師。美しい同僚とつきあいたいと思いつつ、それなりに真面目な教師たらんと努力しつつ、女子学生のパワーに圧倒される日々。 そんな主人公が、友人がいないことに悩んでいる少女の相談にのっていた時のこと。ふたりが噂をし…

『隻眼の少女』麻耶雄嵩著

異なる年代の二部作で描かれる、少女探偵の誕生。 とある寒村に少女探偵が来訪する。やがて巫女候補の首が何度となく切断され、たまたまいあわせた主人公の周りで死が満ちる。 受けつがれていく少女探偵の名前と能力は、雪深い村の因習と殺戮に、どう対峙す…

三百人斬りで処刑された将校は架空戦記作家だった

田中軍吉中尉が小説家であったということ、そしてその作品内容について、北原尚彦『SF奇書コレクション』で調査されていた。山本弘ブログで知った。 山本弘のSF秘密基地BLOG:北原尚彦『SF奇書コレクション』 該当する連載部分が『WEBミステリーズ!』に掲…

『舞面真面とお面の女』野崎まど著

「心」「体」「面」の三つを解くと「よきもの」が待っているという曾祖父の遺言。主人公の青年は叔父に依頼され、叔父の娘と協力して謎を解こうとする。 そして主人公の前にあらわれる、金属製の立方体「心」と、立方体の一枚岩「体」と、動物の「面」をかぶ…