法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season20』第8話 操り人形

大学構内から白骨死体がほりかえされた。どうやら半世紀前の学生運動で注目された幹部で、行方不明になっていた青年らしい。内ゲバと判断されるが、杉下は対立組織を粛正したなら当時は宣伝したはずだと指摘する……


Season19第11話第11話*1などの瀧本智行による脚本。白骨死体となった幹部が女性に性的関係を強要したと語られた時点で想像したとおり、学生運動の正否というより*2、閉鎖的な社会運動の問題を描く物語だった。
実際に当時の学生運動内部ではセクシズムが蔓延していたそうだが*3、現在のさまざまな社会運動内でもセクシャルハラスメントが発覚することは少なくない*4。それは声の大きなカリスマを待望し、そしてそれらしい人物の専横を許して罪に目をつぶってしまう人々の問題でもある。途中に登場した別の元学生運動の闘士をつかって、そういう閉鎖的集団の問題を批判する物語にもできたろう。
しかし、すべては白骨死体の逆恨みのような呪いの物語として終わった。半世紀前の性暴行が、現在にいたるまで多くの人間を苦しめる恐怖。これはこれでホラー調の演出ともども印象深かった。


ミステリとしては、人間関係が語られた時点で真相は見えすいている。学生運動とは無関係な友人関係があって、社会的に成功した男と人形劇をつづけている男女がいて、その女性はシングルマザーで父親不明の息子がひとりいる……と説明された時点で、その息子は幹部が無理やり女性をおそったため生まれたことは誰もが予想できる。
成功者と人形男がひんぱんに携帯電話でやりとりするリストでひとつだけショートメールという手がかりのさりげなさは良かったが、それ以外は息子の現在いる場所が語られただけで事件における役割りもすべて予想できてしまった。

*1:橋の下などの事件現場ロケーションも同じだ。 hokke-ookami.hatenablog.com

*2:そもそも学生運動の歴史をふりかえる物語にするなら、新劇運動と人形劇のかかわりなどを考慮して、当時から現在まで人形劇をつづける人物を政治に興味がない設定にはしないと思う。

*3:もちろん同時代の日本社会全体のセクシズムも無視できないが、集団における第三者視点の欠落や逃げ場を失わせる環境といった固有の問題もあるはずだ。

*4:近い陣営に遠い陣営、有名な人物も無名な人物も心あたりが複数あるし、発覚後も政治活動をつづけたり再開している事例もある。

弁護士の太田啓子氏が「真空パックAV」を知った経緯は、簡単な調べ物をしたことがあると不思議には思えない

2017年に太田氏が批判した時、そのジャンルの実写ポルノ作品について、私なりの感想を書いたことがある。
hokke-ookami.hatenablog.com
いくつか違う考えはもったが、「本当に真空パックにしているなら即刻全現場でやめるべき」というツイートの大筋には異論がない。


しかし太田氏が検索したことが、あたかも趣味嗜好のカミングアウトであったり、ゾーニング破りであるかのような反応が当時から現在まで存在する。


真空パック アダルトビデオ」で検索して吐き気。仮に作り物であったとしても、あれに性的に興奮するのは猟奇的。猟奇的な嗜好も内心に留まるなら自由だけどその嗜好が表出した表現物には恐怖を覚えるとしか。本当に真空パックにしているなら即刻全現場でやめるべき。死人が出かねない。


特殊性癖に興味津々なんですねえ…


ゾーニングが無意味なことは、太田弁護士が真空パックAVを掘り出して晒した件が雄弁に物語っておるよ。

実写作品で俳優を起用している以上、そこで発生する危険は現実のそれであり、ゾーニングの意義などとは別問題だ。
子供向け番組であれば危険撮影やハラスメントが許されるかというと、そのようなことはけしてない。


そもそも太田氏が最初に見つけたわけではなく、発端はCDジャケット写真であり、そこから意見提供されたという順序にすぎない。


それ、バンドのCDジャケットが女性を真空パックして閉じ込めてて危険視されたんだよ。
で、太田弁護士のタイムラインでそういうAVジャンルがある事も話題になってて、そっちはもろに女性が死にかけるのを楽しむような紹介文まであって問題視されたって経緯。


ご説明下さっている方もいますが、こういう経緯でした。私がタイムラインで目にしたアカウントの方がなぜそういうAVの存在を知ったかまではわかりませんが、バッキー事件から同様のことが起きないか警戒する感覚があって何かの情報がひっかかったのではないかと思います。
https://twitter.com/katepanda2/status/1466412302001848322

こうした説明に対して、意見提供した人物がアダルトビデオで検索したのは、やはり趣味嗜好によるものだと疑うような反応もある。


誤変換で検索しちゃうようなこともないでしょうし、「AV」のサジェストに出てくるようなこともないでしょうから、明確に「真空パック AV」で検索かけた変態がいたんですよねwwww


ジャケット写真からAVに派生したんですね
太田先生のタイムラインにいた人はなんでそういうAVがあるとわかったんでしょうね

もちろん連想によってくわしく調べてもおかしくはないし、そのような趣味嗜好をもつ人物がそれゆえに危険撮影を批判することにも問題はない。
たとえば愛好している子供向け番組で危険撮影がおこなわれていると知った大人が、その撮影現場を批判することは何も恥ずかしいことではない。


ただ、もっと単純な事実として、該当する実写ポルノ作品を見つけるにあたって、そもそも「アダルトビデオ」を入れて検索する必要はないはずだ。
太田啓子氏が批判して話題になる以前の時期で、「女性を真空パック」という単語をプライベートモードでgoogle検索すると、1ページ目か2ページ目にAVの紹介文が引っかかる。

f:id:hokke-ookami:20211203235349p:plain

念のため、この検索結果は必ずしも2016年当時のものではないようだが、それでも「AV」や「アダルトビデオ」といった単語が必須でなかったことは推測できる。
議論の発端となったCDジャケット写真を再確認しようとして検索しただけでも、アート作品や食品加工に混じって実写ポルノ作品が引っかかる可能性があるわけだ。
これはこれで耳目を引く性的コンテンツが検索結果の上位をしめる、「検索汚染」という別の問題を感じなくもないが。

テレビ朝日系列のワイドショー番組「モーニングショー」で、旧統一協会系メディアを肯定的に引いていたらしい

現在は家庭連合と名称を変えているカルト宗教。その関連メディア「ワシントンタイムズ」が11月23日に登場したと、id:debyu-bo氏が指摘していた。


モーニングショーで「ワシントンタイムズによると…」という発言を耳にして目眩を覚える。

リプライによると、高橋浩祐氏が解説につかったらしい。かつてハフィントンポスト編集長などをつとめたジャーナリストだ。


私も今朝のモーニングショーの「ワシントンタイムス」発の分析と解説には、驚きが隠せません。

「ワシントンタイムス」の記者からの話をまことしやかに、得意げに語る高橋某とか言う解説者。

そりゃ、出処が「ワシントンタイムス」ならアレですし、高橋某も興奮し過ぎて正視出来ませんでした。

どうやら性的関係を中国共産党幹部に強要され、テニスプレイヤーが行方不明になった事件への見解として、米国の保守系新聞と説明して引いたらしい。


ワシントンタイムズといえば、今年9月にインターネットでもりあげられた署名活動に入りこんだことで、統一協会との関係性が話題になった。
hokke-ookami.hatenablog.com
そこで注目された渡瀬裕哉氏*1はワシントンタイムズと統一協会の関係性を否定したが*2、11月におこなわれたイベントで来賓として登場したという。


統一教会系の国際勝共連合勝共UNITEが共催して開催中の憲法改正イベント。来賓はペマ・ギャルポと渡瀬裕哉。自民党中根一幸衆院議員がビデオメッセージも音声のみの配信。記念講演は梶栗正義会長。

偽装して社会へ入りこむことに特化したカルト宗教に、一般人が気をつけることは難しいことは理解する。
しかし、だからこそ大手メディアには慎重になってほしいものだ。

*1:

*2:

はてなブログが強制的に非表示された件について注意喚起

このブログが11月24日から非表示だったのは、削除依頼を受けての、プロバイダ責任法にもとづく運営の処置だった。
削除依頼の内容に非公開情報がふくまれると運営に注意されたこともあり、結論が出るまでブログ非表示化の経緯を説明することをさけていた*1
今回は諸事情で一週間しないうちに解除されて削除修正も必要なくなったが、普通なら該当エントリの削除が必要だったし、非表示状態が長引いた可能性もある。


くわしい事情の説明は後日にするとして、非表示にされた分水嶺は、二週間ほど前に運営から来ていた一通の照会メール*2を見逃したこと。
反省のひとつとして、下記アドレスからの運営メールを強調して通知が来るようにして、迷惑メールと判断されないようフィルターも設定した。

support@hatena.zendesk.com

いわれるまでもなく設定している人も多いだろうが、これだけはどのような思想や立場の人物も注意してほしい。
その設定さえしておけば、以下は特に読む必要はない。


私の失敗は、以前にスパムコメントが多く書かれた時期があり、運営に対処を求めても解決しなかったので、はてな関係の通知をあまり見ないメールフォルダにわけていたこと。
つまり私の選択なのだが、情報削除ガイドラインを確認すると、照会メールが意図せず迷惑メールフォルダに設定されていても対応に変わりはないという。
はてな情報削除ガイドライン - Hatena Policies

はてなから発信者、利用者に連絡を行う際には、はてな利用規約で定める通り、登録メールアドレス宛の電子メールで連絡を行う。登録メールアドレスが失効、あるいはエラーなどによって連絡を受信できなかったために被った不利益については、はてなは一切責任は負わない。

実際にhiroseyonaka氏の場合は、YAHOO!メールのフィルターで運営メールがはじかれたため気づかず、問いあわせてから状況を理解し、すぐ記事を削除して再表示されたという。
www.hiroseyonaka.com
id:minimalgreen氏の場合は、ブログのスタイルをいじる実験について問いあわせてから二回ほど返信があったが、迷惑メールフォルダーに入っていたため気づかなかったという。
blog.minimal-green.com
こうしたことが起きないよう、どのような立場でも運営メールはすぐ気づくように設定することが、誰にとっても良いことだろう。


私の場合は、照会メールで一週間の期限が切られていた。しかし他に通知はなく、知らずにブログ更新をつづけていた。
そして11月24日夜に新しいエントリをあげた時、「このブログは限定公開です。シェアは慎重に行ってください。」という文章が表示され、ようやく異変に気づいた*3
その文章で検索して先述のhiroseyonaka氏のエントリを見つけ、遅ればせながら運営メールを読むことで状況を理解した。
照会メールでは、削除依頼されたエントリを削除修正するか、もしくは申立者への反論が求められていた。対応がなかったためブログ全体を非表示にしたという事後報告メール*4もあった。


期限内に照会メールに気づいていれば、そもそもブログが非表示にされなかった可能性がある。
おそらく私の場合は、情報削除ガイドラインの「名誉毀損・侮辱(個人)」の「2」に該当すると運営が判断したのだろう*5

2. 誹謗・中傷等特定人の社会的評価を低下させる情報が掲載された場合は、原則として削除手続きを進めるが、発信者から以下の3つの要件を満たす合理的な理由をもって正当な反論を受けた場合、削除不可と判断する

・ 当該情報が公共の利害に関する事実であること(特定の犯罪行為や携わる社会生活上の地位に基づく行為と関連した情報等)
・ 当該情報が、公益を図る目的で掲載されたものであること
・ 当該情報が真実であるか、または発信者が真実であると信じるに足る相当の理由があること

「1」によると不特定多数への侮辱であれば削除されないし、申立者が反論を継続して議論が成立しているなら削除しないと「3」にある。
逆に「4」「5」を見ると、極端な揶揄など人身攻撃的であったり、明らかな虚偽にもとづく否定評価は原則として削除されるという。
反論を受けつける形式のメールだったことは、きちんと反論することができれば非表示にされなかった可能性をうかがわせる。


気をつけなければいけないのは、期限後の反論はいっさい受けつけてもらえないこと。運営によるとプロバイダ責任法にもとづくためという。
情報削除ガイドラインの要件を満たすと説明した反論メールを11月25日早朝に送ったが、期限超過のため受けつけられないという返答メール*6がきた。
おそらく反論の妥当性は関係ない*7。そもそも削除依頼の申立はエントリの形式を批判して被害をうったえるだけで、私の主張そのものへの具体的な反論は書かれていなかった。


一般的に特定の人物を批判すれば「特定人の社会的評価を低下させる」ことになり、おそらく論争をおこなうだけで「2」に該当してしまう。
つまり誰かを批判した時、その誰かが情報削除を依頼して、一通の照会メールに一週間気づかなければ、ブログが強制的に非表示化されて、後からとれる手段はほとんどない。
私の場合は、該当エントリを削除して同様の言及を申立者におこなわないと約束すれば、「例外」としてブログ再表示も検討すると返答メールにあった。ひとつのエントリの削除修正は必要だ。
当然というべきか、該当エントリを削除しつつ別の場所で同様の言及をおこなえば、ガイドラインによってはてなサービスすべての利用が禁じられる。

はてなより削除に関する意見照会を受けた発信者が一旦は自主的に削除を行ったにも関わらず、後日、はてなまたは削除要請を行った者の許諾なく同様の情報を掲載しなおした場合、即時削除を行い、発信者のサービスの利用を停止する

別のネットサービスで反論することは可能だろう。しかし同一ユーザーと運営に判断されれば、はてなサービスは停止されそうにガイドライン全体からうかがえる。


念のため、メール一通を見落とせば記事を削除しなければならなくなる基準が理解できないわけではない*8
他者を批判するというリスクを高める行動をしながら利用サービスの通知メールを見落とす、それほど注意力が足りないユーザーが運営にとってリスクという考えはできるし、ふるいわけの基準として有用かもしれない。
極端な事例としてHagex氏が刺殺された事件も思い出す。標的となった理由は現実でイベントに登板して物理的に攻撃できたことが大きく、Hagex氏自身は匿名同士の軋轢に軽く言及したにすぎなかった。
報道への批判などならともかく、ユーザー間での論争がもりあがることを運営はあまり望んでいないのかもしれない。そうあらためて感じた。

*1:いまだツイッターのような他のSNSをほとんどつかっていないことも大きいが。

*2:11月15日。以下、照会メールと表記する。

*3:厳密には、違うWEBブラウザでログインせずブログを再読しようとした時にきちんと表示されなかったが、エラーの一種だと思っていた。

*4:11月24日夕刻。

*5:もうひとつ、「IDコール機能を利用したメッセージに対し削除申請があった場合には、発信者に意見照会を行う。」に該当する可能性もあるが、これについては後日に説明する予定。

*6:11月25日正午ごろ。以下、返答メール。

*7:とある問題について、ブログ非表示化とは別個に受けつけるとも書かれていた。

*8:まったく身におぼえがない架空請求であっても、正式な訴状であれば無視してはならないものだ。 www.fnn.jp

『ルパン三世 生きていた魔術師』

天球の水晶をねらって、ルパンと謎の敵が戦う。その敵の正体は全身を燃やされ倒されたはずの強敵、パイカルだった……


TVシリーズ1作目の後日談を描いた2002年の中編OVA。傑作とされながらも新作では無視されつづけたハードボイルドな初代TVアニメが、初めて設定面で新作で反映された。

ちなみに半年後に放映された同年のTVSP『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト [DVD]』も、1作目の登場回でしか見られない石川五ェ門の凶悪なふるまいを回想として描いている。


監督は同時期までサンライズで活躍していた演出家の浜津守
ビスタサイズとスタンダードサイズが混在していたり、別パターンを用意したエンディングなど、DVDという新たな媒体で実験をしたい意図はつたわってきたのだが……
シリーズ1作目のハードボイルドでドライな雰囲気は消え去っている。銭形はろくすっぽ活躍しない。アクションがつまらなく、3DCGが浮いている。ゴエモンの対峙する序盤など、微妙なカメラワークをつける良いCG演出もいくつかあるが。
実写を意欲的にとりこんだり、背景美術はなかなか良いが、それもふくめて当時らしいダメなTVSPを見ているようだった。さすがに作画は安定はしているし、TVSPの半分ほどしかないので中だるみをあまり感じない良さはあったが。