法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

北方領土エリカ、クマと仲良くなったとアピールする

北方領土エリカちゃんとは、エトピリカという鳥をモチーフにした、北方領土返還運動の広報キャラクターだった。
北方領土イメージキャラクター「エリカちゃん」 | 独立行政法人 北方領土問題対策協会
北方領土エリカちゃんTwitter 北方対策本部 - 内閣府
官製広報キャラクターでも珍しい主張の強さで一時期から注目を集め、日露首脳会談で北方領土問題が後退したことに合わせた沈黙でさらに注目を集めた。
官製ゆるキャラ・エリカちゃん、「沈黙の1日」の悲哀:朝日新聞デジタル

「今から皆さんに、北方領土に関するクイズを出すピィ~♪ まずは初級編だピ! 【第1問】北方領土を不法に占拠しているのはどの国でしょう?」

 ゆるキャラらしからぬ挑戦的な出題に「全然ゆるくないぴー」「ロックだ」などの反応が殺到した。

 エリカちゃんは少しも騒がず「正解は、【ロシア】だピッ!」とツイートしてから、第2問を出題した。

プチ鹿島 2019年・北方領土の日と北方領土エリカちゃんを語る

「硬軟織り交ぜた話題で、世代を超えて皆さんに北方領土問題に興味を持ってもらえるとうれしいピィ♪」って。1年前に言っているわけです。ねえ。そりゃそうでしょう。「北方領土は日本の固有の領土です!」っていう。で、今年、北方領土の日。気になるじゃないですか。ねえ。エリカちゃん。あれだけ強気なエリカちゃんですから、なにか言ってくれるだろう、ツイートしてくれるだろうと思ったら、ゼロ。

そんなツイッターアカウントも最近は再び精力的に発信するようになっているが、ひとつ興味深いツイートがあった。

いうまでもなく、クマといえばロシアを象徴する動物である。
子どもの絵本やおもちゃには熊がモチーフとなったものが多いが、なぜ獰猛な熊が好まれるのか知りたい。 | レファレンス協同データベース

『イメージ・シンボル事典』(アト・ド・フリース著 大修館書店 1984
 p49-50 「BEAR クマ」の項に「象徴として 1 高貴を表し、王はオットセイ、クマ、メルシナ(妖精)の血統である。ロシアでは人間の友であり、この国のエンブレムとなっている。」

文脈を読ませるかたちでしか発信できなかったのかもしれないし、意図せず文脈が生まれてしまったのかもしれない。
その文脈を読んでもらわないと困るのかもしれないし、そうした深読みをされると困るのかもしれない。
いずれにせよキャラクターを用いた広報というものの難しさを感じるツイートだった。

『相棒 Season18』第2話 アレスの進撃~最終決戦

特殊作戦群の元陸将補である岩田は、娘の仲間たちを殺した容疑をかけられたが、特命係に囮として野放しにされていた。
そんな父を殺戮兵器と呼ぶ娘は、残った仲間とともに洞爺湖の兵器市場へ向かう……


輿水泰弘脚本による、約1時間半で描かれる後編SP。
前回に書いたように公式サイトではテレ朝キャッチアップが紹介されているが*1Tverでも無料配信されている。
https://tver.jp/episode/63864153
しかし配信のサブタイトルは第1話と同じ。最初は3時間SPにする予定で、公式サイトのサブタイトル表記は後づけだろうか。


孤島の捜査から岩田が逃げおおせた説明として20kmくらいの距離なら泳げると推理され、杉下の冗談かと思えば実際に描写される。
そうしたギャグかシリアスか判然としない場面が多く、なおかつ普通の刑事ドラマや本格ミステリなら不可能状況とされる局面を、特異的に優秀なレンジャー部隊員だから突破できると説明するのが、良くも悪くもアンチミステリを見ているようだった。その岩田の身体能力を船越英一郎が説得力をもって演じているのも困惑をさそう。


しかも真相はそれを踏まえつつ飛躍した無茶で、どんな顔をして見ればいいのかわからなかった。
岩田に教えを叩きこまれて体育大学や海外ボランティアの経験によって、娘もまた殺戮兵器と堂々の身体能力をえていたというのだが、やはり演じる北香那がちゃんとそれらしい格闘戦を見せてしまう。1カットで仲間たちを格闘戦で殺していくような難しい撮影に挑戦して、そこそこ成功しているのが笑うしかない。超人的な身体能力で犯人が特定されたが、同等の能力を持っていた人物が罪をなすりつけるために、あえて身体能力で殺戮したのが真相だった……というのはミステリなのだろうか。
日本の政治家が兵器を売買することを批判するという、いかにも社会派テーマにつながりそうな題材はミスディレクション。岩田娘と仲間たちはプルトニウムまで持ちこんで脅迫しながら、論戦で引きさがって兵器を必要悪と認めて、支援団体への寄付を要求するという腰砕けっぷり。そもそも岩田娘が仲間を恐怖で支配していたかのような回想もあり、反戦運動に暴力をもちこむことへの批判という解釈も難しい。
そうして全ては殺戮兵器な岩田父娘のミニマムな愛憎劇に収斂していった……これはこれで見ていて面白い娯楽ではあったのだが……

その政治家は自国批判する美術展を守っている、などと世界一周している外国人へ説明しても、たぶん「アッハイ」と思われるだけじゃない?

愛知県知事の大村秀章氏が、あいち航空ミュージアムのイベントで一般公開されたシルバースピットファイア*1を紹介していた。
その紹介ツイートで翼に立っている写真に対して、展示物を踏みつけているという批判が押しよせていたらしい。
「大村知事がシルバースピットファイアを足蹴にした!イギリスに怒られる!」→「そこから乗るんだが?」「スタッフが促したんだが?」の突っ込み - Togetter
もちろんTogetterやはてなブックマークでも指摘されているとおり、当時の戦闘機は翼を踏んで搭乗するようになっている。
[B! togetter] 「大村知事がシルバースピットファイアを足蹴にした!イギリスに怒られる!」→「そこから乗るんだが?」「スタッフが促したんだが?」の突っ込み - Togetter
ちなみに私の場合は小学生のころに兵器にまつわる書籍で知ったが、義務教育で学んだかどうか記憶がないし、知らないこと自体には問題ないとは思う。
問題は、踏んでもかまわない場所をスタッフにうながされて乗ったと説明されて、なお外国へ失礼だという批判をつづけようとする態度にある。


さらにいえば、表現の不自由展を守ろうとした大村氏への嫌悪感を、世界一周イベントをしている人々に共有してもらいたいかのような態度にも首をかしげるしかない。
表現の不自由展で脅迫の要因となった少女像は、日本軍の戦時性加害を告発する表現と位置づけられている。英国軍は当時に日本軍と対立していた側だし、そのような告発に反発するとは考えづらい。
他に脅迫の対象となった天皇を素材とした表現にしても、自国の王室を風刺して茶化すことが一般的におこなわれている英国と比べれば、大村氏への強い反発を生むとは考えづらい。
何より、そうした脅迫につながる排外主義を許せば、世界一周イベントなど不可能になるのではないだろうか。

*1:(一部変更)世界一周飛行中のシルバースピットファイアが県営名古屋空港へ飛来し、あいち航空ミュージアムで連携イベントを開催します! - 愛知県「今回飛来するシルバースピットファイアは、1943年に製作され、2019年8月から実施している世界一周飛行「シルバースピットファイア – The Longest Flight (最長飛行)」に合わせて銀色に塗装・修復された機体」

『世界まる見え!テレビ特捜部』こんなカラクリがあったのか! 見たことない裏側SP

2時間SPで、ゲストは現役の医師でもある芸人しゅんしゅんクリニックPなど。お笑いにうといので、知らない間にどんどん新しい芸人が出てくる……
ゲストの中核は極寒のアラスカで写真撮影をおこなう松本紀生。紹介されるオーロラや動物たちの情景が物珍しく美しいのはもちろん、カマクラの設営などの取材のための準備なども興味深かった。


「猛獣が街をうろつく裏側」は、米国のさまざまな地域で大型ネコ科動物が人里に現れる問題を特集。いくつかの州で外来の大型動物を無許可で飼育できることを初めて知った。
オハイオ州の猛獣脱走、問われる規制 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
隣人ペット問題も米国では大陸的スケールというわけだが、さすがに近年はオハイオ州などで法規制が少しずつ厳しくなってはいるらしい。
米オハイオ州、外来種動物所有の新規所有を禁止 - ロイター
「チャリティーの裏側」は、イギリスで寄付される大量の古着の行方を、車椅子の元パラリンピック選手がレポートする。
新品同然でも流行遅れでは古着でも売れない。リサイクル業者のトラックに毎日5台くらい引き渡されるという。その大量の古着は梱包されてガーナへ。そこで市場で販売される。
梱包された状態で取りあいになるため、ガーナの商人同士でこぜりあいになったりも。ガーナでは法律で禁じられているはずの古着の下着販売も、堂々とおこなわれている。さらに古着はガーナの田舎にも運ばれ、やはり商人同士が奪いあいながら、人々にいきわたっていく。
結果としてガーナの伝統的な布地工場は次々に閉鎖され、国家的に金曜日に伝統的衣装を奨励するようになった。田舎では便利な古着を使いつづけるが、都市部では伝統的な布地をとりいれたスーツを仕立てたりする逆転が興味深い。
「古代技術のびっくり裏側」は、ギリシャローマ時代のさまざまな先進的な工法や機械を紹介。火山灰を85%つかった千年以上の耐久力があるコンクリートや、ヘロンの重量を多用した自動機械群など。
どれも存在や構造は子供向けの学習書籍で知っているものばかりだが、映像で動きを見るとまた新鮮で素直な驚きがある。
「男女関係の裏側」は、イスラエルでの女性が冤罪を作りだす問題や、アジアから女性を呼びよせるデンマークフェロー諸島の問題などを紹介。
イスラエルは車内喫煙を要求した女性が、タクシー運転手に断られると性暴力を受けたと警察に主張したりした事件を紹介。かつてイスラエルに女性首相がいたことや、ジェンダー平等を世界的に評価されたこと、女性側の偽証は罪にならない法制度などが背景にあるという。しかし現在の政治家の顔ぶれを見ても女性上位社会とまではいえないようだし、番組で紹介された事件も統計的な比率などは出されなかった。スタジオで北野武が男尊女卑イスラムへの対抗としての男女平等ではないかと指摘したりしたし、もっと複雑な背景がある可能性は留意しておくべきだろう。
フェロー諸島は若者が都会に出かけていくことで、そのかわりのように発展途上国から女性を呼び、3万人の島に500人の外国から来た妻がいるという。メインで紹介された女性の故国がフィリピンで、まるで一昔前の日本を見ているような気分になった。個々の家族は、強気ではない外国人妻を求めるイスラエルの男よりは幸福そうには見えたが……
「AIの裏側」は、現代の人工知能の最先端技術を一挙に紹介していく。
しかし自動運転車や医療用ロボットなどは珍しいが、どこまでAI技術が貢献しているかは判然としない。特に後者は、紹介された事例では人間の医師がオペレートした段階だという。
逆に、AI技術に批判的な作家は、葬儀でAIが語ったりすることを人間が受け入れられるかと問うたりするが、それをいうなら現在の冠婚葬祭は過去から見れば不謹慎なことも多いのではないだろうか。
「未解決事件」は、1985年12月19日にワシントン州チェホールズ市で80歳の資産家夫婦が殺された事件を追う。
乗り捨てられた夫婦の自動車まわりの証言から、後部座席に第三者がいたらしいことや、殺される直前に預金をおろしていたことが判明。残された煙草から親族の喫煙者が疑われたが特定できなかったり、自身を真犯人だと吹聴する男に囮捜査をしかけると事件の詳細を知らないことがわかったりして、迷宮入り。
やがて年月がたち、事件当時に十歳だった若手捜査官が再捜査。てっきり吸い殻のDNAから犯人を特定したのかと思いきや、当時に捜査で使ったモノクロの容疑者写真を鮮明化して着色して、自動車まわりの目撃者に特定させたというものだった。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第36話 ブルーキャット再び!虹色のココロ☆

惑星レインボーの指輪を、ドン・オクトーが持っているという情報が入る。その男は、以前にオークションで見かけた宇宙マフィアだった。
さっそくブルーキャットになって盗みに行こうとするユニ。星奈たちは批判しつつも止めることができず、なしくずしに同行することになるが……


今回からOPが映画宣伝ダイジェストへ変更。慣例となって久しいが、今年は遅い印象がある。映画宣伝エピソードの放映に合わせたのだろうか。今作に脚本として初参加した田中仁は映画でも脚本をつとめ、ゲストキャラのアン警部補も映画の登場人物らしく*1、結末のトラブルは映画につづいているという。
奪われた物だけを盗み返すという、善良な怪盗を描くための手法が、正面からは肯定しにくい現代。しかし中盤ということもあってか、仮の結論を出すこともしないまま、主題をずらして物語を閉じてしまった。あまり良い構成とはいえないのだが、しかし設定や人物の根幹をゆるがすような問題提起だけして回収できないエピソードは嫌いになれない。答えの出せない問題*2とわかりながら言及せずにいられない、ある意味での生真面目さが好ましく感じられる。
プリキュア内で意見が衝突して、悪人もノットレイダーと宇宙マフィアは利害が対立し、さらにプリキュアもマフィアも捕まえようとする星空警察の新人がやってくる……そんな複数勢力がいりみだれる関係性も、ノワールやヤクザ映画のような状況のままならさを描いていて、いろいろなことを保留したり流れで処理した結末も許せた。ブルーキャットとアン警部補の距離感がたもたれたまま終わったことも良かった。

*1:映画主題歌を歌う知念理沙が演じていて、正直にいえばつたなく感じたが、空回りする新人というキャラクターには合っていなくもなかった。

*2:誤解を恐れずにいえば、一般的に正答が定まらない問題だけでなく、制作者の能力が不足している場合もふくめる。