法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『名探偵プリキュア!』第23話 くれあと推理とアイスクリーム

 またも森亜るるかがパティスリーにやってきた。すると帆羽くれあに店内で食べることを提案される。席についた森亜が壁にかかったパリの四人組の写真を見ると、それは若いころの店主の姿だと説明された。そしてファントムの本拠地にもどった森亜は、マコトジュエルが写真にやどっていることに気づく……


 篠原花奈演出で、テラス席に座った時にパラソルの影に森亜が座る描写など、雰囲気あるカットが多く見られた。ワンカットも通常よりやや長めで、良好なキャラクター作画をいかすように表情の変化を見せていく。
 脚本は村山功シリーズ構成がつとめて、最もキュアエクレールの正体と思われている帆羽*1のエピソードを描く。これで帆羽がキュアエクレールでないならば、逆にすごいし、その可能性に賭けたいとすら思った。
 ハンニンダーとプリキュアが戦う時、たとえば『名探偵コナン』とのコラボ回で描写されたように、一般人からは戦いが認識できず明智たちが急に消えたように見える。風景も虹がかかったようになり、異空間に行ったとわかりやすい。それが今回の後半で、森亜たちを追いかけた帆羽はプリキュアの戦いを認識し、森亜が変身したキュアアルカナ・シャドウと会話もする。過去エピソードを完全に見返してはいないが、帆羽がなんらかの異能にかかわるキャラクターであることはたしかだろう。
 こうなると次回の生徒会長で何を描写するのかも気になる。キュアエクレールの正体がまったくわからなくなる情報が提示されるなら、それはそれで面白いのだが……

*1:中間発表で最多得票。しかし、ほとんど描写のない生徒会長よりも正体ではないと思われている来栖エリザが味わい深い。 キュアエクレールの正体は誰?中間結果が発表 『名探偵プリキュア!』投票企画で10万票集まる | オリコンニュース(ORICON NEWS)

現時点で佐藤二朗氏らの発信を見るかぎり、橋本愛氏は純然たるハラスメントの被害者でしかないと思うのだが

 佐藤側の説明を見るかぎり、演技であってもアドリブで断りなく他人に身体接触することや、関係を構築すらしていない他人への意見がモラルハラスメントにあたる問題だという意識が欠けているように思える。
佐藤二朗の事務所『文春』に反論 | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]

二人は夫婦役で、橋本氏演じる鈴木明日香が運転中に目を瞑り、助手席に座っていた夫役の佐藤が慌てるというコントシーンでした。その芝居中、目を瞑ったまま口だけを開ける芝居を橋本氏がしたため、「口ではなく目を開けて」と言って、佐藤の指が橋本氏の顎に触れてしまったのです。この接触が問題となるとは思いもよりませんでした。

今後の撮影のためにもわだかまりを残さない方がいいと思い、橋本氏を労う意味も込めて橋本氏の楽屋を訪れました。そこにはスタッフの方もおり、3人が在室する状況の中で、俳優同士の会話として、橋本氏の演技が素晴らしかったと感じたことを伝えました。そして過去の心の傷は最大限、尊重されるべき社会だと心から思うが、トラウマがあって夫婦役を演じるなら先に状況を相手に共有すべきである事、その状況が続くなら俳優を続けるべきではないのではないかと僕個人は思います、と伝えました。この日、橋本氏は、佐藤が退室するときも笑顔でした。
その後も佐藤はお約束通り、一貫してクランクアップまでそのレギュレーションを守り続けました。佐藤の言動がハラスメントにあたるものでないことは、専門家からの確認を受けています。

 この説明だけで佐藤氏には特段の問題がなく、橋本氏こそ加害者だという主張が少なからずインターネットに広まっていることに首をかしげる。
 むしろ当初は情報共有の不備*1による事故にすぎなかった問題が、その後の佐藤氏の言動で拡大してしまったとしか思えない。


 たとえば映画制作における高畑勲氏の指示がモラルハラスメントのような問題行為にあたることは、すでにインターネットでも一定の共有がされていると思っていたのだが*2
 仮に楽屋での佐藤氏の橋本氏への主張が妥当だったとしても、仕事において必要な情報の共有が主目的だったとしても、そして相手が笑顔を浮かべていたとしても、ハラスメントにあたらないとは限らない。
 監督が絵コンテで撮影前に絵作りを決めこんだり*3、インティマシー・コーディネーターが普及している潮流を思うと、俳優が共演者の演技を指示したという説明そのものにも越権行為という印象がある。もちろん現場によっては演出家が共演への指導をもとめたり、そうでなくても許容することはありうるので、ここで佐藤氏が問題とまでは思わないが。


 また、身体接触が困難であることと俳優の継続の困難を同一視する意見は、観客の立場からすると妥当とは思えない。性的な意図がなくても他人の身体に不用意に接触するべきでないことは、現在は常識のはずだ。
 もし身体接触を描写するとしても、映像作品であれば実際に身体を接触しなくてもモンタージュで接触しているようにも見せられるし、昔からつかわれているようにスタンドインやVFXを活用することもできるだろう。
 もちろんアドリブではなく信頼関係をむすんだうえで身体接触をすることもできるだろうし、それを重視して先述のようにインティマシー・コーディネーターが普及しつつあるわけだ。
 橋本氏が過去の作品で深く身体接触をしていることも指摘されているが、観客の立場でそれらの現場の状況がわからない以上、情報共有の不備による不用意な身体接触という問題が同じように存在したと断言できるはずがない。
 つまるところ橋本氏の制限は無責任な観客からすれば致命的な問題ではない。もともと身体接触の描写がなくてもすばらしい作品はあるし、身体接触の描写を見たい時の選択肢は複数ある。


 もちろん身体接触に制限があることは制作全体にもさまざまな制限がかかり、その負担が嫌われて制作に参加する機会が減る可能性はあるとは思う。それが気になる同業者もいるだろう。
 しかし不用意に体にさわった立場で主張すれば、それこそ責任転嫁に聞こえかねない。佐藤側の説明において、身体接触を謝罪したくだりがないのはなぜだろうか。
 あえていえば、俳優同士であれば身体接触に許可はいらないという古い誤った観念をもつ俳優も、それはそれで作品制作のリスクになるだろう。

*1:橋本氏から佐藤氏に伝達されるまで、それぞれの事務所と放送局をはさんでいるが、それぞれの判断は理解できなくもないと佐藤側の説明では思う。これに限っては現時点では、佐藤氏の事務所がつたえなかったことは佐藤側の問題とはいえても、佐藤氏の問題とは思わない。

*2:むしろ企業そのものの問題まで高畑氏に負わされていることには、リソースを用意し分配を決定する責任までは他にあると指摘したこともあるぐらいだ。 スタジオジブリのブラック体制の責任を宮崎高畑両監督に求めるのはいいとして、相対的に鈴木敏夫氏が高評価されているのは不思議 - 法華狼の日記

*3:『パラサイト 半地下の家族』 - 法華狼の日記

『おいら宇宙の炭鉱夫』

 ラグランジュポイントに置かれた小惑星トーチタスで、少年が奔走し奮闘する。両親のいない彼は、どうしても操縦士の免許がほしいのだ。しかし同時並行で異変が進行していた……


 1994年に2巻まで発売されたOVA。飯田馬之介が監督をつとめ、川元利浩がキャラクターデザインと作画監督を担当する、後の『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の後半に通じる体制で制作された。

おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 [Blu-ray]

おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 [Blu-ray]

  • 山口勝平,日高のり子,大塚明夫,一城みゆ希
Amazon

 当時にKSSの送り出したOVAでよくある、全6巻の物語の途中なのに序盤で打ち切りになった不遇の作品。内容は素晴らしいので、続巻制作の要求が『アニメージュ』でコラムを執筆していた漫画家などからあがったが、かなわなかった。
 2023年2月に2巻まとめてBlu-ray化され、続刊の内容にもふれたライナーノートも復刻された。ただ視聴したのは2006年に1巻ずつ発売されたDVD版。


 視聴したのは十年ぶりくらいだろうか、記憶がはっきりしない。
 しかしあらためてスタッフを見ると、記憶以上に参加アニメーターのレベルの高さに驚かされる。静止画中心とはいえ、OPに参加しているのが本田雄と小池健という組みあわせは類を見ない。
 キャラクターデザインのシンプルでさっぱりした絵柄の完成度も高い。この作品以前の川元は新しさがありつつも線を重ねた濃厚な絵柄だった。つづけて担当した『GOLDEN BOY ゴールデンボーイ さすらいのお勉強野郎』で『08小隊』に通じる絵柄が完成したが、そちらも全6話をリマスター収録した再DVD化がおこなわれ、先月末に発売された。

 ただ本編は元気よく動くというより、宮崎駿アニメのような走りなど心地よいアニメらしい動きをさせつつも、物語を壊すほどには動かしすぎない。すみずみまで作画修正をいきとどかせて絵柄をととのえ、ていねいに無重量状態の動作を手描き作画している。演出と作画監督のコントロールがいきわたっている。


 またメインスタッフの構成は前任監督の死去によりひきついだ『08小隊』に近いが、物語の構造も抽出して見ると似ている。人が大勢死ぬような大規模な状況において、主人公がきわめて個人的な意地でリスクをとるような行動をして、主人公を心配する人々を奔走させて負担をかけるが、しかしその主人公の特異な行動が巨大な策謀の一端をつかむことでひどすぎる状況にわずかな好転をもたらす……これがもともと飯田監督の作風だった、のかもしれない。
 発売当時にも問題になったように物語は中断され、地球へ落下する小惑星で見捨てられた人々がひとつの真実を知るところで終わっている。ただ完成した範囲でも、大事故のさなかで個人的な試験の合格をめざして奔走しつづけた少年が努力して生存に成功しつつ事故の結果として挫折するという物語で、一応は主人公のドラマとしてオチはついているか。

無効化された審議なら参加を拒否するのも当然だろう

 もちろん民主党政権時代の自民党や、連立前の維新もふくめて、過去の野党はさまざまな理由で審議拒否をおこなってきたが、今回は一線をこえている。
「全野党が疑問」の審議入り強行 定数削減で対立、国会は不正常に [高市早苗首相][自由民主党(自民党)][日本維新の会][中道改革連合][国民民主党][参政党][チームみらい][日本共産党]:朝日新聞

定数削減法案は、与野党の選挙制度協議会で1年以内に結論が得られなかった場合、自動的に比例区で45削減する内容。協議会で議論している状況を踏まえ、中道改革連合、国民民主、参政、チームみらい、共産の野党5党は特別委での審議入りを見送るよう主張したが、美延映夫委員長(維新)は応じず、5野党が欠席のまま法案の趣旨説明を行った。

 一般論として、どのような議論がおこなわれても結論は変わらないと最初に説明された時に、議論をおこなう積極的な意義を見いだせる人は少ないのではないだろうか。
 さまざまな審議を欠席するために提出に参加した法案の審議にも欠席する異常事態になった。そもそもが法案自体に法的根拠がまともになく、反対するどころか参加したこと自体が間違いだったとも思うが。
「異常事態」野党審議拒否で“国会空転”続く 迫る会期末に“延長”となえる声も… 「議員定数削減」「副首都」法案の審議入り強行うけ「議会政治が脅かされている」 | TBS NEWS DIG

国旗損壊罪を制定する法案の採決がおこなわれた衆議院本会議。与党の賛成多数で可決されましたが、法案を与党と共同で提出していた国民民主党と参政党を含む全ての野党が欠席したのです。

『名探偵プリキュア!』第22話 しるくの覚悟

 家入しるくの二人舞台があるという。マコトジュエルは家入のイヤリングにやどっていると予言を解釈した森亜るるかと、それについていくゴウエモン。
 怪盗団ファントムの予告状がとどき、家入のマネージャーに依頼された明智と小林は、それぞれ開演前の観客とスタッフのなかから調査するが……


 良くも悪くも舞台劇らしさを重視して謎解き要素が弱すぎる*1エピソードだと思っていたら、まさかの佐藤大脚本。『プリキュア』シリーズはもちろん、記憶では東映アニメ作品に初参加だ。思えば『怪盗ジョーカー』のシリーズ構成だったが、そう考えてみると今回はいつも以上に芝居がかったゴウエモンなど怪盗側の魅力が出ていたかもしれない。
 しかしエピソードとしては、先に書いたように舞台劇らしい子供向けアニメにしてはリアルな舞台裏と、舞台の上の劇と現実の戦いを重ねあわせる演出が印象に残る。特に後者は、役者の口パクに主人公たちの台詞をかさねるような、過去シリーズでもつかわないような演出技法が多い。高山文彦作品を思い出した。最後の楽屋でユリの花束をなめて家入を映すようなコンテもある。
 演出は家入初登場の第9話*2と同じく横内一樹。あまり今回のような演出技法をつかう印象はなかったが、前々作でも演劇回を担当しており*3、処理担当の演出なので記憶していなかったが『少女☆歌劇レヴュースタァライト』の各話にも参加し、実は小劇団役者の経験もあるそうだ*4

*1:本筋のキュアエクレールの正体探しも、記憶を失っているという情報を開示することで、キュアエクレールなら知っているはずのことを知らなかったとしても正体の可能性があるという、むしろ謎を深める方向だった。一応、記憶以外の伏線を重視するべきということはいえるのだが。

*2:『名探偵プリキュア!』第9話 決めつけちゃダメ! - 法華狼の日記

*3:『わんだふるぷりきゅあ!』第41話 ユキ・オンステージ! - 法華狼の日記

*4:横内一樹 lit.link(リットリンク)