……と比喩すれば、一部のアニメ愛好家には理解しやすいかもしれない。全体像の理解しにくさが。
庵野秀明監督が実写版『キューティーハニー』を撮っていたころ、山賀博之監督は『まほろまてぃっく』を作っていた - 法華狼の日記
一時代を築いたスタッフが抜けてカラーやトリガーといった新会社をつくり、のれんをわけるようにガイナックスの名前をつかう小さな会社も乱立して、数年がたつ。
そして、ほとんど名前しか残っていないガイナックスの新社長に就任したばかりの男性が、今月頭に逮捕された。
同じように全共闘もさまざまなセクトが協力も対立もし、離合集散しながら動いていた。必ずしも学生だけで完結している運動でもなかった。
先日、id:washburn1975氏のツイートが注目を集めて、賛否両論になっていた。そこで否定的な意見を見ると、むしろwashburn1975氏の主張が妥当という印象が強まった。
逆よ。あさま山荘事件「しか」知らないから、何を求めて始まったのかも忘れられて、結局「社会運動はよくない」「お上の決定に逆らってはいけない」という根性のみが残された。 https://t.co/UKanH5Pcyq
— ワッシュ (@washburn1975) 2022年9月16日
逆よ。あさま山荘事件「しか」知らないから、何を求めて始まったのかも忘れられて、結局「社会運動はよくない」「お上の決定に逆らってはいけない」という根性のみが残された。今の人はあさま山荘事件とか知らんのかねえ…
あさま山荘事件にかぎって語るなら、学生運動全体でないことはもちろん新左翼全体でもなく、「連合赤軍」などの一部組織に限定されるという認識は共有されるべきだろう。
たしかに象徴的な出来事と考えても良いのだが、すべての学生運動が結集した結果の事件というわけではない*1。
ワッシュ on Twitter: "逆よ。あさま山荘事件「しか」知らないから、何を求めて始まったのかも忘れられて、結局「社会運動はよくない」「お上の決定に逆らってはいけない」という根性のみが残された。" / Twitter
id:REV 「左翼からは破門されている無関係な新左翼が悪い」って切断操作したり、「社会改革への志が左翼になり、それが新左翼に至った」と接続したり、チャタリングが忙しいな。
id:srpglove (60〜70年代の)学生運動の(誤解された?)目的そのものが批判されてることってそんなにある?当初の動機にかかわらず(むしろ理念としては崇高であるだけに)、実際の行動と結果がドン引きされてるんだと思うけど
過去に人をこ○してしまったようなアレとは完全に別物の学生運動を盛り上げて行こう、という話なら分かるけど、人をこ○したけど昔の学生運動にも価値があったんだよ!というような好意的評価を温存したままなら、ええ……?と疑念を抱かれても仕方ない。
— 佐藤葵@EDF(エルフドワーフファンタジー)概念普及委員会 (@srpglove) 2022年9月14日
もちろん他に暴力的な学生運動もさまざまあったわけだが、すべてが暴力的だったわけではないし、新左翼だったわけでもない。「うたごえ運動」のような文化活動も存在していた。
うたごえ運動とは - コトバンク
運動は職場,学校と地域とが交流する形で全国的に広がった。53年には〈うたごえは平和の力〉のスローガンを掲げて,全国合唱団会議を創設,54年には原爆禁止運動と結び付いて〈日本のうたごえ〉運動として発展した。
平行世界の日本サブカルチャーを描いた會川昇の小説『超人幻想 神化三六年』に出てくる人形劇団も、おそらく新劇運動などを意図している。
また人を殺すことが否定の理由という意識は理解できるが、そもそも安保反対デモで制圧死があったことや、学生運動鎮圧のため動員された体育会系学生による「事故」がつづいたことなどが、学生運動の受容の検討には必要だろう。
同時代をすごした手塚治虫の学生運動への距離感はいちがいにいえないが、たとえば遺作となった『ネオ・ファウスト』では、体育会系の学生が学生運動を暴力的に鎮圧する存在として描かれている。
もちろん世界的にはベトナム戦争への抵抗として新左翼が伸長した。暴力の一事で全否定できるなら、まず学生運動が抵抗した対象が全否定されるべきだろう。
ニュー・レフトとは - コトバンク
ニュー・レフトが世界的に登場するのは,65年のベトナム戦争の激化を契機としてアメリカ,フランス,西ドイツ (当時) ,日本などでベトナム反戦闘争が盛上がり,新たな政治潮流として国際的に浮び上がったときである。しかし 70年を境に,各国のニュー・レフトは党派的対立やテロリズム戦略の過激化から一般の支持を失った。
全国的な支持をうしなった後も、三里塚闘争などが1990年代までつづいていた。あさま山荘事件はひとつの流れの末路であっても、すべての学生運動の末路では必ずしもない。