法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

日系人収容所の歴史小説が米国の学校から排除されたことは問題だが、それをつたえるツイートへのリプライにも頭をかかえる

NPOサルタック*1の畠山勝太氏が、米国の学校で「焚書」がおこなわれている問題のひとつとして、日系人収容所の歴史も隠されようとしているとツイートしていた。


アメリカの学校で焚書の嵐が吹き荒れているけど、第二次大戦中の日系アメリカ人の強制収用を描いた小説もバンされた話。この本だけでは意見が偏り過ぎで、南京大虐殺の話とか日本人は強制収容に値する酷い奴らだったという本を入れてバランスを取るべきだという。いやー…。
https://www.thebulwark.com/when-a-diverse-book-ban-goes-awry/

記事を読むと、米国の図書館協会で賞を受け、日本でも2002年に『天皇が神だったころ』という旧題で訳されて2018年に復刊された書籍が、推薦をとりけされたのだという。

「多様」な書籍への反発があることや、「バランス」のために南京事件の情報も必要といったことが主張されたようだ。ウィスコンシン州民主党共和党が拮抗する地域であることも指摘されている。
はてなブックマークでこのツイートを知ったが、先ほど見返すと、なぜか「先進的なリベラル」が書籍を隠蔽したかのように認識しているコメントがついていた*2
[B!] 畠山勝太/サルタック on Twitter: "アメリカの学校で焚書の嵐が吹き荒れているけど、第二次大戦中の日系アメリカ人の強制収用を描いた小説もバンされた話。この本だけでは意見が偏り過ぎで、南京大虐殺の話とか日本人は強制収容に値する酷い奴らだったという本を入れてバランスを取る… https://t.co/pSRHXCktgi"

id:yujimi-daifuku-2222 それが事実なら、自国の歴史の正当化に関しては先進的なリベラルも日本のネトウヨも同等なのでしょう。/穢れのように戦争や軍隊を扱う日本の戦後左派は、異常さの現れ方が少し異なる。

ここで「日本の戦後左派」に「異常さ」があらわれているという話をはじめる意味もよくわからない。それこそウィスコンシン州教育委員会のような「バランス」に読めるが。


しかし、いずれにしてもここまでは米国のマイノリティが迫害された歴史が米国で隠されようとしている問題だ。誤解を恐れずにいえば、基本的には米国内部で解決するべき課題といえるだろう。
しかし畠山氏へのリプライを見ると、ニコニコ動画をソースに南京占領の功績を語りはじめるツイートや、半年後の予防接種を根拠に虐殺人数を否定するツイートがならんでいる。


日本軍は南京市民に食料を放出し、南京市民20万人から一人も餓死者を出さなかった。
これは日本軍の隠れた功績の一つであった。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40206518


昭和12(1937)年12月13日南京陥落。
昭和13(1938)年6月発行。[南京4月下旬、南京に到着した岡崎祇容博士を班長とする35名の同仁会医院を開設。戦後に付き物の病魔から良民を救済せんと、南京40万人の全市民に種痘とコレラの予防接種を開始(5月4日南京にて、岡特派員撮影)]
やはり30万人虐殺は嘘だった🤥

引用リツイートでは「星条旗に対する侮辱」という批判など、米国が自らの理想を汚していることを指摘するツイートもあるが*3、やはり中国共産党が背後にいるような陰謀論をとなえるツイートもある。


(´・ω・`)これ絶対中共裏から手回してるだろ。

こうしたリプライが多数あるようでは、日系人強制収容の歴史を隠蔽する米国の問題と同時に、南京事件の史実性が否認される日本の問題もまたあることを痛感せざるをえない。

*1:はてなアカウントはid:sarthakshiksha

*2:こちらのコメント欄で指摘したように、「自国の歴史の正当化」はyujimi-daifuku-2222氏にとって他人事ではないと思うが。 hokke-ookami.hatenablog.com

*3: