1週間後に発表された。85歳。
零時社からのお知らせです
— ミーくん@零時社/松本零士 (@leijisha) 2023年2月20日
漫画家松本零士が
2023年2月13日都内病院にて
星の海に旅立ちました
これまで応援くださいましたファンの皆様
本当にありがとうございました
「遠く時の輪の接する処でまた巡り会える」
と松本は常々申しておりました
私たちもその言葉を信じ
その日を楽しみにしています pic.twitter.com/4II0ioA2JH
零時社からのお知らせです漫画家松本零士が
2023年2月13日都内病院にて
星の海に旅立ちましたこれまで応援くださいましたファンの皆様
本当にありがとうございました「遠く時の輪の接する処でまた巡り会える」
と松本は常々申しておりました私たちもその言葉を信じ
その日を楽しみにしています
松本がどこまで原作といえるのか不明瞭なアニメ化作品は多く見てきたが、いくつかの短編をのぞいて全話を読んだ漫画は『セクサロイド』と『銀河鉄道999』くらいだろうか。
後者は脚本家が先行して作ったというアニメ映画版の結末が有名で、それにそったノベライズも楽しんで読んだが、漫画版の乾いたハードボイルドな別離も好みだった。
一話完結の股旅物としても楽しかったし、当時のアニメ技術では劇場版であっても漫画版のほうが全体をとおした絵は美しかった。
作家としては良くも悪くも癖が強くて、特に晩年はさまざまな意味で周囲と距離ができていたが、エッセイやインタビューから感じられる人格は一読者の立場からも良くも悪くも魅力的だった。
特に印象に残っているのが、2015年の扶桑社ムック『敗戦後遺症を乗り越えて』への寄稿。著名人でありながら表紙に登場せず、あまり言及されることがない。
伊藤隆や渡部昇一などが主な著者となって、GHQによる精神支配をテーマとした右翼的な内容なのだが、そこで松本は「『宇宙戦艦ヤマト』父の無念と平和への思い」という文章をよせていた。
主として『宇宙戦艦ヤマト』の制作背景を語る内容だが、「好戦的」と誤解されることがないよう本放送で軍艦マーチの使用をさしとめたり*1、「私は作品の中で、あらゆる思想、宗教、信条、民族感情に万全の配慮をしていました」という自負でつらぬかれている。他と論調をあわせるように憲法への違和感なども書いていたが、地球全体の環境問題などをうれえて人間同士が争っている場合ではないと主張して終えていた。
実際の作品で万全に配慮できていたか疑問がないではないし、そもそも寄稿先を選んでほしいと思わざるをえなかったが、それでも戦争体験者として正面から平和を理想としてかかげる論調は他の寄稿者との温度差がすごくて、いつものマイペースぶりが良い方向へ出ているとも感じたものだ。
*1:実質的なアニメ監督を担当した石黒昇によると、松本とプロデューサーの西崎義展のあいだで激論になったためだけではなく、石崎すすむ演出助手他の数名の若手スタッフからも現場で異論が出たことが、決定打になったらしい。 sarutora.hatenablog.com 再放送では軍艦マーチが使用されたが、松本エッセイによると、再放送ならば演出意図が誤解されないだろうと判断したため。もちろんこれもアニメ側との証言とてらしあわせる必要があるが。