キラリンスワンをニコガーデンに帰したことでキラリンアニマルがそろった。そしてニコダイヤから角のついた宝石のような卵があらわれる。メエメエによると、それはニコガーデンの創造主ニコだというが……
井上美緒脚本、佐々木憲世コンテによる新展開。EDも主題歌から映像まで全面的に変更された。親を失った子の悲しみがガルガル化した親を救うプリキュアアクションは一見すると本筋と関係ないが、親のような存在の帰還を待ちわびるドラマではある。
しかし物語を引っぱる謎として、卵になったニコが移動をくりかえす描写をもってきたのはうまくない。もともと超常的な設定が根幹にある世界で、多少の超常的な出来事は不思議に感じづらいという前々作と同じ原理的な問題がある。
『デリシャスパーティ♡プリキュア』第16話 らんらんって変…！？肉じゃがとウソ - 法華狼の日記
クッキングダムのような異世界やプリキュアへの変身能力がある物語で、カッパなどが実在するわけがないというリアリティの線引きは難しいものがある。
特に今回の中心にあるのは世界ひとつをつくるような存在なので、誰も見ていない時に移動したくらいでは驚けない。板を部屋にうちつけて密閉しても、異世界への移動をくりかえす物語で瞬間移動できても謎とは思えない。
今回の物語から謎を演出したいなら、なぜニコはニコガーデンにとどまらず違う世界の犬飼家にやってくるのかという動機を中心にするべきではないだろうか。実際、いろはがくりかえし驚く姿は魅力的ではあった。
さらにアレンジするなら、まず犬飼いろはたちが先に現世で卵を見つけて不思議な瞬間移動に悩まされ、ニコガーデンに持っていくことで正体がニコだとわかる展開はどうだろう。これならば謎めいた現象が伏線に昇華される。作品世界で最も超常的な存在と先に説明してから謎めかせることに無理があるのだ。
