法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

歴史

「日本のこころ」の江戸時代、元文科相の歴史観

「日本のこころ」から「希望の党」に初期から鞍替えした中山成彬氏。 元文部科学大臣でありながら、その歴史観は愛国を超えて珍妙の域に達している。 それも、政策や外交において争点とされがちな近現代史だけではない。 まず、中山氏は希望の党において、入…

軍艦島にかぎらず、さまざまな意味で「遺産」には負の側面がある

軍艦島をはじめとして、「産業遺産」として記憶されつつある炭鉱。 その遺産の負の側面が指摘されることへの反証として、美しく楽しい記憶の証言がもちだされることが少なからずある。 炭鉱に朝鮮人差別がなかったという産経記事が、方城炭鉱の事務員の証言…

1945年までに「国体」への忠誠を叩きこまれた日本国民に、江戸時代を記憶していた老人はいなかったのだろうかという疑問

終戦記念日にまつわるドキュメンタリーやドラマを見つづけていて、ふと疑問に思った。 戦前から戦中にかけて、おおかたの日本国民は天皇制を絶対視して、天皇を現人神として崇拝していたことになっている。 しかし植民地出身の「国民」はさておいても、幼い…

『大江山酒天童子』

源頼光と部下による鬼退治の伝説には、知られざる裏の歴史があった。 平安時代の末期、藤原道長が専横をふるっていた。たびたび都は盗賊に襲われ、鬼妖怪が跋扈する。 そこで大江山に潜入した坂田金時たちが見たのは、妖術をもちいて政権の転覆をねらう酒天…

『世界まる見え!テレビ特捜部』ブッたまげ大発見 2時間スペシャル

「謎の巨大生物ホグジラ」は、米国ノースカロライナ州を恐怖におとしいれたイノブタとの戦いを見せる。自動車に近いサイズの動物が街の近くで動いている映像は、なかなかにインパクトがあった。ただ、どうやらホグジラは2005年にもとりあげたことがあるらし…

『タイムボカン24』はシリーズ構成の脚本が最もダメな気がする。

第8話はハチ公を題材とした第6話と同じく金杉弘子脚本。いつものようにダジャレでしかない「真歴史」を展開するだけかに見せて、シートンのいたニューヨークでドーナツが警官に消費されていたという真面目な豆知識を展開。さらに第5話のような競争劇へと移行…

1942年の大日本帝国の「撃滅戦の火蓋は切って落とされた」

国立国会図書館デジタルコレクションで、大倉要『戦争と国際問題』という書籍が公開されている。 戦争と国際問題 - 国立国会図書館デジタルコレクション 「序」によれば、戦時に国民の常識となるよう昨今の重要課題を解説したものだという。 当時の視点にお…

『タイムボカン24』第1話 クレオパトラはクレ夫とパトラという漫才コンビだった!

トキオという少年の前に、カブトムシ型の巨大ロボットが落ちてきた。操縦していたカレンという少女は、悪の組織アクダーマに追われている。 アクダーマの攻撃をさけるためにカレンはトキオをロボットに乗せて、未来世界へと帰還するが…… 『ヤッターマン』に…

『忍者狩り』

将軍家光は幕藩体制を確立するため、口実をつくっては外様大名をとりつぶしていた。伊予松山の蒲生家も、後継ぎ相続における弱体化がねらわれる。 後継ぎを保証する「お墨付き」があるかぎり幕府は建前として蒲生家を守らなければならない。しかし相続の儀式…

『宇宙戦艦ヤマト』キャラクターデザイナー岡迫亘弘氏による、アニメーターの給金にまつわる証言

起源から現代まで、さまざまな日本の特撮作品の新情報をほりおこす『特撮秘宝』。 ジャンルを越境したスタッフの証言からは、特撮中心でない作品の情報も出てくる。今回に読んだvol.3も、興味深い証言が多々あった。 別冊映画秘宝特撮秘宝vol.3 (洋泉社MOOK …

「さすがです天皇様」

何かするたびに忖度されて賞賛される姿に幻聴が聞こえてくる。 ー‐、-.、 __\\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _..-≦: : : : : :、}_≧=‐ / 宮中の中で待っていても _..-≦: : : : _、: : ; : : : : : : : :`ヽ、 | 誰も文句言わないのに _彡ア: :/: : : : -…

『本能寺遊戯』高井忍著

扇ヶ谷姫之、朝比奈亜沙日、アナスタシア・ベズグラヤの3人は、歴史愛好家の女子高生。 歴史雑誌の新説公募に対して、3人は受けねらいの奇説をでっちあげ、賞金や副賞を獲得しようとたくらむ。 本能寺の変、ヤマトタケル、春日局、弓削道鏡、それぞれの謎の…

『エルミタージュ幻想』

エルミタージュ美術館で目ざめる誰かの視点。その誰かは監督らしき独白をする。 その監督らしきロシア人は、古き時代にロシアをおとずれたヨーロッパ人と出会った。 ヨーロッパ人とロシア人は時空を超えたかけあいをしながら、エルミタージュ美術館をめぐっ…

「現世の個人は連綿とつづく血縁の中の一人の旅人である」というなら、日本というひとつの地域に呪縛されるいわれもない

拓殖大学学事顧問の渡辺利夫氏によるコラムが注目をあびている。良くも悪くも。 【正論】もともと日本に存在しなかった「個人主義」の呪縛から脱出せよ 拓殖大学学事顧問・渡辺利夫(1/6ページ) - 産経ニュース 大学で日本近現代史の講義をおこなっているそ…

『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』

のび太たちは自由を求めて家出したが、日本のどこでも人があふれていて居場所がない。そこでドラえもんの力を借りて、原始時代の日本へ家出をすることにした。 しかし現代にもどって原始人ククルと出会ってから、のび太たちは原始時代を支配しようとする呪術…

『フロム・ヘル』

アラン・ムーア原作、エディ・キャンベル作画、柳下毅一郎翻訳のグラフィックノベル。切り裂きジャックを題材にして、時空を超えて虚構と現実が重なりあうさまを見せていく。 『フロム・ヘル』 | トピックス : みすず書房 本作が再現を試みているのは、新世…

「日本の伝統的な心・技・体の一体化した美」を「茶道や能、狂言のエキス」で理解してもらうという不思議なプロジェクト

「能の原型になった芸なんだっけ?」 「ええと……散楽だね」 「狂言になったのは?」 「………散楽だね」 「もひとつ質問いいかな。茶道のもとになった仏教と喫茶、どこから来た?」 「君のような勘のいいガイジンは嫌いだよ」 官邸の「日本の美」総合プロジェク…

アニオタが外国に「日本の美」を軽く紹介するための10本

選んだ基準は、近代国家として成立する以前の日本を舞台としているアニメ映画。 史実に忠実でなくとも、妖怪や精霊が登場しても、その時代の一側面を切りとっていれば採用した。 ただし時間移動する作品は除外したので、『映画ドラえもん のび太の日本誕生』…

『星籠の海』島田荘司著

愛媛県沖の小島にながれついた死体。その源流をめぐって、名探偵の御手洗潔と助手の石岡和己は広島にたどりつく。 古くから潮流による海運がいとなまれていた瀬戸内海で、水軍の超兵器の謎解きと、暗躍する新興宗教との戦いが並行する…… 2013年にハードカバ…

音楽映画ベストテン〜アニメ限定〜

例によってアニメしばりで参加。 2015-10-31 推奨されている計測しやすい書式*1にそって、冒頭にリストを置いたが、うまく表示されるだろうか。 ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年、須田裕美子・芝山努監督) マクロスFB7 オレノウタヲキケ!(2012…

ちょっと気になるロシアの愛国美談映画

第二次世界大戦、独ソ戦でモスクワに残された28人の兵士が最後まで戦い、戦車を撃破したという「美談」があった。 http://jp.wsj.com/news/articles/SB12651166888765394352004581165943210406316 1941年11月16日、ナチスドイツ軍がモスクワを包囲するなか、…

『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』

「京都大火編」戦いからはなれた剣心に、ふたたび政府が接触してきた。志々雄真実という暗殺者が、維新後に切りすてた政府への反乱をくわだてているという。 いったんは断ったが、大久保利通が暗殺されたことを知って、京都へ向かった剣心。そのまわりに、か…

『草の乱』

1918年、北海道の寒村。ひとりの老人が、ずっと隠してきた過去を家族へいいのこそうとしていた。それは鎮圧された反乱の、民衆側の記憶だった。 1883年の埼玉県。世界的不況と松方財政による生糸価格の暴落、富国強兵のための重税、高利子の借金……いくつもの…

『NHKスペシャル』新・映像の世紀「第1集 百年の悲劇はここから始まった」

NHKの有名なドキュメンタリーシリーズ『映像の世紀』の現代版。初回の第1集は約百年前の第一次世界大戦を中心として、世界の変動を描きだしていく。 まず残念なこととして、あまりに公式サイトの情報量が少ない*1。 NHKスペシャル「新・映像の世紀」 番組本…

『リンカーン』

スティーヴン・スピルバーグ監督による2012年公開の伝記映画。リンカーン最後の4ヶ月を2時間半かけて描く。DVDで視聴したところ、映画が始まる前に監督が登場して、簡単な状況説明がなされた。 映画「リンカーン」オフィシャルサイト 南北戦争の終結が近づく…

「「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明」が出たこと

米国の日本研究者を中心とした「日本の歴史家を支持する声明」*1に呼応してか、日本の歴史関係の団体からも声明が出された*2。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150525/k10010091611000.html 歴史学や歴史教育に携わる研究者で作る学会などのうち、会員数…

『暁のヨナ』雑多な感想

ついに主人公のもとに伝説の四龍がつどった。これから父王を殺した敵と戦うべきか、それとも国を立てなおしていく簒奪者を許すべきか。何ができて何をしたいのか、それを問われる。 ひとまず世直しもすませて、当面の目的であった仲間集めも終わり、第一部と…

日本書紀を史実あつかいするなら、仁徳天皇の評価とひきかえに武烈天皇の評価もひきうけなきゃね

愛知県一宮市の中学校で、記紀が史実であるかのように校長が主張したという。 神話や建国記述「間違ってない」「感動した」 一宮市教委の注意で削除の中学校長ブログに激励(1/6ページ) - 産経ニュース 「神武天皇以来2675年に渡り、我が国は日本型の民…

「従軍慰安婦は日本における奴隷だ」という認識に対して、「奴隷は日本にまったくいなかった」とだけ返す没論理の問題

朝日新聞に対して訴訟をおこした「朝日新聞を糺す国民会議」が、2月23日に日本外国特派員協会で記者会見をおこなったという。 主に発言したのはチャンネル桜の水島総氏と、かつて韓国人を装って韓国批判本を出した加瀬英明氏。 その感想として山口智美*1氏ら…

『岩井俊二のMOVIEラボ』#5 ドラマ編 パート1/#6 ドラマ編 パート2

このドラマ編にて、映画の歴史をふりかえるトークバラエティ番組が終了。1分スマホ映画の投稿受付も終わった。 http://www4.nhk.or.jp/movielab/ ゲストの大林宣彦監督は、詩的な言葉をならべながら、俯瞰するように理知的に各作品を評していく。自作品では…