何という昭和の香りただよう話なんだ。
夏休みの宿題にかけた物語なのはいいが、戦闘後のコブラージャがカメラの向こうにいる宿題をやっていない子供達へ“次は君達をデザトリアンにするぞ”と宣言するナマハゲ演出なんて、見たのは何年ぶりだろうか。来海えりかの脳内で天使と悪魔が議論する演出も、パロディならともかく一般向けアニメ作品としては珍しい気がする。
もっとも、物語のまとまりは良かったし、プリキュアで一人だけ駄目な子としての来海えりかが逆説的な魅力*1をふりまいていて、良いコメディ回ではあった。
たくさんのデザトリアンを倒したことで心の種が大量に得られ、心の大樹がいつも以上に元気になったというオチも、さりげなく御都合主義を補完する説明になっている。いつもデザトリアンが大量に登場しない理由として、心の花が枯れた人間を見つけることの困難さにくわえ*2、多く倒された場合のリスクがサバーク側にあるというわけだ。それを説明台詞ではなく、ギャグ描写で暗に示している。
大量にデザトリアンが登場したことで、ボリュームあるアクションも楽しめた。単にリソースを消費するだけでなく、各デザトリアンのサイズ違いで殺陣に変化をつけたり、無数の鉛筆デザトリアンが土手へ次々に横から刺さったり*3、もちろんミサイル攻撃や合体しての巨大化もあったり……その中でも、高速移動を光の線で表現する演出は*4、今回が最もスピード感が出ていたかもしれない。
今回の演出は黒田成美。前シリーズでの登板回はふるわなかったが、今シリーズで担当した回は面白い。もちろん長峯達也シリーズディレクターの修正や影響もあるだろうが*5、くるくる表情が変わるデフォルメを許す今シリーズは作風からして合っているのではないかと思う。