大塚隆史演出、井上美緒脚本。作画監督は河野宏之なので、原画はいつもの3人。
幼女とポプリが公園で楽しく家出ごっこをしていて、降雨を境にして心情が変わるところが物語の流れとしても映像としても綺麗。ここで主人公達ではなく月影ゆりが登場して解決を引っぱりつつ、いつきに問いかけるところも物語の視野を広げて良かった*1。今回の大切なものを失いかける物語から次回予告へ繋がるシリーズ構成も美しい。
アクションでは四つんばいで走り回る巨大デザトリアンに迫力があった。殺陣も多彩で作画も良い。デザトリアンが拳をふりかぶって殴るカットを何度も使い回していたが、ダイナミックな作画にカット繋ぎも自然で、手抜きとは感じさせない。
あちこちで見せるキュアマリンのデフォルメ表情も楽しく*2、妖精の問題はヌイグルミになる練習というバカバカしい解決策が映像として面白く提示され、今回は細かい息抜き描写もよくできていた。
物語面では、最も抑圧を描かれた幼女がデザトリアン化するのではなく、母親がデザトリアン化するという微妙な変化球が意外で面白い。考えてみれば母の日の話*3と似た構図ではあるが、娘を失って抑圧されていた母を直前まで全く描かなかったからこそ、デザトリアン化しても同じ言葉を叫び続けるところが印象に残りやすい。
化粧品を捨てられた怒りでコブラージャが出撃したという発端が、大切なら手元にずっと置いておけとデザトリアンへ向けた台詞に繋がっているところも印象深い。コブラージャはわりと本気でアドバイスしているのかもしれないし、ならばこそ子供を化粧品と同じように所有物と見なす考えをプリキュアは否定しなければならない。