法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第16話 ライバルはエリカ!演劇部からの挑戦状です!!

プリキュアとしても決め台詞の回数が少なく、ここのところドラマにも関わっていなかった来海えりかの注力回。同じように高い実力を持ち、性格も似通いつつ、求心力を失った演劇部長と対比することで、わかりやすくえりかの魅力を提示する。大きなお友達という観点からは、少し構図がわかりやすすぎたかな、とも思うが。
人々の心情を作中劇を用いて暗喩し、結末の帰還へ繋げる流れは、演出的にも美しい。
また、明示はされていないが、妹を家で一人にさせないため中学校に呼び、ファッション部が受け入れているだろう光景もいい。キャラクターを大切に扱っていることが感じられ、自然と心が熱くなる。


しかし見ている途中で気になったのが、顧問は何をしているのかということ。顧問の先生がいないから、部活に対するコモンセンスがないのか。
……真面目な話、ファッション部についてなら、立て直し経緯から考えて顧問が部活動に介入しないことは納得できなくはない。だからこそ同様に、演劇部も部長一人が引っぱっているという背景をどこかで明示してほしかった。ついでに、そういう部長の真意を理解しつつ他部員との板ばさみになっている部員を出せば、演劇部の内情を主人公が知る流れもより自然に描けたとも思うし、部員全員が同じように反目する不自然さも軽減されたと思う。
現行でも一応は、コンクール出場を目指すため通常以上に部長が厳しかったらしいことは、うかがえる描写になっている。しかし、一つのきっかけで全部員が離反したのだから、内面の叫びを聞いただけで全員が戻ってくる展開は、やはり御都合主義と感じる。仲をとりもとうとした部員が一人いても良かったのではないか。


作画監督はフランシス・カネダとポール・アンニョヌエボの連名。国内原画もいるが、ところどころのエフェクト形状を見ると、戦闘シーンのかなりをTAPスタッフが担当したのだと思う。久しぶりに良い意味で粗いアクションが楽しめたな。すしお作画のように凄腕アニメーターが意識して崩しているのと、発展途上のアニメーターが高い目標を目指して荒く描いているのとでは、受ける印象が微妙に違う。
演出は黒田成美。敵幹部コブラージャが二階通路で見物しているところとか、体育館内部という閉鎖空間を活かした殺陣も悪くない。……それにしても、結局は戦闘でスパッツを見せてもいいのか。勝間田御大の立場はいったい。