法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

確かに靖国からペットボトルが投げられた

デモに対するペットボトル投げ入れについて、id:hatredlef氏は懐疑的に言及していたが*1、当日の靖国へ出向いていたProdigal_Son氏が動画を上げていた。
http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20100822/1282443437
映像で他の撮影している者が少なからずいることが確認できるから、いずれ別の方面からも動画や写真が出てくるだろう。


まず全体の感想をいうと、日の丸に囲まれた状態でProdigal_Son氏が撮影しているため、マイノリティに対するマジョリティへの抑圧という構図に感じられるところが興味深い。デモに対する暴力的な反応を抜きにしても、映画『靖国』よりもさらに観客の立ち位置を問う映像になっていると感じる。
そして見続けていくと、まず3分40秒あたりから「ゴーキブリィ!ゴーキブリィ!」*2のコールが始まっている。
続いて4分50秒くらいにペットボトルらしい物体が投げ込まれていることが確認できる。この映像で初めて知って少し驚いたのだが、ペットボトルは同時に二ヶ所から投げ込まれており、一個人の突発的な行動ではないらしいこともうかがえる。
5分くらいに高い位置で「天皇陛下万歳*3という用紙をかかげた男性が写った直後、5分10秒くらいにカメラをふった時や、5分25秒くらいにも何かが投げ込まれている。
そして5分40秒くらいに、近くでペットボトルの茶を飲んでいた男性が蓋を閉め、投げる姿がはっきり映し出されている。ゴミならゴミ箱へ入れようよ。
ネットで有名な日本人が、皇居の日の丸を燃やした - (元)登校拒否系*4


いずれにしても映像を信用する限り、在特会を切断処理してすませられる状況には全くないことが明確になったと思う。行動と主張内容の両方を批判するべきという、以前から私が書いたこととは、また異なる文脈で。
ペットボトルは複数個所から分散して投げ込まれており、一団体の扇動というには規模が大きすぎる。最初の一人二人が扇動者で、残りは集団催眠的に追随しただけという考えもできなくないが、それはそれで組織化すらされていない集団の暴力という問題が立ちあらわれる。
何より、投げ込みを止めようと行動する向きも見当たらない。もちろん個人が止めようとすれば暴力をふるわれる危険性も高いと思うのだが、だとすれば複数の暴力に対して個人しか相対しようとしていないことになる。


靖国神社は、このまま人権抑圧機関として機能し続けるつもりなのだろうか。そうである限り、静かな顕彰もしくは慰霊の場であることは不可能だろう。
踏みつけにされた者を静かにさせるには、足をどけて心から謝る姿勢を見せるか、踏みつけた者が死ぬまで待つしかない。前者についていえば謝ることはもちろん足をどけるそぶりすらしないし、さすがに後者を実行しているとは思いたくない。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20100816/1281974440の最終段落参照。

*2:イントネーションから「ディーフェンス!ディーフェンス!」を思い出した。実際、何かを守っているつもりではあるのだろう。

*3:昭和天皇の意思で参拝が行なわれなくなっている現状について、どう考えているのだろうか。

*4:いや、このような行動を真似するべきとはいわないが。今やっても二番煎じになるだけだろう。toled氏を「だいすき」とは口が裂けてもいうつもりはないものの、計算してやっているつもりで天然なコンテンポラリーパフォーマーとしての才能には余人をもって代えがたいところがあると思わざるをえない。