〜人の呼び方を使い分けさせると、腹黒く見えるという話〜
呉越同舟プロットは仲良くさせる定石。心身のふれあい*1によって距離が近づく、しかしそれは先のことはわからない程度……この微妙さ加減がいい。
本能だけで生きている妹、京子の描写も印象的。逃げている最中でも閉じ込められた姉達を見ると反射的に笑うのが、いかにも子供らしい。その爆笑を無音で表現したのも、良作画を活かした良い演出。
後半、現実で工場崩壊というクライマックスを用意し、イサコが楽に解決できない障害を用意したのも良かった。自然と切迫感が強調され、ラストのやりとりにも説得力が増す。崩壊の作画演出は描き足りない甘さもあったが、大平晋也*2を思わせる破片のフォルムがいい。
ただ、工場にヤサコ達を侵入させてしまう黒客クラブの無能ぶりは御都合主義的も感じた。伏線皆無で古典的すぎるオチもどうなのか。