〜そういや最近イサコが表に出てこない〜
イリーガル飼育話の第三弾。普遍的な語り口の、ちょっと良い話。街中で黒い地面を探して移動するというルールがサスペンスを生んで、ゲーム的な楽しみもある*1。
癒し系キャラなデンパの優しさと意思の強さ、感情移入してしまうヤサコ、かつて電脳ペットを死なせたフミエの強がり、あくまで虚構生物と一歩引きつつも協力するハラケン……キャラ描写を4人にしぼったことで、これまで刻んできた各人物像がより深く彫り込まれた。
現実と重なりあう電脳世界を構築するため街頭カメラが利用されていることなど、いくつかの設定説明も興味深い。
EDへの入り方がもう少し良ければ、もっと余韻を感じられただろうことだけが残念。
映像的には引いた構図の多用が印象的だ。理由として、巨大イリーガルと子供を同一画面に入れることや、町を双六盤のように扱うという物語的な要請もあるだろう。さらに感傷的な話だからこそ、あえて登場人物から一歩引くという演出意図も感じる。
幻影を追って走り出すイリーガル、それを懸命に追うデンパ*2、二者を輝ける朝日が照らす*3。このカットが、特に記憶に残っている。