法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『電脳コイル』第10話 カンナの日記

〜なんだか普通にいい話〜
重い話ではあるが、恋愛の萌芽で引きつけてからの落とし方がうまい。ヤサコとハラケン双方が、相手に今はいない者を投影している関係も面白い。イサコもふくめ、今は側にいない人を求める物語。フミエとダイチの関係も、その一つ。


さて、これまで全体の謎は、リレー的に一つ解けるたびに次が出てくるといった流れだったが*1、いくつかの設定が出そろって物語の先行きが見えてきた。……と思えば、次は仮想空間の水没話*2。やはり先が見えない作品だ。
一話ごとの起承転結はしっかりしているし、話をまたぐ謎と解決もていねいに対応しているので、構成が下手というわけではないのだが。


平松禎史がコンテ演出を担当。日記朗読を引いた画面のみで、かつ絵が静止しないようにし、語られる内容が予想できて嫌なのに画面に注目せざるをえなくする演出が巧妙。
原画には雨宮哲ら、ガイナックス系のアニメーターがちらほら。作画監督は向田隆。『電脳コイル』の制作時期を考えると新人に近いが、『鋼の錬金術師』でも印象に残る作画をしただけあって、他のベテランに引けをとらない。冒頭の爆発は短いながら良い出来。

*1:たとえると、ハッタリの少ない平成仮面ライダーといった感覚。

*2:実はネットの情報でサブタイトルこそ知っていたのだが、見た限りコミカルな方向性らしいな、と意外に思ったのだ。もっとも、この作品で予告のコミカルさは当てにならないのだが。