法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界中やらかしちゃったヤツばかり!おマヌケさん大集合SP

「密着!アメリカ裁判24時」は、米国の裁判所におけるさまざまな珍事件を実際の映像で紹介。ただ有罪判決で裁判官へ暴言をくりかえして罪が短時間で重くなった事例など、以前にも見かけた記憶がある映像がいくつか。
 また、個室のような巨大な箱に入れられて出廷した殺人容疑者をマヌケに見せた序盤で疑問をおぼえた。横の隙間から無理やり出ようとしたり、箱上部から体を出して天井をやぶってのぼりはじめたり、ひきずりおろされて下半身がパンツだけになったのを、BGMとあわせてマヌケに演出して実際に笑いそうになったが、実刑判決がくだるような殺人犯を笑いのネタにするのは根本的にブラックすぎる。


「子どもの小学校に入学したパパ、ママ」は、英国のブラックロッド小学校に親が入学して子と同じ授業を実際に体験していく。
 小学レベルの算数に四苦八苦する親。なかには自分の頭の悪さに泣き出してトイレに行き、難しい授業を受けている子に謝る親まで。自閉症の子ふたりをかかえている父は、子を力づけようと運動会の長距離走で奮闘する。
 授業がたいへんななかで美味しくなった給食だけは堪能したり、世代と立場をこえて子のおかれた状況を親が知る試みとしてよくできていたと思う。現場や親の負担を社会でおぎなえるなら日本で導入しても悪くないかも。


サダム・フセイン、映画への挑戦」は、今はなきイラクの独裁者サダム・フセインが外国からスタッフを呼びよせて制作させた大作映画『Clash of Loyalties』の顛末。
 当時は世界との関係も険悪さは少なく、高給を提示できたことで英国から良いスタッフを集められるかと思いきや、監督はドキュメンタリ作家で、主演のオリヴァー・リードは人気も実力もあったが放蕩ぶりが問題。しかも撮影中にイランイラク戦争がはじまって現地スタッフも撮影につかう馬も徴用されていく。
 ドキュメンタリ出身の名映画監督はポール・グリーングラス是枝裕和のように多数いるし、脚本のない手法の映画撮影も類例はあるが、さまざまな撮影要素をくみあわせる大作映画には向いていなかった。アクション演出だけはハリウッド大作にも多数参加しているベテランが入ったが、戦争がはじまったのでタクシーでクウェートに脱出してしまった。そこで監督がアクション演出もすることに。
 やがてイランとの国境近くで大規模な戦闘シーンを撮影することになり、実物大の列車を爆破したり。紹介された映像は順当によくできていたが、イラク側にはイランの侵攻と誤認されて攻撃される寸前で、イラン側には自軍が敵列車を破壊できたと誤認されたという。
 どうしようもない撮影素材でも英国の専門スタッフが編集したことでかたちにはなり、内心はともかくフセインは喜んで褒美をあたえたが、買い手が見つからずお蔵入りになった。フセイン政権が倒れた今でもプロデューサーは大量のフィルムを保管していて、日の目を見ることを望んでいる……
 伝説的な革命劇を独裁者が外国スタッフにつくらせたという展開に、どうしても『プルガサリ 伝説の大怪獣』を思い出すところ。DVDももっているが、特撮の見どころはあるし寓話としても意外とよくできていたことを思い出す。

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 イラクの映画はどのような中身なのだろうか。タイトルで検索するとYoutubeに全体がアップロードされているようだが、滅びた政権が半年前に制作した映画とはいえ、著作権的に大丈夫なのかどうか……