法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界の不思議な団体SP

「スーパーサイズホリデー」は、カリブ海につくられた巨体向けの特別なホテルを紹介。プール付きだが1階建ての小さな建物なので、ペンションに近いイメージ。
 100kg以上の肉体を支えるため、椅子はひとり1m幅で頑丈に、ベッドも鉄骨で補強。そもそもホテルをつくった理由は、支配人が別のホテルにつとめていた時、設備を壊して弁償させられていたのを見たためだという。
 そしてホテルに夫婦や友人たちがやってくるが、周囲は同じ体型ばかりなのに恥ずかしがって水着になれない者ばかり。それでも滞在する日々の中で少しずつ自分をさらけだし、ホテルが用意した遊具で自分を解放していく。
 野生の豚とともに水泳を楽しんだり、絵面はマヌケな感じはあったが、自分の肉体を承認していく姿には不思議な感動もあった。心情が前向きになったことで滞在後に恋人と結婚したり、ダイエットに成功した例もあったという。
 世界中が肥満に苦しむ時代において重要なことを映しとったドキュメンタリと感じられた。どうしても絵面はマヌケだけれども。


「アフリカの児童養護施設」は、貧困に苦しむマラウイ共和国で、孤児たちを集める台湾の仏教系児童施設を紹介する。南アフリカのスタッフが撮影したドキュメンタリで、賛否両論を呼んだというが……
 スタッフは村々をわたって親のいない子供を集めて、現地につくった巨大寺院のような施設で生活させる。食事は出るし教育も受けられる。しかし早朝4時半に読経のため起こされ、遅刻すれば階段をウサギ跳びさせられたりと厳しい罰がくだる。教えられるのは中国語で、子供たちは故郷の言葉を忘れそうになる。寄付を集めるイベントのため、さまざまな危険な武術を教えられ、貧困の苦しみを表現する演劇の指導もされる。
 故郷に帰られるのは1年に1回くらい。これは最近に紹介されたネパールの似た施設*1よりは頻度が高いが、やがて高校を卒業すれば5~6年は台湾に留学しつづけることを要望される……
 スタジオでは福祉施設のように肯定する評価が多く、賛否両論といっても故郷をはなれた子供のつらさを想像する程度。おそらくこのドキュメンタリが賛否両論になった本当の理由は、現地文化を尊重しない文化植民地主義が描かれているためではないだろうか。それもキリスト教にもとづく欧米そっくりに仏教にもとづく台湾の動きが描かれているため、よりグロテスクに感じられたのではないかと思う。


「アルゼンチンヘき地のラジオ局」は、電話も村にひとつしかないようなアルゼンチンのパタゴニア地方で、ひとびとのメッセージをとりつぐ国営ラジオ局を紹介。
 国営ながらたった三人のスタッフで電話によるメッセージを受けつけつづけ、時間いっぱいに個人的なメッセージをひたすら読みあげつづける。ウール工場の落成を祝う公開生放送のため自動車で7時間ある地域まで移動。そしてさまざまな人間模様を映しながらパタゴニアの素朴でうつくしい景色を切りとっていく……
 ドキュメンタリとして定番をよく押さえて見ごたえはあった。国家が他の通信インフラを用意できないからこそ、国営で利益度外視な放送をせざるをえないのだろうとも思ったが。実際、スタジオで語られた後日談として、インターネットもつかえるようになったが一部地域にとどまり、まだこのラジオ局が必要とされているという。