法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第1話 わたしがヒーローガール!?キュアスカイ参上!!

巨大な鳥に乗って、空に浮かぶ島スカイランドに向かう少女ソラ・ハレワタール。赤子のプリンセスが誘拐された異変に気づいたソラは、カバトンと名乗る誘拐犯と戦う。異空間に逃げたカバトンを追ったソラは、地球に落ちてきて……


東映出身でシリーズに何度も参加し、近年は2年にわたって放映された『ゲゲゲの鬼太郎』6期の小川孝治が、初めてプリキュアシリーズディレクターを担当。初回の演出もつとめた。
キャラクターデザインは京都アニメーション出身の斎藤敦史で*1東映らしくノンクレジットで作画監督としての作業もしていたらしい。初回の作画監督東映初参加らしい片山敬介。

アバンタイトルからAパートまで完全に異世界で物語が終始するところはシリーズで初めてで、ソラのパルクール移動を作画できちんと見せるところは東映らしからぬ力の入れぶりだが、色彩や描線などの印象は過去作と大きな違いが感じられない。そもそも東映の古い女児向けファンタジーのような作りで、それ自体に新鮮味はない。
Aパートの生身で見せるアクションも、まだ過去作の悪くないアクションと同じくらいの印象。ソラがキュアスカイへ変身する映像も、あくまで過去作の延長にあると感じられた。水色を基調としたデザインや長いツインテール、歌をモチーフにしたと思われる小道具など、もはや古びた初音ミクパロディのようにも感じた。
しかしそこからのアクションは素晴らしい。キュアスカイの名前通り上下の移動を重視しつつ、ディテールを落としたフォルム重視の作画でヒラヒラとよく動く。手足の細さがちょっと古い作画アニメのスタイル。拳をうちこんで怪物を消滅させるという前作以上の肉弾重視のアクションフォーマットも、必殺技だけは光線などの飛び道具が多いシリーズのなかで異色で目を引いた。


「ヒーロー」になりたい、なろうとするソラのモチベーションで物語が進んでいくところもシリーズのなかでは異色。近いものとしてプリンセスになろうとする『Go!プリンセスプリキュア』や*2、複数プリキュアの活躍が認知されている世界で憧れをもっていた『ハピネスチャージプリキュア!』はあったが*3プリキュア的な戦う存在を最初から目指しているところは初めてではないだろうか。
もちろん戦士になろうとする主人公が戦士になっていく物語そのものは一般的にありふれているわけだが、おそらく地球の一般人*4からプリキュアになって戦いに参加する虹ヶ丘ましろと対比していくのだろう。
敵がねらって主人公が庇護することになるプリンセスがプリキュアへの変身能力をさずけたり、少なくとも初回にかぎっては対立や協力の関係が無駄なく整理され、長々とした説明がなくても物語を追いやすい。
さほど意外性のない導入ではあったが、敵味方との出会いや設定説明を処理しつつソラ・ハレワタールという主人公の魅力を押しだすことに全力をつかったストーリーとしては完成度が高かった。

*1:w.atwiki.jp

*2:クライマックスで一気に現代的なアクション作画を展開するところも通じる。 hokke-ookami.hatenablog.com

*3:hokke-ookami.hatenablog.com

*4:ただ祖母のおつかいで魔女めいた材料を買おうとしていたあたり、超常とのつながりもありそうだ。