幻影帝国に支配されているというより、徐々に社会へ浸透されながらも衝突をさけている世界。とりあえず人々は前向きに日常を生きている。すぐそばでプリキュアも戦っていると知っているからだ。
ライトノベル原作アニメでよくある、超常存在が身近にいる社会と要約すれば、そう違和感ない世界観。女児向けアニメでも、妖精と共存するような作品には前例が多い。女の子は誰だってプリキュアになれるというフレーズが正しいならば、なるほどプリキュアが手のとどく存在であってもおかしくない。
長峯達也シリーズディレクターと成田良美シリーズ構成は、『聖闘士星矢Ω』の2期と同じスタッフ。最近になってシリーズディレクターが連名になっていたのは、やはり仕事が重なったためか。
同じ長峯演出の『ハートキャッチプリキュア！』第1話*1と同じく、絵作りに細かく神経がいきとどいており、リアルな建物をファンタジーな敵が侵食している風景を見ているだけで楽しい。
しかし、キャラクターの性格づけは濃くなり、情報もテンポ良く見せているのに、全体の印象としては『ハートキャッチプリキュア！』より丸くなっている。プリキュアごとの異なる考えを多視点で映していくことで、ちょっと引いた位置からバランスよく世界の全体像を見せているためだろうか。どのようにも動きそうな期待をさせつつ、この第1話の段階ではキャラクター紹介にてっしている。
キャラクターデザインの佐藤雅将は、これまで実力に比して底支えのような仕事が多いという印象があった。オリジナルキャラクターを手がけるのは初めてだと思うが、華やかでありつつTVアニメとして無理のない、シンプルな作りが好ましい。むろん基本がシンプルなのは、フォームチェンジのためもあるだろう。
作画監督は濱野裕一と小松こずえの連名で、原画に杉山了蔵や大田和寛や上野ケンなど。ちょっと全体を通すと目鼻立ちのバランスが変化している印象もあったが、序盤中盤終盤と物量の多いアクションをきちんと激しく作画できていた。
