法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第23話 砕けた夢と、よみがえる力

 変身できなくなり、書置きだけ残して逃げるようにスカイランドの実家へ帰ったソラ・ハレワタール。弟はバカにするが、両親は静かに受けいれてくれた。聖あげはと夕凪ツバサはスカイランドへ様子を見に行くが、虹ヶ丘ましろはソラシド市に残る。しかしソラシド市でバッタモンダーが怪物ランボーグをあばれさせ、ヒーローの出番がもとめられていた……


 金月龍之介シリーズ構成の脚本に、小川孝治シリーズディレクターのコンテ。そこで飛田剛が演出をつとめるのは虹ヶ丘ましろがキュアプリズムに初変身する第4話*1と同じで、稲上晃作画監督はキュアスカイとキュアプリズムの合体技が初披露された第5話*2以来。
 バッタモンダーの背後でランボーグがビルを破壊するカットの望遠圧縮ぶりは目を引いた。プリキュアレベルの強者を核にしたランボーグもしっかり動かしている。怪物が落とした巨剣の上をプリキュアが滑ったり、殺陣のアイデアも多彩でいい。
 いつもの必殺技バンクにキャラクターが傷ついたような変化を入れたり、テンションをあげた物語となじむように新規作画から流れるように必殺技に移行したり、省力しつつ普段とは違う雰囲気をアクションで出せているところもうまい。


 主人公の精神的な復活を描く重要エピソードの後編にして、行方不明になっていた重要キャラクターの救出エピソードだが、この作品らしくゲストキャラクターを出さずに既存の人間関係でドラマを動かしていて、バッタモンダーを倒すわけでもなく、物語は意外と通常回のよう。
 しかし以前のエピソードを引くような描写をいくつも入れて、ソラ・ハレワタールが新たな夢をもつまでを連続ストーリーとして描き出せていた。たとえば物語の小道具として手帳をつかって販促をかねるところは第5話を思わせる。
 そのなかでも虹ヶ丘ましろとの仲を特にピックアップして、助けあい信じあう物語としてよくできていた。上北ふたごによるコミカライズを引いたような「わたしのヒーローさん」というフレーズの重さがいい。