法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Go!プリンセスプリキュア』第1話 私がプリンセス?キュアフローラ誕生!!

東映生え抜きの若手演出家、田中裕太がシリーズディレクターに就任。シリーズ構成も東映出身の田中仁で、キャラクターデザインはTVSPの『ONE PEICE』で活躍していた中谷友紀子。すべて東映内部の人材だが、平均年齢が一気に若返った。
Go!プリンセスプリキュア|朝日放送テレビ
シリーズディレクターのコンテ演出*1によるOPからして、心機一転しようという心構えがつたわってくる。コンテ演出そのものに意外性はないが、だからこそテロップの字体を大きく変えたことが目立つ。さらにテロップを立体的に浮かべる演出は、これまでのシリーズに見られなかったもの。


本編に入っても、設定の古さが逆に新しい。
まず全寮制の閉ざされた空間で、プリンセスに憧れる主人公という古典的すぎる設定が、シリーズとしては珍しい。そして浮世離れした舞台だからこそ、ていねいな話運びが際立つ。主人公が学園を見てまわりながら登場人物を説明していき、謎の敵に驚き恐れながら立ちむかう心情をしっかり描いているので、違和感なくドラマを追っていける。
映像面でも、『少女革命ウテナ』を思い出させる表現主義的な導入から、細かく設定された学園の背景美術、広い空間を荒々しく動く戦闘まで、高い水準を維持しながらスタイルを変化させて飽きさせない。過去の田中裕太演出では設定がリアル寄りの『スイートプリキュア♪』が最も好印象で、『スマイルプリキュア!』などは表現主義が過剰と思っていたが、目指していたリアリティレベルはここなのかと得心した。
作画監督は上野ケンで、原画に黒柳賢治や志田直俊など。手描きらしい強弱をつけた描線は好みだったし、アクションもよく動かしていた。しっかり演出に映像が追いついている。ただ今作の3DCGバンクは描線が細くて単調なので、手描き作画と違和感を生んでいたのが残念。前作のように描線の太い3DCGなら違和感なく融合したと思うのだが。