法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ツボ押し壺/雪男のアルバイト

「ツボ押し壺」は、指にはめると目的にあった適切なツボを見つけて、それを押すと目的がかなう秘密道具が登場。のび太は勝手な理由で他人のツボを押しはじめる……
 清水東脚本によるアニメオリジナルストーリー。腰繁男コンテ演出に藤田優奈と小西富洋と三輪修の共同作画監督で、今回は作画アニメ感があった。しずちゃんの横顔が特徴的だし、スネ夫が回転する残像表現もこのTVアニメではめったに見ない。複雑な模様のついた壺を指にはめる秘密道具とするデザインは手描き作画ではなく、デジタル仕上げ技術を活用している。
 肉体のツボをついて身体的な変化から目的をかなえる秘密道具は、原作らしい微妙なオカルト要素とまわりくどさがあった。しかしツボの内容を音声で説明するのは過剰機能に感じられて好きではない。秘密道具が言葉で説明する場合、機能そのものと密接な関係があるか、音声を発する部分がデザインに組みこまれていることが原作では多い。


「雪男のアルバイト」は、山奥山にいるヤマゴンという雪男の証拠写真スネ夫が見せる。疑うのび太だが、スネ夫とヤマゴンの証拠探し競争をはじめることになるが、ヤマゴンの正体は……
 2007年に映像化され、2018年の大晦日SPで再放送*1されたエピソードのリメイク。小倉監督コンテの通常回では珍しく良かった。冒頭などの暗転演出でカット割りの呼吸をコントロールして、雪男の恐怖を微妙に増しているところが特に良い。
 イエティが現地語でヒグマの意味だという説に言及して、直後の雪男にいきなり遭遇する原作の驚きを強調したところも素晴らしい。リアリティとサプライズを同時に増している。
 ただ、冒頭のふたりは着ぐるみを本物の雪男とかんちがいした回想のふたりと同じキャラクターデザインにしたほうが良かったのではないだろうか。