法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第36話 みんなが主役!私たちのステージです!!

脚本が井上美緒、演出は黒田成美作画監督が小島彰。
リソースが必要そうなお祭り回の特徴を逆手にとって、うまく省力しながら豪華な映像と感じさせてくれた。


キャラクター作画はよく整っていて、デフォルメされた表情を多用するだけでなく、描線を変えたり影無しで立体感を出した作画があったり*1、アニメーターの力も関与してコミカルな映像を作っていた。
文化祭ということで、過去に登場したキャラクターが家族をふくめて再登場。描写されること自体で興味をそそるから、止め絵や口パクを多用して省力していても気にならない。


今回は主題歌を歌っている池田彩と工藤真由がゲストキャラクターとして声を当てているが、予想外の集客に恐れをなして逃げ出した軽音部のボーカルであるため、物語の中心にいながら台詞は少ない。心の叫びはいつものように金田朋子演じるデザトリアンが担当しているし、クライマックスでの歌唱力はさすがだし、棒読みも気にならず味と感じるほど。ウマイというかズルイというか。
デザトリアンが操縦されるようになってから抑圧された心情の発露という要素が薄れたためか、抑圧をふりほどくための対話を中盤に持ってきて解決への道筋をつけ、その後のデザトリアンは単純に問題解決への障害と位置づけられた物語構成も完成度が高い。作品フォーマットとして今後も応用できるだろう。
アクションでは、演出の範疇かもしれないが、キュアムーンライトが一人で接近戦に持ち込める力を見せつつ、敵が反攻に出るとキュアサンシャインのシールドに助けをえたり、最後は若い3人の合体必殺技に任せたり、弱体化せずに主人公達をアクションで活躍させる位置取りが良かった。暗いステージから明るい校庭へデザトリアンを吹き飛ばしたり、音符爆弾を浮遊させて遅延攻撃をしかけたり、殺陣にも新鮮さがあったし、止め絵が目立つこともない。
最後のライブシーンも動かすポイントを押さえ、暗い観客席でサイリウムが振られるカットを使い回したり、照明やカット割りを挿入歌と同期させることで、省力しつつメリハリある映像にしたてていた。



ところで、一瞬「綺羅星」があったような気がしたが大丈夫か。

*1:近年はあえて影無し作画をすることで立体感や動きを強調するアニメも増えたが、やはり省力のために影を少なくすることが今でも多い。