法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第43話 獄将デュック復活! 執念の十二宮Xレア

今回の物語は、復活とうたいつつ自らを洗脳し改造した者から捨てられて、脱出時に洗脳後の記憶まで失った男を描く。身体が記憶していた十二宮Xレア探しとバトルスピリッツにすがりつく、壮絶な姿を力強い映像で描いた。
石川てつや作画監督で、濃厚な絵がぐりぐり動く。唇の立体感を影で表現する作画が生々しい。ゲストキャラクターの少女エリスも可愛らしく、主人公へ訴えかける場面では頭を振りながら言葉をしぼり出す。原画には、菊池晃他の良作画回に集まる面子に加えて、志田ただしの名前があった。
河村智之コンテ演出も印象的で、デュックの内面を描くために、この作品では珍しく表現主義を用いていた。かすれたフィルムのような内面世界で、巨大換気扇が作る光と影が男の身体を切り刻む。
デュックが十二宮Xレアにこだわり多用することで、バトルでは3DCGの派手なスピリッツが画面を乱舞する。水瓶座の特殊能力を表現するためフィールドが水浸しになったり、見た目の変化も多くて面白い。それでいて戦略としては十二宮Xレアにこだわりすぎ、洗脳後にブレイヴ対策で用いているカード「闇の聖剣」が機能せず、主人公に打ち倒されるという展開も皮肉でいい。


しかし、可愛らしい少女に献身されて思い出す家族が、領地を継承させようとしていた息子という描写には、少し笑った。そもそもキャラクター配置から考えて、娘に設定するべきではないかと前から思っていたが。
あと、敵勢力に渡って自己実現をはたした紫乃宮まゐが、バトル後にカードをかっさらって去っていく傍若無人な姿に、『機動戦士Vガンダム』のカテジナを思い出さずにいられなかった。期待されすぎた優等生が戦争で狂って暴れまわったカテジナと違い、紫乃宮まゐは本来が小悪魔的だったし暴れまわる話数は残っていないが……