法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第13話 真実が明かされます!キュアムーンライトの正体!!

座古明史演出、河野宏之作画監督
いつもの河野回らしくクレジットは3人原画だが、馬越修正を考慮しても作画は悪くない。頭身高いキャラクターの活躍が多く、絵柄が合っていること。以前から3人の誰かが爆発エフェクト作画を得意としていると考えているだが、ちょうどクライマックス戦闘で爆発を多用して印象的な画面を作っていること。組むことが多い演出家と作画監督なので、得意分野を熟知しているのだろう。敵戦闘員スナッキーが人々を襲っているシーンも、微妙にアニメーターの手癖が出つつ、前後と比べて違和感ない、ちょうどいいあんばいの個性だ。
作画枚数の節約も絶妙。特に序盤の朝食演出が素晴らしい。美味しそうに調理されつつ、孤独でまずそうな食卓という矛盾した状況を、超俯瞰で料理だけを見せるカットで表現。普通の食事描写には作画枚数を使ってていねいな芝居が必要なものだが、今回はあえてまずそうに見せるため、料理と人物を同じ画面に入れないという演出をつらぬき、同時に作画の手間を減らしている。
一つだけ残念だったのは、襲いくるスナッキーを月影ゆりが受け流していく殺陣が、少しぎこちなかったこと。もう少し作画枚数を使えば良い場面になりそうなのだが、制限がきつかったのだろうか。


脚本はシリーズ構成が担当。
以前の話と比べて登場人物の言動に違和感はあるが、よく見ると重大な矛盾はあまりない。基本的に、祖母一人が情報を隠していたり、方便としての嘘をついているという解釈で説明がつくようになっている。今話だけで見ても、「その後どう?」といいつつ駅の売店で母親が働いていることを知っていたり*1、謎の「イケメン」の正体探しをごましたり、かなり意識的にそういうキャラクターとして描いているのだろう。
打ち合わせはしつつも複数脚本家で手分けして書いてきたため細かな齟齬が重なってきた物語を、シリーズ構成として補足描写しつつ、うまく情報整理しなおしたといったところ。

*1:書かれない会話場面で知らされたとか、再会する前から同じ駅の売店で働いていたとかいう可能性もないではない。しかし、ここは祖母が色々なことを熟知していることを示す描写と読むべきだろう。