今シリーズは各話の展開に意外性を出す一方、シリーズを通した展開では意外性が全くない。毎話を見てもらえるとは限らず、見逃した場合に見返すことも難しい長期TVアニメにおいて、正しいシリーズ構成だとは思うが。
むしろ逆に、月影ゆりの家族問題はシリーズ序盤に語られただけなので、終盤にきて急いで話をたたむあわただしさが気にかかった。孤独ではなくなったシリーズ後半にこそ、父がいなくても母や仲間とともに生きている月影ゆりの物語がほしかったところ。……そういえば来海ももかとからむ描写も、後半はほとんどなかったな。
一方でキュアマリンとキュアサンシャインが敵怪人に変装する描写は、少し前に描かれたスナッキーの修復描写が伏線として作用していて、なかなか好印象。映像化されなかった変装光景を想像すると、スナッキーの自我がどうなるのか悩むところだが、それはそれ。キュアムーライト関係のシリアスさをつぶさない程度に軽いコメディとして、息抜きになる絶妙さだった。
これに限らずキュアムーンライト関係のドラマは、激しい格闘戦から空中戦まで行いつつも*1、キュアブロッサムの主人公としての立場を食わず、バランスが良かった。結末も、普段とは違ってCMをはさまずEDに移行し、緊張感を保ちながら次回への興味を引く。