法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』おばあちゃんのおもいで

脚本が清水東、コンテ演出が三宅綱太郎、作画監督が嶋津郁雄という布陣で30分いっぱいの中編としてアニメ化。
今回の原作は、主人公の家族をめぐる感動的な話とあって、何度となくアニメ化されている。映画『おばあちゃんの思い出』*1毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受けた。
リニューアル後にも一度アニメ化され*2、「心に残るお話30」企画ページで旧TV版と並んで紹介されている*3。1時間SP内で、通常の半パートと30分番組の中間くらいの尺だった。


今回は、特に多くのアニメオリジナル描写が加えられたわけではない。人形を取り戻す描写で映画版と同じようにアクション描写があった程度だ。
逆に、生前の祖母を回想する描写が削られている。タイムマシンを使って実際の祖母へ会いに行くわけだから、人となりの説明を回想描写で圧縮しなくてもいいわけだ。そして過去のび太のわがままな描写を強化。幼児の嫌な側面をこれでもかと見せてくれる。現在のび太と同様に、心当たりある者として身につまされた。
その後は原作通りに展開してギャグオチで終わるかと思わせた後、無垢な善良さを過去のび太が見せて物語を結ぶ。過去のび太はキャラクターがふらついているわけではない。感情のまま動く幼児らしい行動なのだ。のび太が優しいと祖母が評する前ふりも地味に良かった。その具体性のない評価は孫に対する欲目かと思わせ、しかし結末の描写で得心できて後味も良くなった。
中盤のアクション描写は映画に比べて大きく落ちるが、主人公の記憶していない過去で物語が結ばれた趣向は、これまでのアニメ化にない良さがあった。

*1:TV放映版は視聴しつつ、購入したDVDは見ていない。なお、原作は今回のアニメ化と同じく「おもいで」表記。

*2:脚本が大野木寛、絵コンテが木村哲、演出が腰繁男、作画監督が富永貞義といったスタッフワーク。

*3:http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/contents/30year_list/90list/list.html