第23話で明らかとなった、「電脳メガネ」に使われているアンテナ技術。感想で言及したように、現実に似たような例がある。科学技術でより有名な例では、配線ミスした発電機からモーターが生まれたという逸話もある。
ただし設定の根幹が偶然で生まれたという展開に、別個に思い出した作品があった。
藤子・F・不二雄SF短編『マイロボット』より。
このロボット「エポック1」は、見ての通り人型とはいえない。3輪で走行し、球体の手で物をつかむ。作中で登場する様々なデザインのロボットと比べて、やや人間社会に溶け込みやすい体型という程度だ。しかし物語が進むにつれ、その言動は限りなく人間へ近づいていく。
触覚で感知できない電脳生物と、視覚で違和感を持つエポック1。物語が進むにつれ、虚構の彼ら*1は生き生きとしたキャラクターとして立ち上がってくる……
元ネタという話ではなく*2、設定に一定以上は深く踏み込まない作品との距離感に、少しばかり共通するものを感じた。