法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『電脳コイル』第23話 かなえられた願い

〜設定の根幹が偶然生まれたという種明かしはどうかと思ったが、わりとこの種の技術は偶然で生まれる例も多いことを知っていたので、私自身が現実味を感じられないというより他の視聴者に現実味を感じてもらえないことが心配などと、無駄に制作側の視点で書こうかと思ったが、結局は引っ張るような謎ではなかったという点で観客を落胆させる可能性は意識すべきで、やはり現実でありえても現実味はない展開で、説得力を増やすような補足説明をいくらか入れるべきではなかったかと思ったりもしたが、いずれ新たな経緯が明かされる可能性もあり、最終的に面倒くさくなったりして考えるのをやめた〜
回路が偶然にアンテナとなったという設定は、SF好き科学好きであれば元ネタがぴんとくる人も多いだろう。それだけに、オバチャンが数十年前の実例として説明しても良かったと思う。NHK教育らしく教育的な展開にもなる*1


皮肉なサブタイトルの今回。
相変わらず終盤のたたみかけがいい。「ここをオチにしてEDに流れこんでもいいだろう」と思える山が何度もおとずれる。特に今回は序盤の作画修正が行き届いてなかっただけに、イサコが真相を知る前後から一気に向上する作画と物語のテンションが同調し、助け合っていた。
細部は説明不足であったり御都合主義的であったりも多いのだが、情報密度が濃くてテンポが良いため、見ている間は気にならない。登場人物が活き活きとしているため、見ている側で心理をフォローする気持ちにもなれる。


コンテは野村和也。前半の説明台詞で壁にかけられた絵画で暗喩する手法が用いられていて、あまり奇をてらわない『電脳コイル』では目新しかった*2
しかし原画や第二原画の数が非常に多いのが、やはり悪い意味で不安をかきたてる*3。特に、この作品はテロップの字が大きいため、他のアニメ作品よりスタッフ数が多く目立つ。

*1:実際には展開的にも描写的にもどうにも教育的にはどうかと思わされる素敵な描写が続いている。

*2:似たようにオバチャンが設定説明する回では、風景がただ流れるだけだった。

*3:前回も新規作画が全くない、急造としか思えない総集編であったし。