間桐桜を追って、衛宮士郎は敵対していた人物と協力することに。戦いの先に、士郎と契約していたのに桜の支配下におかれたセイバーと、「悪い子」になった桜が待ちかまえていたが……
三部作の完結編にあたる2020年のアニメ映画。新型コロナ禍により約半年間公開が延期されたが、20億円以上の興行収入をあげて、三部作で最大のヒット作となった。
前章*1でだいたいの真相が判明して、悪役の底も見えたので、もう普通のヒロイックな現代異能アクションになっちゃった、という感じ。良くも悪くも。映画の三部作は二作目が最もよくできた作品になりやすいというジンクスを思い出す。
この映画シリーズで良かったホラー演出は凛が錯乱した桜*2と会話する場面くらい。その後の桜の悪役ムーブは、たいして物事を教えてもらっていない少女が背伸びして悪役を演じていることが劇中でも見すかされているので、映像との落差で味わい深いキャラクターになってはいるものの、底知れぬ恐怖などは感じなかった。暗躍していた間桐臓硯の真実も、ホラーというよりサスペンス的なトリック。
原作で主人公がバーサーカーから隠れて会話する場面は原作だと塹壕*3に入っているらしいが、この映画では前章の戦闘で作られた地割れに隠れるアニメオリジナル描写で自然な流れ。この三章単独でも先に地割れを見せているので、原作では不自然だったとは想像もできなかった。
その地割れもふくめ、セイバーによって示された線を主人公が踏みこえていく物語として一貫性が感じられたことは良かった。だからセイバーが不在になった結末、主人公と桜がともに線をこえた瞬間にエンディングをむかえる切れ味はいい。