法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ベイビーステップ』第1話 テニスとノート

テニスを題材にした少年漫画が原作で、スタジオぴえろがTVアニメ化。2クール予定とのこと。
NHKアニメワールド ベイビーステップ
原作は珍しく既読。一見するとスポーツを舞台にした成長物語のようでいて、主人公の人格が当初から完成されているところが独特だ。はっきりした目標を持って、その過程を描いていく。スポーツマンとしての成長が、必ずしも人間性の成長とイコールではないことを自覚している。
また、初回でヒロインの台詞で示されたとおり、やがてはプロになるという将来も視野に入っていることが特長的。だから各試合で全力を出しつつも、次を見すえて肉体を壊さないことも配慮しているし、負け試合でも次に活用できる部分を探しつづける。
主人公は超人的な状況把握能力で全体を見すえて、さまざまなライバルの長所短所を探っていき*1、碁や将棋のように戦術をくみたてていく。そうしたスポーツのプリミティブな楽しみを抽出した作品なのだ。


スポーツ描写が重要な作品をTVアニメ化するならば、映像の魅力が大切になる。そこでアニメのメインスタッフを担当するのが、むらた雅彦監督と、甲田正行キャラクターデザイン。どちらも『NARUTO-ナルト-疾風伝』において素晴らしい映像を定期的に見せてくれていた。現在のスタジオぴえろでTVアニメ化するならば最上級のスタッフといって過言ではない。
少なくとも、それぞれがコンテ演出と作画監督を手がけた初回は文句なし。甲田正行らしい立体感ある人体作画が、運動している情景に説得力を与える。やや首の太さが強調されているキャラクターデザインも、スポーツマンらしいスタイルと思えば自然。
なお、むらた雅彦監督は監督作品において最終回を投げ出しがちだが、原作の展開が安定しているので、今回は安心して見ていられそう。

*1:ライバルの強さの多彩さも面白味のひとつ。一点特化型の強さはもちろん、反面教師的な強さや、真似できないレベルの強さ、主人公のロールモデルとなる強さまで、いくらでも話をふくらませられるレベルでとりそろえてある。