高田裕三の漫画を原作とした和風SF伝奇アクションのTVアニメで、1994年から2クールにわたって放送された。昨年後半の無料配信を機会にDVD-BOXで全話をとおして初視聴した。
TVアニメとしては初めてProductionI.Gが元請けした作品だが、単独で連続アニメをつくりつづける体力はなかったので、葦プロダクションと共同制作。
映像ソフトがVHSテープが主流だった当時も各巻まばらに購入して、各話をつまむように視聴しており、導入や最終回などのだいたいの内容は記憶している。全2巻の原作漫画も既読だが、どちらかというと原案者によるコミカライズという印象で、きちんと完結していなかった。
OPEDは記憶どおり当時なりに良い。特に自衛隊が殺到するカット割りと音ハメは心地よい。ただしOP冒頭の3DCGは意味もなく長くつかってみたという感じで、当時なりに技術的な挑戦をしているのだとは思うが、低いクオリティをなじませる演出的な工夫がなくてきびしい。
本編は記憶以上に良くも悪くもB級アクション。しかし映像は現在から見ても悪くなく、特に序盤はキャラクターデザイナーの黄瀬和哉が第1話と第2話の作画監督を単独でおこなっているくらい少数精鋭で、出入り口に殺到するモブや胎動する荒神など要所をよく動かしてアクションアニメとして見ごたえある。
主人公が死ぬことにより敵を全滅させる能力を発揮する設定だが、主人公の能力を発揮させずに殺す技術を敵が入手したことにより、どのように目的の状況で殺すかという駆け引きが序盤の戦闘の面白味を生んでいる。その技術の発現状況がそこそこ情景として派手かつ儀式的なところも良い。
中盤からさまざまな因縁をかかえる荒神を倒す妖怪退治物の文脈になっていくが、そのなかでは第16話の演出がおもしろい。憂国的な立場からさまざまな歴史的な像を美術的な絵に起こして静止画スライドし、独白をかぶせる。写真をモノクロ化したとおぼしき背景も一瞬ある。深夜アニメ的な省力でありつつ直前にProductionI.Gが制作したアニメ映画『劇場版パトレイバー2』を思い出させる独特の緊張感があった。
ただ、最終的な結末は群集による祝祭につながるが、どうしてもTVアニメなので止め絵ですまされているのが残念。漫画『ヤマタイカ』や特撮ドラマ『ウルトラマンティガ』それぞれの最終回ほどの高揚感にはいたらない。こここそProductionI.Gの総力をあげてモブを動かしてほしかった。
あと、主人公の少女が攻撃により第1話の後半から下半身の下着丸出しで敵にふりまわされたりして、直前まで流行していたエロティックな伝奇OVAのよう。以降の各話も当時としては破格に作画は良好だが、パンチラが記憶以上に多い。さすがに主人公の姉が復活してシリアスな連続ストーリーになる後半からはシリアスな半裸姿になったりするくらいで性犯罪的な描写は減っていくが……
おまけショートアニメは毎回さまざまなアニメーターが遊んでいて、ギャグの古さに目をつぶれば楽しい。
特に好感触だったのは第10話で、あまり監督作品に良い印象のない浜名孝行だが、アニメーターとしてはすごく魅力的な作画を見せてくれた。DVDブックレットにあるように『まんが日本昔ばなし』のようなテイストで、亜細亜堂のスタイルに近いが、動きがさらにこぎみよい。