法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダムAGE』第24話 Xラウンダー

セムカミーユというより、いわばカツやハサウェイの立場。ちゃんと鬱屈を重層的に描いていて、追いつめられたアセムの心情を理解しやすくなっているし、ドラマの中心にいるという意味で正しく主人公となっている。
そうした鬱屈を吹き飛ばすように物量が投じられたアクションは*1、ハッタリのきいた新メカ描写が面白い。同時に、アセムが強さをアピールできるのは敵の雑魚多数に対してだけで、ライバルのはずのゼハートは父が性能遅れの機体で応じるという構図が、さらに主人公の鬱屈を重ねるという皮肉さも好みだ。


一方で、キャラクターの使い捨てがいかにも日野脚本らしいひどさ。前回に出所したかと思えば、不穏な情報をつかんだとにおわせた途端に死亡したグルーデック。そして今回の回想であわただしく確認された伏線を回収し、グルーデックに復讐した途端に謀殺されたアラベル。復讐の虚しさを描きたいならば、復讐される以前の充実を入念に描くとか、もっと下ごしらえが必要だろう。
さらに問題は、宇宙コロニーの警備がザルどころか、あいかわらず巨大な人型兵器ですら自由に出入りできる謎設定。ここまで閉鎖環境として描く気が皆無なら、舞台をずっと地球にしておくか、いっそリングワールド*2を舞台にするべきだったんじゃないかな。

*1:金世俊メカ作画監督によるアクションは修正後も適度に個性が残っていて良い。

*2:同名のSF小説に出てくる、恒星をとりまく巨大な帯。リング状の帯が回転する遠心力で人は内側に住み、恒星の光を効率的に利用することができる。