法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ ブレイヴ』第36話 魔羯邪神シュタイン・ボルグ降臨!

洗脳されて敵に回ったデュックが安易に仲間に戻らないまま退場しつつ、洗脳前のデュックが残した人材が主人公達を救うという流れが、地に足がついた逆転劇だった。家族のことも、そして中途で自ら消滅させた部下のことも、洗脳が解けずに迷わず切り捨てたからこそ、良かった過去が対照的に浮かび上がる。
予想の範囲内ではあるが、女王暗殺劇の真相も悪くない。もともと政治力を失った結果の暗殺劇であり、殺されたのが替え玉であっても、追いつめられ手駒を失ったことにかわりはなく、物語に緊張感が持続する。逆に替え玉の真相を明かさず、女王生存を隠すことで敵を泳がすという作戦へつなげたところも面白かった。
瓦礫につぶされたジェレイドと出会ったユースが、相手は殺した人間の固有性を認識していないと再確認しながら復讐を思いとどまった場面も印象的。たぎる復讐心を抑えた表情作画や、差し込む光と瓦礫の作り出す荘厳な光景も、キャラクターの心情をよく表現していた。
今回の作画監督は石川てつやだが、これまで同様に荒々しい描線が楽しめるだけでなく、キャラクターの顔に落とした影で唇を立体的に作画していたところが目を引いた。Aパートのカードバトル中に歯を見せたダンなど、異様に生々しくて驚いたくらい。


……けしてカードバトルも悪い展開ではなかったのだが、あくまで時間稼ぎにすぎなかったので、良かった政治劇に押されて霞んでしまった感じ。