法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『STAR DRIVER 輝きのタクト』第十四話 アインゴットの眼/第十五話 封印の巫女

第十四話は、双子の一方がもう一方の作り出した幻想ではないかという展開を見せる。一種の多重人格物を映像の叙述トリックで見せている可能性*1。幻想的な設定を持つ作品なので真相を確定することはできないが、2人いるはずなのに画面には1人しか映らないことで孤独性が強調され、双子が両方とも実在したとしても演出としての意味はある。
ロボット戦も、一方の暴走ということは残念だが前振りはあったし、苦しみながら黒く染まっていく少女の、それでも妹を守りたい矜持が美しい。その矜持が描かれてあったため、主人公の活躍に爽快感がある。モーフィングをくりかえすロボットの作画的な面白味もあった。


第十五話はロボット抜きだが面白い。それでいいのか。
前話に引き続いて双子の一方が幻想ではないかと思わせる展開が続きつつ、母親という外界*2の帰還をもって双子が初めて衝突する。所属するバニシングエイジという集団が仲間を軽視する一方で2人はたがいに依存してきた積み重ねがあり、衝突と別離になかなか衝撃があった。
そのままミズノが島の外へ出ようとする展開も、先に島を出ていた「サカナちゃん」が帰還する描写があることで逆にありえそうと思わせる。そこから始まるループ。映像リソースの省略ではあるが、徐々にループが早くなって緊張が高まっていく演出の呼吸が素晴らしい。
今回だけでもループの答えが出されたので消化不良にはならないし、今後に母が双子を置いて島を出た回想の答えにも繋がるかもしれないという引きも残す。

*1:思い返してみると、第三者が同時に2人の姿を確認した場面はなかったと記憶している。

*2:家の外、島の外、今の外、そういう多重な外に母がいる。