法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『わんだふるぷりきゅあ!』第44話 たくさんの幸せ

 お鶴が犬のフクをひきとってから、ちょうど18年になろうとしていた。幼いころからフクを見てきたいろはは誕生日のパーティーを開こうと思いたち、まゆの提案で手づくりのブランケットをプレゼントすることに。
 しかしお鶴の家のパーティー当日にいろはたちがあつまると、フクは立ちあがることができなくなっていた。しかもトラメが強力なガオガオーンを呼びだし、いろはたち全員が退出することに……


 井上美緒脚本にのもとゆうや演出で、ペットの出会いと別れを正面から力強く見せる。ともに生きる幸せの長さと、ペットの衰えに対する人間の多様な思いを描いて、第26話をこえる充実した画面になっていた。
『わんだふるぷりきゅあ!』第26話 暑すぎてヤバい! - 法華狼の日記
 人間に変身した犬としてこむぎがフクの言葉を代弁し、お鶴が子供のやさしさと思って受けいれながら、一度だけ他人が知らない情報をこむぎが語って驚く加減がいい。ニコのふるまいなどもふくめて、ファンタジーな設定を節度をもって活用している。
 プリキュアひとりひとり異なるシールドデザイン設定を活用して、協力して防御していると実感できるカットなど、アクションそれ自体もアイデアが多彩でよくできている。そこからガオガオーンとプリキュアの戦いの余波でフクの命が失われそうになる緊張感も、収拾できないほど過剰な悲劇にしない。あくまで戦いを遊びとして楽しんできたトラメらしい行動をさせて、戦いの終焉とともに被害が回復する設定描写から自然にお鶴とフクのドラマにもどす。いつもの散歩用の手押し車に乗せて山道を人力で運ぶよりも、たとえばタクシーで近道しようとして前にも後ろにも進めなくなる描写のほうが自然ではないかと思ったが、話の都合で理不尽な行為をしているとまでは感じなかったので許容できる。
 作画監督は竹森由加、赤田信人、酒井夏海、廣中美佳の共同で、原画に板岡錦など。あくまで必要な映像をつくるために人員を投入している。最強といっていいガオガオーンの暴れぶりを表現するにあたって破片や土煙といったエフェクト作画も多く、吹きとばされたプリキュアをカメラで追うために大きな背景を用意している。ガオガオーンの破壊によって人間が道をとおれなくなる展開の説得力を出すために必要な描写でもある。