法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第41話 妖精が変身!?プリキュア劇団はじめました!!

山岡直子は初作画監督かな。シリーズでは初期から原画に何度か入っていて、前シリーズでは衣装デザインを担当していた。全体的に整っているだけでなく、きちんと馬越絵の雰囲気も拾っている。
演出は小川孝治で、今シリーズでは珍しい空中に飛び上がって宙空から攻撃する格闘戦が目を引いた。空き地での、キュアブロッサムキュアマリンを攻撃する無駄のないカット割り、まず光弾だけを飛ばして救ってから変身しているキュアムーンライトが現れる描写と、スピード感あふれる殺陣も楽しめた。その後は本編での参加はひさしぶりな感がある志田直俊がたっぷりと枚数を使って滑らかなアクション作画を披露し、一気に結末まで畳み掛けた。
日常演出では、放置していたバケツからあふれる水が目を引いた。保母の感情が決壊する暗喩表現であると同時に、まだ保母としての能力が足りていないことの直喩表現でもある。脚本段階で指定されている可能性もあるが。


脚本は伊藤睦美。プリキュア人形劇は保育園と主人公を繋ぐためのギミックであり、基本的には保母の成長話。
人形劇は自己パロディ。作中においては、妖精達が普段見ているプリキュアを真似るという意味があるし、プリキュアが都市伝説として知られている世界においては園児にとっても半分時事ネタでもある。今シリーズに思い入れが強い人ほど楽しめたのではないかと*1
その場しのぎの厳しい態度がディスコミュニケーションどころか園児の当惑を招いてしまったり、デザトリアンを園児が涙目で責めることがデザトリアンへの精神攻撃でありつつ素体となった保母への救済であったり、途中までの展開で予想した流れでありつつ少しずつ掘り下げ、難解ではないのにありきたりとは感じさせない。


最強のプリキュアが途中まで戦闘に参加せず園児を守ることを優先したり、クモジャキーの敗北を受けてのダークプリキュア強化が結末でにおわされたり、基本的には繋ぎ話。しかし物語から映像まで楽しめる佳作回だった。
ただし、冒頭でコロンが消滅したことへの配慮が描写されないため視聴者が補完する必要があったり、怪物化した保母と園児を直面させることで事態を解決に向かわせたものの双方への負担が大きかったり、やや精神的な厳しさが多く描かれたことだけ気にかかったかな。どれも月影ゆりがらみの描写と思えば、さもありなんという感もあって、逆に違和感はなかったのだが。

*1:今回、毎回のように楽しんで見ている自分が、自己認識していたほどには思い入れがないことに気づいてしまった。うまい趣向だとは思いながら見たのだが。