法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』第25話 闇の扉

いかにも大橋誉志光コンテらしく、ロングショットでの回り込みを多用。さらに池畠博史演出らしく作画へ力が入り、タメツメの効いたアクションから複雑な演技を見せる会話劇まで、期待通りの素晴らしさ。今回は血の海でしぶきを上げながらエンヴィーの正体と戦う展開で、アニメーターへの要求度は高かったが、十二分に応える内容だった。
シリーズ構成に余裕が出てきたのか、コパンダがらみの過去回想が原作よりたっぷり描写していたり、テンポも制御されている。


ただ、複数同時進行する展開は乱雑で、情報こそ整理して説明されていたものの、盛り上がりどころがつかみかねた。
エンヴィーが正体を現す驚愕と、マスタング大佐が部下から引き離される緊張感を重ねあわせているが、前者の緊張感は次回へ持ち越し、後者は敗北を痛感させられて終わるので、互いに印象を打ち消しあっていると感じた。
アルが一つの情報を得る結末も、すでに視聴者は知っているし、主人公達も予期できる材料はそろっているのだから、大袈裟に演出する必要はなかったと思う。
もともとこのエピソードは原作でも整理しきれていない印象があったが、読者が自由に頁を移動できるマンガより制約があるアニメでは、欠点が増幅して感じられる。