ミスターブシドーが誕生した経緯を短いアバンタイトルで説明してしまった豪腕ぶりに笑ってしまった。なるほど、「カタギリ」という名前から、どのような人間関係に影響されたのか気づくべきだった。
本編に入ると、個々の登場人物が順番に決意を述べていく流れは、ややありきたりで残念。ロックオンが刹那へのわだかまりを残しているような演技があったり、未消化なドラマを残していることは意図的と思うが……
しかし、戦闘に入ると多くの不満が払拭された。以前から見せていた防御方法を大規模に展開して、ガンダムの優位性を削いだと思えば、そのおかげで旧式機が活躍して逆転する流れが嬉しい。作戦の読みあいで各指揮官の有能性が示されただけでなく、物量作戦や個人技以外で旧式機が優位に立つ姿が初めて見られる。
特に、アヘッドより旧式と明示されているジンクス3が大活躍して、敵味方を問わず印象的な絵面が多い。射撃も打撃も貫通も可能なランスという武装が、視覚的にもわかりやすく、演出で使いやすいためだろうか。
策士策に溺れる皮肉、古き存在の奮闘*1、能力ではなく行動で示す特別性、諸々の描写が全て好みだった。
作画面では、メカが飛び交う物量戦を支えきっていたことに、まず感心*2。宇宙軍艦がライザーソードで切られるカットで、違和感なく手描きメカ作画が用いられていたことも目を引いた。
けして美男子といえないグッドマンに、戦死回だからと力が入っていたのも良い。ちゃんと小太りでありつつ、筋肉を感じさせる体型で描かれている。