法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』しずかちゃんへのプレゼントはのび太

しずかちゃん誕生日に放映日が近いため、誕生日プレゼントをめぐる放送時間いっぱいの中編をオリジナルストーリーで。
のび太のミスで贈る時代がずれてしまう等、中編映画『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』を思わせる描写がそこここにある。


高橋渉が『ドラえもん』で初めてコンテと演出を担当。id:matika氏によると、山本寛監督*1が「ライバル」と呼んでいるそうだ*2
若手らしく力が入りすぎたか、アイデアを詰め込みすぎ、笑いから泣かせまでの転換がいそがしい感もある。話を転がすアイテムとしてプレゼントが活用され、誕生日の物語という軸がぶれないので、見ていて混乱することはなかったが……。カットの繋ぎもイマジナリーライン無視が多くて*3、流れが悪く感じるところがあった。
しかし全体的には、手間のかかった動きや、空中を引きずりまわされるドラえもん達など新鮮な構図が多く、飽きずに見ていられた。緊迫した状況でドラえもんが秘密道具をのん気に解説する演出は、お約束を逆手に取っていて楽しい。未来の2人と現代の2人が交錯する終盤も、ベタながら脚本との相乗効果でじっくり情感を盛り上げていた。

*1:らき☆すた』序盤、『かんなぎ』。

*2:http://d.hatena.ne.jp/matika/20080510#1210433749

*3:イマジナリーラインは、人物の位置関係を観客が混乱しないように、カメラ位置を制限する境界線のこと。ただし、もともとアニメーターの手間を無視すればカメラ位置が自在なアニメでは守られない傾向があった。今の時代は実写でも遵守しない演出家が多い。