法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

朝鮮人李明仁が有名人に「背のり」しているとかいう陰謀論

陰謀論者などを追っているライターの雨宮純氏が、自身でも「流石に詳細な経緯を辿る気にならない」と匙を投げる陰謀論を紹介していた。


スクリーンショットされているツイートを探すと、たしかにそのような記述が見つかった。


正体を表せぇ‼️


そろそろ💩李ー家終る🤷🏻‍♂️?

ただ、現在の天皇家がひそかにのっとられているという陰謀論は、以前にも見たおぼえがある。ライターの安田浩一氏が2018年に記事にした「田布施システム」だ。
gendai.ismedia.jp
問題の系図に出てくるワード、たとえば「成太作」や「李明仁」に、「田布施」をあわせて検索すると、わずかながらツイートが引っかかる。


李氏朝鮮‼️岸信介安倍晋三宮本賢二横田さきえ昭和平成令和偽天皇朝鮮部落‼️田布施システム‼️創価学会公明党‼️池田大作‼️韓国読みソンテジャク成太作‼️
済州島出身‼️ダメ🆖
CIAと麻薬密売マネーロンダリング‼️明治維新クーデター‼️ネットで検索‼️


全世界に赤恥を晒したブラック・アイ李明仁。エプスタイン島日本人訪問者名簿流失。赤ライン部分PEDO李明仁。睦仁天皇暗殺李家長州イボ侍の曾孫。イボ侍のイボと小児性愛遺伝。田布施出身江上波夫東大教授紹介の父が面談した岸信介と同年代小児性愛犠牲者Mの話は実話であった。拉致され強姦。

とはいえ有名な陰謀論のわりには、それぞれひとつずつしか関連づけるツイートがない。検索で見つけるには「田布施システム」を知っていて思い出さないと難しい。
さらに「田布施システム」が問題の系図のように確立するまでを調査するのは難しそうだが、これは今後の宿題か。


さて、冒頭のツイートにつづけて雨宮氏は「陰謀論=右派ではない」「主流派と見れば反対」と陰謀論者を位置づけている。

しかし安田氏が指摘するように、国籍や人種の排外主義と深くむずびついた陰謀論であることも事実だろう。もちろん排外主義的な左派もいるが、ただの反主流派と考えるのも間違いだと思う。
むしろ自身が主流派と考え、しかしその認識に反した現実に反発するという順序ではないだろうか。事実として「正体を表せぇ‼️」とツイートした人物のアカウントを見ると、典型的な愛国右派のようでもある。


物凄い愛国心
責任感の凄さを見せられました‼️合唱

特攻隊員となる少年飛行兵の教官役だった藤井一陸軍中尉は「お前たちだけを死なせない。自分も後から必ず行く」が口癖だった。しかし、妻子のある藤井に特攻命令はなかなか出ない。その事実を知った妻・福子は、夫の願いを叶えるために入水自殺。藤井の特攻はこうして叶った。合掌。

連立与党に対する反発も、政治家への注文も、日本が外部に奪われるという恐怖から叫んでいるようだ。天皇家朝鮮人という陰謀論も、その流れと解釈するべきだろう。


ニッポンを返せ‼️

創価学会公明党が火消しに走っても無駄だよ!お前らがやってきた悪行(日本人”大和民族”殲滅作戦)は消すことは出来ない!思い知れ‼


立候補するなら‼️国籍を開示して欲しいです‼️

国会議員でありながら、自身の戸籍謄本で国籍を示せない時点で、信用してはいけないのは当然なのに、そんな気味の悪い不気味な人間を当選者させてしまう東京都民は、頭がおかしいとしか言いようがない。#二重国籍

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第13話 うばわれた思い出を守れ!明かされる拓海のヒミツ

ジェントルーとの戦いが一段落したが、心をあやつっていた敵幹部ナルシストルーが今度は味を変えるだけでなく、料理にまつわる思い出までうばっていく。一方、和実ゆいを戦うようにローズマリーがそそのかしていると疑った品田拓海だが……


あまりプリキュア側に動きのないエピソードだったが、2クール目のはじまりにして視点をサブキャラクターに変えた新鮮味もあり、けっこう楽しかった。
まずOPからずっと予想されていた品田少年の参戦だが、プリキュアと同じ能力に目覚めるのではなく、父親がクッキングダム出身らしいという設定が明かされるとは思わなかった。いきなり明かされた設定だが、けっこう納得感がある。品田父を品田母が助けた出会いが和実とローズマリーの関係を思わせること、品田少年が少しずつプリキュアの戦いに近づく一環であること。品田父と和実父の物語における不在も、どちらも遠洋漁業者と設定することで説明できているし、プロフィールのはっきりできない人間でもつける仕事という説得力もある。
ここで品田がローズマリーに近い補佐的な立場につくことが明確になりつつ、クッキングダムの住人と恋愛するだけでなく子をなせることも判明。さらに設定説明のための回想が敵幹部の目的説明にも活用される。たったひとつの設定を無駄なく活用している。
他に冒頭で菓彩家に様子を見に行った場面で菓彩あまねの兄が登場したり、今回は家族モチーフが前面に出されていて、だからこそ先述のように記憶をうばう敵の脅威に実感がもてた。
あと、菓彩兄がわたす菓子「プリティホリックスイーツ」が、現実のグッズとしてはプリキュアの横顔をあしらいこそすれ、アニメキャラクターを前面に出しすぎないオシャレなデザインなところが印象的。作品アイテムとして楽しむか、劇中アイテムとして楽しむかの二択で折衷しているというのは考えすぎか。


もうひとつ、深読みしすぎている可能性を承知で書いておくと、記憶を失わせるナルシストルーの能力は同期の『仮面ライダーバイス』とも通じるが、新型コロナの症状のひとつが味覚障害であるように後遺症のひとつに記憶障害があることも連想させる。はたしてスタッフは意識しているのかどうか。

『ドラえもん』うつしぼくろ/ロボッターの反乱

 前後とも嶋津郁雄作画監督で絵柄の安定度は高い。番組の最後に、のび太ドラえもんが衛星カメラで木村昴モーションキャプチャー姿を見る短いコーナーも。


「うつしぼくろ」は、野球で負けたジャイアンが反省会をひらくといいはじめたため、ドラえもんの秘密道具で他人の性格をうつすことにした。スネ夫とてわけしたのだが……
 かつて単行本未収録だった原作を、記憶では2005年リニューアル以降で初アニメ化。
 ドラえもんの性格がのび太化する描写は他のエピソードでもあるが、お嬢様口調の乙梨というゲストキャラクターの登場が珍しいし、スネ夫の性格がうつって豹変するパートが他になくて面白い。声優は誰かとEDを見れば能登麻美子。なるほど『地獄少女』等の消えいりそうな声の演技で注目されながら、近年は気風の良い女性を演じることも多いだけに適役だ。
 ただオチにあたるジャイアンの猫化パートが長すぎる。直前の音無さん関係の変化が面白かっただけに、オチのタコ以外にも別の動物や人物に秘密道具が移動していってバラエティを生むような展開を見たかった。


「ロボッターの反乱」は、部屋のかたづけを母に命じられたのび太が、ドラえもんに泣きついて物品が自動で動くようになる秘密道具を出してもらう。
 公開が終わった『宇宙小戦争2021』をはじめ、別エピソードでも活躍する秘密道具の初出エピソードを、意外なことに2005年リニューアル以降で初アニメ化。
 自動化されて動きまわる物品を手描き作画できちんと描いていることに感心する。もちろんスライド作画などの省力もおりまぜているが、複雑な無機物が動いて立体として破綻していないことから、原画から動画まで制作体制がしっかりしていることがわかる。複数の道具が画面に映る時も、ポイントで異なる動きを見せたり全体で一部だけ動いたりして、意思をもった道具に人格があることを感じさせた。ラジオを代表として電化製品のデザインは2020年代と思えないほど古いが、のび太が不調から捨てる展開につながるので今回は問題ない。
 ただ今回に限った問題ではないが、バケツがかける水が水色なのはいいとして、廊下の水たまりまで水色で彩色されているところは感心しない。きちんと濡れた床の色にしている回もあると思うが、それだけに色彩設計の遅れがつらい。直前のコカ・コーラならぬコケ・コーラの噴射で、ちゃんと瓶の中のコーラが減っていく作画がされていたりと、先述のように原画はがんばっているのに……

南京事件について「そもそも東中野氏だって専門家なんです」と反駁するとか、藤栄道彦氏は本当にそういうとこだぞ

漫画家の藤栄道彦氏が、またツイッターで商業作家らしからぬ「引用」の基準を見せていた - 法華狼の日記

ナチスは良いこともした」という逆張り その根底にある二つの欲求:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASQ5S4HFPQ5SUPQJ001.html

いや、やってる。
大衆車としてフォルクスワーゲンを開発・普及させたこととか、内政面で見るべきところは多い。
主義主張は研究者にも色眼鏡をかける。
戦後のロケット技術の基礎になったV2号の開発とか、物事には光と影がある場合が多い。
「絶対悪」なんてあるはずがないのだが、教授がこういうこと言ってしまうのがなあ。
どうせツッタカタでボコボコにされて、反撃の来ないところでイキがってるだけなんだろうが。

上記ふたつのツイートこそ事実誤認の指摘が多数あったためか削除されたが、労働時間の制限をナチスドイツの良いことのように語るツイートは残っている。

まず上記エントリで指摘した発端について、藤栄氏が明示的に謝罪撤回するツイートは見つけられた。経緯はどうあれ謝罪訂正したこと自体は立派だと思う。


ナチスを擁護しているようにとられるのは本意ではなく、また私の物言いも雑で失礼なため皆さん不快感を持たれたと思います。
元ツイートを削除し、お詫びします。

すみませんでした。
今後は自身の知識不足を自覚し、勉強するとともに他者の発言に敬意を持って接します。

ただし自身のツイートを保存したスクリーンショットで見せているのは最初のツイートだけ。意図はともかく「どうせツッタカタでボコボコにされて、反撃の来ないところでイキがってるだけなんだろうが」という文章は隠されている。
また、上記ツイートを自身で引用リツイートしつつフォロワー向けに謝罪するツイートは、いいねがより多くついている。それ自体は藤栄氏の責任ではないと思うが、ツイッターという場の問題を感じなくもない。


フォロワーの皆さんにもご迷惑かけて申し訳ありません。

また上記エントリで指摘したように、撤回されたのは注目をあびた発端のツイートだけ。労働時間の制限をナチスドイツの良いことのように語るツイートは残っている。


おまけに、上記エントリ末尾で下記のように指摘した問題が残っていたことが今回わかった。

南京事件を調べるにあたって東中野修道氏の著作から手をつけた時もそうだが、まず藤栄氏は一般的なわかりやすい入門書から学ぶところからはじめるべきではないだろうか。

この末尾の指摘ひとつに対して、藤栄氏はブログで下記のように応じていた。
新・漫画家奮闘日記 常に奇妙な局地戦を挑む法華狼氏

 見ての通り、私は本を読む限りでは大きな瑕疵が発見できなかったので、判断を留保して自分より詳しい人に「どうなんでしょう?」と質問しているだけですね。

そもそも東中野氏だって専門家なんですから、素人の法華狼氏がどうこう言うものではないのでは?

しかし以前のエントリでは、先行する批判に藤栄氏が同意しない評価を公言した問題を指摘した。けして中立的な留保ですらない。
表現や発言に攻撃を加えてきたのは一般人、と主張する漫画家の藤栄道彦氏は、単に権力による攻撃を除外しているだけ - 法華狼の日記

悪名高い人物を、2020年に「そこまでトンデモではないと思う」と評価していたこともある。

そして東中野修道氏は南京事件の専門家ではない。歴史学者ではあるが政治学や思想史などが専門分野だ。
ツイッターでのやりとりを見ると、さらにラムザイヤー氏を専門家あつかいするという間違いを重ねていた。


この人、慰安婦問題に関して私と反対の立場のようですが、専門家のラムザイヤー教授の言うことに従って欲しい。

J・マーク・ラムザイヤー氏は経済学者であって、日本軍慰安所制度に限らず歴史学は専門外だ。
そもそも私は専門家にしか自説の開陳を認めないわけではない。専門家の通説に反論したいなら相応の努力や根拠が求められると考えているだけだ。
藤栄氏も専門家に反論したいなら、せめてまともな出典からまともに引用するくらいのことをするべきだろう。


また、藤栄氏のブログエントリは、JSF氏のエントリを引くかたちで、私が本題から話題をそらしているかのように論じている。
実際はそのJSF氏こそ当時に私が指摘したように、本題ではないからこそ注記にとどめた部分へ能動的に文章量をさいていたのだが。
JSF氏の願望 - 法華狼の日記

コメント欄の平均的な意見と指摘しているわけでも、JSF氏に責任があると指摘しているわけでもない注記に対して文章量を割いて反論し、エントリの「本題」であるWaiWaiコラムの記述を具体性なく切り捨てたJSF氏が、エントリタイトルで「話題逸らし」と書くのは悪い冗談なのだろうか。

ツイッターを見ても*1、批判されること自体を拒絶するような、そして自身が「ツッタカタでボコボコ」と書いたことを忘れたようなツイートをしている。

常に奇妙な局地戦を挑む法華狼氏 http://michihikotouei.blog.fc2.com/blog-entry-266.html

おなじみの法華狼氏から。
しかしなぜこう私に喧嘩売って来るのだろう?
「言論の局地戦」というのは私が勝手に作った言葉ですが、相手のミスとか誤字脱字を集中攻撃して黙らせるというのは、ツッタカタでは有効でも現実では軽蔑されるばかりであまりいい手段じゃないと思うんだけどなあ。

藤栄氏は商業作家でありながら思い違いをしているようだ。公開した表現は誰でも論評することができる。もちろん論評自体も評価の対象になることはまぬがれないが、論評そのものをさまたげることはできない。
もちろん本題ではない細部を評価の対象にする自由も、それを自説の本題に選ぶ自由もある。その相手は、修正しても主張を維持できるような細部の間違いであれば修正すればいいし、明らかな誤記であれば謝罪する必要もない。
そうした細部の誤りが問題になるのは、ささいと主張しながらたいした根拠もなく反発し、訂正の機会を放棄するからだ。「判断を留保」したはずの東中野氏を「専門家」あつかいするような誤認を重ねた今回の藤栄氏が、まさにそうだ。
そもそも藤栄氏自身も、私が皮肉で引用しただけの「左巻き」という表現ひとつを「差別用語」と非難するブログエントリを書いたことがある。
漫画家の藤栄道彦氏は文章力がなさすぎるのか、それともはてしなく不誠実なのか - 法華狼の日記

少なくともスクリーンショットで示された範囲では、藤栄氏が過去に使用したことがわかるだけで、先に私へ「左巻きの人」と評した部分は欠落している。
藤栄氏が自認においてその文意でつかわないようにしたと表現はせず、「私は使わないようにしている」と表現したことも今回の一連のツイートではわからなくしている。

上記エントリで経緯を指摘したように、先に藤栄氏が揶揄として私をふくむ他者に多用して、私はそれに対して皮肉とわかるかたちで引用した。その後に藤栄氏は過去の文脈を隠すようなブログエントリやツイートを書いたわけだ。
念のため、皮肉や引用であっても差別的な表現を用いるべきではないという考えもありうるとは思う。しかし藤栄氏はそれを主張できる立場ではないだろう。何より、「言論の局地戦」という造語を他人への批判へ適用できる立場ではあるまい。

*1:ちなみに「中華の方かな?」という差別的なリプライをとがめもせず、「なんか朝日っぽい香りも。」と同調するようなやりとりもしていた。本当にそういうとこだぞ。

スタジオジブリで1997年ごろ演出助手をしていた石曽根正勝氏が、ツイッターで公開した当時の給料明細が微妙な話題

上記ツイートが多数のリツイートやいいねを集めて、WEBメディア「まいどなニュース」*1でインタビューを受けていた。
maidonanews.jp
仕事の過酷さも考慮すれば当時でも「微妙」で、理想をいえば厳しい給料だと思うが、アニメ業界では当時から現在まで比較的に良好な金額や手当だという印象もある。それはジブリが良かったというより、アニメ業界の大半に問題があるということだが。
また石曽根氏は大卒だったそうだが、高卒でも専門卒でも大卒でも初任給は変わらないというジブリ独特のシステムもこの給与額に反映されているという。これはアニメ業界では珍しくないのかもしれないが。


ツイッターでは質疑応答がつづいているが、文章が短く話題も寸断されていて読みづらい。
しかし石曽根氏のツイートを読んでいたところ、はてなブログでくわしい回想が書かれていることを知った。
animeteniwoha.hatenablog.com
もともとFacebookに書いていた文章を移転したらしい。かなり文字数があるので少しずつ読んでいく予定。
とりあえず、当時の演出助手の上司と対立したことが遠因となってジブリを辞めたらしい*2


また記事にもあるが、石曽根氏は最近までスタジオジブリの冊子『熱風』で技術面からジブリ作品を解題して、ツイッター上でも「アニメてにをは」というレイアウトから宮崎駿作品の手法を解説している。
togetter.com
その解説コンテンツに注目を集めることも意図して公開したという。実際、物語面からの解題がされがちなジブリ作品において、「アニメスタイル」的なまとまった批評が興味深い。
元関係者ならではの信頼性もある。ブログエントリを読むと、そうした人間関係にばかり注目されるのはもちろん不本意とのことだが……
gと烙印:第13話~学会、論文、同級会、そしてジブリ。貼り雑ぜ帳 - gと烙印

ジブリで働いていたのだからそう言えるのであって……」という、先に書いた、語りの《切り口》よりも、語り手の《出自》だけが問題にされて終わり、という可能性は、十分にある。

*1:名前こそ軽い字面だが、神戸新聞と関係が深い堅めのメディア。

*2:演助チーフの無茶な指示に石曽根氏は新人の演助サードとして苦労したというが、エンドロールでクレジットされている演出助手は石曽根氏と有冨興二氏のふたりだけ。そうなると『もののけ姫』の制作日誌で「演出助手として参加」と記述されている監督助手の伊藤裕之氏がチーフだろうか。1995年6月 - 映画『もののけ姫』制作日誌 有冨氏も伊藤氏も石曽根氏の記述と同じくらいの時期にジブリからはなれて、それぞれアニメ業界での仕事をつづけているようだが、伊藤氏はなかむらたかし作品に少し参加しているくらいしか名前が出ていない。。