法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

スタジオジブリで1997年ごろ演出助手をしていた石曽根正勝氏が、ツイッターで公開した当時の給料明細が微妙な話題

上記ツイートが多数のリツイートやいいねを集めて、WEBメディア「まいどなニュース」*1でインタビューを受けていた。
maidonanews.jp
仕事の過酷さも考慮すれば当時でも「微妙」で、理想をいえば厳しい給料だと思うが、アニメ業界では当時から現在まで比較的に良好な金額や手当だという印象もある。それはジブリが良かったというより、アニメ業界の大半に問題があるということだが。
また石曽根氏は大卒だったそうだが、高卒でも専門卒でも大卒でも初任給は変わらないというジブリ独特のシステムもこの給与額に反映されているという。これはアニメ業界では珍しくないのかもしれないが。


ツイッターでは質疑応答がつづいているが、文章が短く話題も寸断されていて読みづらい。
しかし石曽根氏のツイートを読んでいたところ、はてなブログでくわしい回想が書かれていることを知った。
animeteniwoha.hatenablog.com
もともとFacebookに書いていた文章を移転したらしい。かなり文字数があるので少しずつ読んでいく予定。
とりあえず、当時の演出助手の上司と対立したことが遠因となってジブリを辞めたらしい*2


また記事にもあるが、石曽根氏は最近までスタジオジブリの冊子『熱風』で技術面からジブリ作品を解題して、ツイッター上でも「アニメてにをは」というレイアウトから宮崎駿作品の手法を解説している。
togetter.com
その解説コンテンツに注目を集めることも意図して公開したという。実際、物語面からの解題がされがちなジブリ作品において、「アニメスタイル」的なまとまった批評が興味深い。
元関係者ならではの信頼性もある。ブログエントリを読むと、そうした人間関係にばかり注目されるのはもちろん不本意とのことだが……
gと烙印:第13話~学会、論文、同級会、そしてジブリ。貼り雑ぜ帳 - gと烙印

ジブリで働いていたのだからそう言えるのであって……」という、先に書いた、語りの《切り口》よりも、語り手の《出自》だけが問題にされて終わり、という可能性は、十分にある。

*1:名前こそ軽い字面だが、神戸新聞と関係が深い堅めのメディア。

*2:演助チーフの無茶な指示に石曽根氏は新人の演助サードとして苦労したというが、エンドロールでクレジットされている演出助手は石曽根氏と有冨興二氏のふたりだけ。そうなると『もののけ姫』の制作日誌で「演出助手として参加」と記述されている監督助手の伊藤裕之氏がチーフだろうか。1995年6月 - 映画『もののけ姫』制作日誌 有冨氏も伊藤氏も石曽根氏の記述と同じくらいの時期にジブリからはなれて、それぞれアニメ業界での仕事をつづけているようだが、伊藤氏はなかむらたかし作品に少し参加しているくらいしか名前が出ていない。。