法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「きれいなヘイト」という表現が生まれる前に私が疑問視したことが、「きれいなヘイト」と非難した側の発言として紹介されている意味がよくわからない

letssaga3氏のまとめたTogetterに私のエントリが冒頭で紹介されていたのだが、なぜ私がそこに組みこまれているのかが理解できない。
【きれいなヘイト論】韓国政治学者の浅羽祐樹氏、「帝国主義をキメてる」と非難される【オレ先生】 - Togetter

この節は基本的に、浅羽氏らを「きれいなヘイト」と非難した側の発言です(木村幹氏の発言のみ、それに対する反論です)。
従軍慰安婦問題についての浅羽祐樹教授の見解がよくわからない - 法華狼の日記

紹介されている私のエントリは、浅羽祐樹氏を疑問視する先行意見として参照されてはいるらしいが、あくまで「疑問」の段階であって、私自身は「非難」というほど強い評価をおこなったつもりはない。
結論部で「専門家として充分な根拠と責任をもって主張しているだろうと期待している。だからこそ感じた疑問点を簡単に列挙することにした」という、エントリの意図も明記している。


ちなみに浅羽氏は私に対して見当違いな反発を重ねただけで、残念ながら私の疑念は強まってしまった。
浅羽祐樹教授はSYNODOS記事を疑問視されると「著作も論文も読まずにツイートだけで判断するとは」と反応するような人物 - 法華狼の日記

私はまずはWEBメディアの記事を疑問視し、できるため疑問を解くためにツイッターとてらしあわせた。まず判断の基準にしたのはSYNODOS記事なのに、なぜ「インターネットだけで判断するとは」と表現しなかったのか。

さらに、いったんツイッターを閉じて過去ツイートを複数削除し、その発言の「責任」の重みを示してしまった。
発言を消す権利と、発言した責任のゆくえ - 法華狼の日記

ツイッターを重視しないのは自由だし、消すのも自由ではあるだろう。


しかし浅羽教授は、朝日新聞が過去報道を検証したことについて、検証の遅れを検証するべきと主張していた。

もちろん紹介されているエントリやコメント欄で「きれいなヘイト」という表現そのものも使っていないし、使われていない。


その表現が使われたのはletssaga3氏が私のエントリの次にTogetterで紹介している下記のイベントらしく、私が浅羽氏に言及した1ヶ月以上後だ。

archive.is

その後に私が浅羽氏の著作に対して低評価したことはあったが、そこでも「きれいなヘイト」という表現は特に使っていない。
浅羽祐樹『韓国化する日本、日本化する韓国』巻末の読書案内を読んで、池上彰氏と同じくらいの信頼性と感じた件 - 法華狼の日記

うまいことをいおうとした欲が、良くなかったというところか。もともと原文から多義的であったものを、日本語訳と韓国語訳のちがいと過剰に意味づけてしまったわけだ。

浅羽祐樹『韓国化する日本、日本化する韓国』において、「強制連行はなかった」等の事実誤認が「いちいちもっとも」と評されていた件について - 法華狼の日記

もっともに見えてそうではないと柔らかく批判するための前振りかというと、そういうわけではない。前後の記述を読んでも、どこまでも「ゲーム」の「ルール」にのっとっていないという枠組みの批判ばかり。


あと、letssaga3氏がTogetterにまとめたツイートの内容そのものも、あまり筋が良いものとは思えない。
たとえば浅羽氏のツイートを「浅羽氏の反論と自説」と説明しているが、たとえばletssaga3氏自身が紹介している下記の批判に対して、反論や訂正にあたるツイートは見当たらない。

浅羽祐樹氏がデマ「韓国の子どもはヴィヴァルディ『四季』を聞いたことがない」 - NAVER まとめ

また、日本が加害した戦争犯罪を相対化しつつ日本が被害を受けた戦争犯罪絶対評価を求めるようなConscript1942氏*1を「浅羽氏への賛同・支持」に入れている。

もっとも、下記のような誤謬*2に満ちたツイートをする人物が、今の「浅羽氏への賛同・支持」をおこなっていることは象徴的なことかもしれないが……

『セイクリッドセブン 銀月の翼』

2011年に1クール放映されたTVアニメを、主人公のライバル視点で約1時間にまとめて2012年に公開された劇場版。

大橋誉志光監督他、メインスタッフの多くはTV版から継続。脚本のみ、第8話にだけ参加していた綾奈ゆにこが単独でクレジット。
主人公の知らないところで戦っていたライバルの描写で、多くの新規作画も追加されつつ、もともと統一感のあったTV版とのつなぎもスムーズ。


TV版は、事件に巻きこまれて特殊能力をえた主人公の視点。1話ごとの怪物を倒しながら、ライバルの謎めいた言動に反発し、やがて味方側で暗躍していた黒幕と戦うことになった。
劇場版は、特殊能力の実験体となったライバルの視点。最初から事態の全容を把握しているので、短い尺でも説明不足がほとんどない。TV版の序盤でライバルが何をしていたかもわかり、全体の見通しが良くなった*1
まっすぐ疑問をぶつけてくるTV版の主人公が、ライバル視点だと何も知らないのに説教してくる面倒くささが理解できるし、説明する時間が惜しい感情もわかる*2


TV版の主人公とヒロインが結末で距離を縮めるサービスもあるし、Blu-ray特典のピクチャードラマは約20分近くの学園パロディが楽しい。
TV版は良くも悪くも優等生すぎて埋もれた感があったが、その生真面目さが制限の厳しい総集編でも楽しめる作品を提示する姿勢につながったように感じられた。

*1:宇宙戦艦ヤマト2199』の総集編ではいったん構想しながらとりやめたそうだが、やはり総集編を短くまとめる時に効果的な方法のひとつだ。『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』 - 法華狼の日記

*2:ライバルだけでなく主人公も会話をすぐにあきらめてしまうため情報の共有が遅れたという構図は、オーディオコメンタリーでスタッフも自覚的に指摘している。

『彼方のアストラ』は最後の謎解きより中盤の謎解きに感心したのだけれど

アニメ全話を見た正直な感想をいえば、ていねいにテンポ良く作られた『無人惑星サヴァイヴ』だな、といったところ。
彼方のアストラを最後までみたので感想を書くよ

SFとして世界の隠された真実に迫る作品なら最終話とあと一話ぐらいの短編で十分でしょ、子供たちが島流しになる必要もない。

アストラをめぐる最後の謎解きは、SFジャンルに限らない古典的なパターンにとどまり、さまざまな試行錯誤をしている過去の作品に比べて説得力を感じづらかった。あまりにも共犯者が多すぎる。
謎解きの端緒となる食い違いの違和感は良かったし、その食い違いが表面化する時に驚かすための仕掛けはていねいで良かったが、その時点で予想できた以上の驚きまでは見せてくれなかった。
むしろ世界の真実は、性別役割*1などの社会観が現代と比べても古びている物語を、現代から見た未来世界で展開させるための設定のように感じた。


比べると、島流しをめぐる中盤の謎解きは、その設定だけなら近い前例があるにしても、この作品のコンセプトに組みこんだこと自体に新鮮さを感じた。
少年少女が極限状況に置かれる導入で、その作為性があからさまであるほど、そのように画策した動機を設定することが難しい。『バトルロワイアル』に代表されるデスゲーム物で、途中までは楽しめても謎解きで肩透かしされる原因になりがち。
それを成立させる技術と、そうする必要性を途中の故郷視点でさりげなく説明。少年少女の設定にバラエティを生みつつ、いかにも少年漫画らしく美男美女ぞろいで、両親や家族に有力者が多いことも同時に説明してみせた。
そうしたSF設定の結果的にせよ、血縁主義や家族主義を逸脱し反逆する展開になったのも珍しさがあった。少年漫画は無力な主人公で始まったとしても、連載がつづくにつれて家族主義や血縁主義にからめとられがち*2


ただ、少年少女のサバイバル物として見た時、生命の危機にどれくらい本気で向きあうかが、ところどころで乱高下したのは気になった。
事前情報で病気や毒を気にしない惑星のみを渡っているという設定で一貫しているなら、それはそれで良かった。なのにヘルメットをしていないせいで毒を吸いこみ全滅直前まで行ってしまう。その毒をめぐる生態系の設定は面白かったし、直後のリゾート的な惑星は納得できたので、もう少し不自然でない少年少女とのからませかたがあったように思える。
同期のアニメで『ソウナンですか?』が現実を舞台に豆知識をまじえたサバイバルを展開していたので、つい比べてしまったのも不運だったかもしれないが。

*1:とはいえ、技術的に活躍する女性が、医療担当のひとりだけというのは、さすがにもう少し工夫がほしかった。

*2:本当は愛されていたという印籠を読者が欲しているといえばそれまでだが - 法華狼の日記で言及した記事では、特に少年ジャンプ系が名指しされてていた。

『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』

2014年に公開された長編総集編。もともと『宇宙戦艦ヤマト2199』自体が各編を劇場公開し、後にTV放映したシリーズなので、新味があることを期待していた。

地球出発までのドラマとイスカンダルからの帰還を大きく削除して*1イスカンダルへ向かう途中が中心となるよう編集。地球への帰還を描いた完全新作長編の『星巡る方舟』への期待感を煽るつくり。
もっと視点を偏らせた作品かと予想していたし、そうした案をスタッフも出していたことが舞台挨拶などで語られていたが、実際は素直に約2時間にダイジェスト。新規カットやリテイクはあるが、シーンそのものの追加がないので、あまり印象が変わらない。帰還時のコスモリバースをめぐる描写が、蘇生的に見えて好みではなかったTV版*2とは違っているように、TV版にわずかにあったツッコミどころはていねいにつぶされていたとは思うが。
艦内の日常を補完するようなEDの新規イラストは楽しかったが、あくまでファンサービスの範疇。良くも悪くも手軽にふりかえって楽しませることに徹した総集編だった。

*1:ついでに女性の性的なサービスカットも相当に減っていて、たとえばイスカンダルでの水着がない。

*2:『宇宙戦艦ヤマト2199』第26話 青い星の記憶 - 法華狼の日記

『スター☆トゥインクルプリキュア』第34話 つながるキモチ☆えれなとサボテン星人!

星空連合からサボローという名前の視察員がやってくるので、星奈たちは出迎えることとなった。やってきたサボテン型の異星人は音声でコミュニケーションがとれなかったが、天宮がボディランゲージで意思疎通に成功する。しかし実家の花を贈ったところ……


今作の小林雄次脚本回では初めて感心できたかもしれない。周囲よりも大人にふるまい難題をやりすごす天宮が、もともとボーダーラインに立つ人間として、いつも以上に苦労を背負うドラマとして印象深かった。
異星人のプルンスですら音声でコミュニケーションがとれないなら、肉体的にまったく異なる地球人のボディランゲージも通用しなさそうだが、そこさえ目をつぶればファーストコンタクトSFとしてよく構成されている。ゲストキャラクターと最後まで言語的なコミュニケーションはおこなわなかったことも、低年齢向けアニメとして挑戦的だ*1


星空連合から調査に来たはずなのにコミュニケーションができないという導入に、実は偶然に来訪した別人という真相を用意。そこまでは古典的なパターンの応用だが、そこから無私の友情をはぐくむ物語につなげた。
宇宙的な連合に認めてもらうためでなければ、もちろん大規模なイベントを招致するためでもない、偶然におとずれた対等な相手への「おもてなし」。それを美しく描いたこと自体に意味がある。
植物型の異星人だから花を切り売りする文化に怒ったのかと思いきや、サボテン型異星人が自身の肉体に咲いた花を贈るラストで、どこまで何を怒っていたのか不明瞭になったが、それも逆にSFとして良かった。

*1:もちろんEテレで放映される短編のように、言語的に未発達な段階の視聴者に向けては、台詞や字幕を用いないアニメは数多あるだろう。しかし「プリキュア」で想定される視聴年齢層は、それよりは少し上のはずだ。