婚約発表の会場から、主役の令嬢が姿を消す。協力したのはフィリップ・マーロウにあこがれる探偵、八木明。その花嫁は17年前、5歳だった時に誘拐されたのだが、そこで墜死した犯人は殺されたのだという情報が特命係にもたらされる。
誘拐された令嬢を見つけた手柄をきっかけに義父となった男や、婚約相手となる和菓子店の跡継ぎなど、関係者は怪しい人物でいっぱい。特命係は八木に接触して、花嫁の居場所をつかもうとするが……
前シーズンの傑作回*1から参加したばかりの若手脚本家の光益義幸が、ひさしぶりのマーロウ八木の再登場エピソードを違和感なく展開する。名探偵と刑事の知恵比べで一方が優越せずバランス良く、秘密基地のような事務所のしかけや、背広姿に変装した亀山薫も楽しい。
いかにも都合よく令嬢を見つけた義父についても、たしかに誘拐犯とかかわりがあったからこそ発見できたという偶然を排した真相を用意しつつ、その人間性で先入観をくつがえして現在の事件における立場をひっくり返す驚きもある。
さらに名探偵が皆をあつめて「さて」と言うパターンなどを実演してみたり、遊びの多いライトミステリ回として必要充分。凶悪犯罪も死者も発生しているが、基本的に善人は傷つかず悪人が報いをうけるかたちなので重くなりすぎない。
しかし前回*2につづいて和菓子屋に問題がある真相にスタッフは和菓子に恨みでもあるのかと思ったり思わなかったり。