法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season22』第5話 冷血

 二課に配属された若者は快活で前向き。監察官の大河内に剣道で全敗しているが、折れずに対戦をもうしこみつづける。しかし二課のガサ入れでは強制的に働かされていた末端しか捕まえられなかったことから、若者に情報漏洩の疑いがかかる。


 いかにも快活で善良に見える若者だからこそ悪玉と背後で取引しているパターンを前提にした物語。ドラマがはじまって最初のCMまでに監察官が若者を疑い、協力をもとめられた特命係もさぐりを入れはじめる。ここまでは自覚的に類型的で記号的な描写がつづくが、そこそこの規模のガサ入れを二回も描写して見せ場は多い。
 さらに、ガサ入れ現場に落ちていたミントと、指示役がどら焼きを食べていたことから、ミントをそえる洋風どら焼きをつくっている菓子屋をさがしだす。暴対法で身動きがとれないなかで上納金をしはらうためカタギの仕事をするヤクザといえば射殺されたラーメン屋が記憶に新しい。劇中でも近年の定番として語られる。
「ヤクザ辞めてラーメン屋に専念したい」口の中で発砲…射殺された“ラーメン組長”が悩んでいたこと | 文春オンライン
 最終的に反社にかかわって生きてきた人々の、落度を隠そうとして反社へ利益をあたえてしまったり、過剰に反撃して重い罪を背負った真相があばかれた。人間関係などで少しひねりはあるが、あくまで先述のパターンにとどまるので意外性はない。しかし、ささいな弱さを杉下右京が指弾する峻厳としたドラマとしては、無理にひねるよりパターンをていねいに現代的なパーツで構築した良さはあった。